2018年シーズン総括 「理想」と「現実」との狭間で

2018年シーズン総括 「理想」と「現実」との狭間で
自分の文章力の無さで長くなってしまいました。
ざっくりまとめると、

 2017年終盤戦をベースに、昇格を目指した2018年のジェフが始まるはずが、
 監督は「理想」のチームこそが勝利への最短と信じ、リセットしてしまっていた。

 2019年の編成も、短期的にJ1昇格を目指したものと映るので、
 今度こそ「現実」的に勝てるチームに方向性を意思統一し、上積みして戦って欲しい。

そんなところです。
大した分析も無く、ごめんなさい。
長ったらしい文章を読みたい方は、下記をどうぞ。
----- 以 下 本 文 -----
早いもので、2018年も終わろうとしている。
今季のジェフの戦う振りとは何だったのか。
振り返るには、一年前、2017年終盤戦の戦いから思い返さねばならない。

2017年、序盤から中盤にかけての試行錯誤と苦戦を経て、最終戦へ駆け抜けた7連勝。
「今度こそ」と言う思いは、シーズン三度目の対戦となる名古屋の前に阻まれ、昇格と言う結果はまたも掴めずに瑞穂の夕闇に散った。
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「もう少しシーズンが長ければ」
あの時、多くのジェフサポが思っただろう。
この終盤の猛追がもう少し早く始まっていれば、あるいはシーズンが長ければ。
この勢いはきっとJ1へ繋がっていたはずだと。

そうして迎えた2018年へのオフシーズン。
その終盤戦を支えた選手の多くが次々と残留、完全移籍を表明し、新戦力の補強も順調に進み、身内だけでなく、記者、解説者、あるいは他サポからも、ジェフの評価はすこぶる高かった。

その一方で、少なくとも自分の周囲に居るジェフサポの多くは、長く続くJ2暮らしの苦い経験から、戦前の評価に意味が無いこと戒め、一戦必勝を叫ぶ声が多かった。
スタンドからは「慢心」の空気はあまり感じられなかった。
一方、シーズン後、高橋GM、前田社長から
オフィシャル発表されたコメントには「7連勝の残像」を指してこうあった。

「シーズン当初、チーム全体に慢心があったのは事実です。(高橋GM)」
「昨シーズンの課題に対して、終盤の連勝によって「解決した」「克服した」と思ったことは確かでした。(前田社長)」

彼らの言葉を読み返しながらも、「本当にそうだったんだろうか?」と言う、素朴な疑問が沸き上がってくる。

7連勝でシーズンを終えながらも、これでもかと言う補強を敢行した高橋GM。
それをバックアップした、前田社長。
どのチームよりも早かった新シーズン始動。
少なくとも、去年のままではダメだと言う強い思い、危機感が、この大型補強やオフシーズンに現れていたと自分は考えている。チームにそこまでの慢心は無かった。あったとしても、その慢心を押さえつけようとはしていた。
なら、その昨年の積み重ねを、なぜチームは上積みとする事が出来なかったのか。
そこに2019年/来季、同じ轍を踏まない為の鍵があると思えてならない。
前田社長の言葉にあったように、多くのサポも同じ事を思ったはずだ。
2017年シーズンの終盤戦で、難解なエスナイデルサッカーは、モデルチェンジを重ねて、勝てる形を身につけるに至ったと。

2017年シーズン当初、観る者を驚かせた「ハイライン」戦術は、「ハイプレス」で相手を追い込み、ハマれば、ハーフコートで「ずっとジェフのターン」を作り出す事を目的としていた。
その代わりに、ハイラインの裏には広大なスペースが広がり、それをオフサイドないしは、GKの尋常ならざる飛び出しでカバーしなくてはならない。

「完成すれば」強力な、理想の戦術も、浸透/消化は極めて困難だった。

試行錯誤を重ねても糸口は掴めず、もう2017年のシーズンの昇格は困難かと思われた中で、ラインを少し下げ、中盤をドイスボランチでバランスを取り、攻守の切り替えを早くして、カウンターの切れ味を尖らせた、「成長の結果」が終盤の7連勝の原動力のはず、だった。

ただ一人、指揮官を除いては。
エスナイデル監督にとっては、それは「成長の結果」ではなく、「妥協の副産物」だったのだろうか。

勝ちを重ねながらも、もっと理想のサッカーは別にある。
連勝中も、時折中盤の形を弄り、バランスを崩しそうになって、元に戻した事もあった。
迎えた2018年。
問題は、ここで高橋GM(や前田社長)と、エスナイデル監督との間で、チーム作りのコンセンサスが、どう図られていたのかと言うところだった。

「昨シーズン、1年かけてチームに浸透したことが、戦力を多少入れ替えてもしっかりとワークするという考えも甘かったです。(高橋GM)」

高橋GM、前田社長のインタビューを読む限り、恐らくはサポーターの考えと同じように、昨年終盤のジェフがベースになって、監督がチームを作っていくものと考えていたように受け取れる。

そして、昨年の成績は、当然、エスナイデル監督の指導の賜物と考え、全幅の信頼をもってチーム作りを委ねたのだろう。「監督の目指すチーム作りを存分にやって欲しい」と。
だが、ここで、信頼はしながらも、チームの成長過程を細かく確認すべきだった。長谷部コーチがチームを去り、昨年とは状況は変わっていた。「現実」との折り合いをつけるキーマンが抜け、ボタンの掛け違えが起こっていたのではないだろうか。
そうして迎えた開幕。
味スタでのヴェルディ戦。
思い返せば、2018年全体を暗示するようなゲームだった。

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スタメンは、2017年終盤戦の4-5-1のドイスボランチではなく、船山が外れ、「より主導権を握り続ける為に」アンドリューの前に、矢田、茶島が並ぶ、4-3-3のアンカーシステムに戻っていた。このシステムは、シーズンを通して安定しなかったが、指揮官はこだわり続けた。

試合は、9分に新加入の増嶋が相手を倒して一発退場。
その後、10人になりながらも人数の少なさを感じさせない各選手の奮闘もあって、一時はラリベイのヘッドで追いつくも、最終盤に失点して敗戦。

その後に続く3試合、退場や、退席で、誰かしらが欠けた試合が続き、完全にスタートダッシュに失敗。昨季の勢いは、完全に失われてしまっていた。

増嶋が退場したような、ラインの裏を狙われるシーンは、その後も相次いだ。
ジェフの進化よりも対戦相手の適応/レベルアップが上回っている事を見せ付けられ、また、ボムヨンの「速さ」で事なきを得ていたシーンが多かっただろう事を、思い知らされる結果になった。
思うように勝てないチームは、選手を入れ替え、システムを切り替え、試行錯誤の繰り返しに戻ってしまった。
その後は、昇格圏内に浮上する事無く、前半戦を終え、8勝4分9敗。
得点だけでなく、とにかく失点が多い試合が続く。

アクシデントと言うには監督も頭を抱えたくなる失点の数々、茶島のサイドバックへのコンバート、也真人の負傷離脱、得点の量産が期待されたラリベイを活かしきれない状況も続き、シーズン半ばにして、昇格を狙うには崖っぷちの状況に追い込まれてしまう。

危機的な状況の中、追い討ちをかけるように高木が柏へ個人昇格。23節にはエスナイデル監督が今季2度目の退席処分を受け、なんと4試合もの出場停止に。この時期に解任も囁かれたものの、クラブは現体制の続投を決断。

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後半戦、チームの中心になったのは、船山と、復帰した也真人。
高木の穴が怪我から復帰したばかりの乾では埋まらず、守備の穴が大きくなると下平を補強。
戦い方も、4-5-1と、4-3-3を併用しつつ、昨年終盤と同じように、極端な「ハイライン・ハイプレス」が改められて、失点のリスクを抑えた戦い方に移行。が、昨年のような大型連勝に繋がる事は無く、数試合を残してプレーオフの可能性は消滅。
むしろ、J3降格の可能性が残る状況で、終盤戦を戦わねばならなかった。
監督の「理想」のチームと、勝てる「現実」的なチーム。
その狭間にあって、結論を出せないままに終わったのが、2018年であったと思う。

誰が、チームとしての優先順位を定め、導くのか。
「理想」のチームを作るのは構わない。
けれど、「現実」的に勝てるチームを継続し、昇格への道筋を立ててから、改めて「理想」に向かってチューニングする事は出来なかったのだろうか。監督にとっては「理想」のチームを作る事が勝利への最短ルートだったのだろうけれども、折り合いをつけることは出来なかったのだろうか。

クラブ内でのコミュニケーションが不足していたように思えてならない。

史上最低順位でのフィニッシュになったが、
高橋GM、前田社長は、エスナイデル監督の続投を決断。
シーズン終了を待って決めたのではなく、かなり早い段階で続投は規定路線であったようだ。

「戦力や戦い方を変えずに、露呈した問題に対処する方法のほうが、現実に即していて、なおかつ勝利に近づく可能性が高いと僕は考えています。(高橋GM)」

が、実際のところは、2017年から2018年にかけて、効果的な上積みは出来なかった。
ただ、継続しただけでは、勝利に近づけなかった。
もっと根っこの部分で、何を継続するのか、意思統一が不足していた。
教訓を元に、来季に臨んで欲しい。
2018年12月30日現在、来季の陣容もかなり固まって来た。

也真人、指宿、清武、ラリベイらがチームを去る一方で、
寿人の復帰、茶島のレンタル延長、懸案の守備の補強としてベラスケスの獲得もあった。
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この2年間を見てきて、エスナイデル監督はかなり選手の選り好みをする事も分かった。
多くの選手にチャンスを与える一方で、清武やディエゴ、あるいは昨年のアランダや壱晟のように、力はあっても、一時期起用されていても、使われなくなると、ぱたりと使われなくなってしまう。

選手を育てるタイプでもない。
あくまで、自分の「理想」に合う選手を外から獲得してきて、組み込み、合うか合わないか試して、合わなければまた別の選択肢を探す、セレクターだ。

だから、エスナイデル監督が去った後、そこには監督の「理想」に合うある中堅以上の年齢の選手が残るだけで、監督によって育てられた若々しい「チルドレン」が残る事は、どうも無さそうな状況だ。
現在、契約が未公開の若手選手は、期限付き移籍も検討されているのではないだろうか。
「未来」をどう作るのかと言うもう一つの大きな課題は、放置されたままになっている。
目の前の成績以上の心配も、そこにはある。
来る2019年、ジェフは言葉には出さなくても、意地でもJ1に上がろうともがくだろう。
だが、今年と比べても、壁は遥かに高くなっている。
「理想」と「現実」に折り合いをつけ、ジェフの未来をどう切り拓いていくのか。

シーズン終了後、ここまでエスナイデル監督のまとまったコメントは無い。
オフシーズン、高橋GMには、しっかりと監督と意思統一を図ってもらって、来る新シーズンの前には、ジェフを愛する全ての人たちに、エスナイデル監督、高橋GM、それぞれの言葉で「今季のジェフは、かく戦う」と示して欲しい。

エスナイデル監督3年目。

2018年の終盤、フクアリの空気は明らかに悪かった。
クラブの考えが見え
い、分からない、今の成績をどう考えているのか、どう巻き返すのか、クラブは口をつぐんだままだった。不満と、不安が渦巻いていて、息苦しかった。

2019年はそんな空気を払拭し、自信をもって、
ジェフは今こう考えています。だから、応援してください。と、発信していって欲しい。
姉埼神社から始まる、新しい年が、ジェフにとって明るいものでありますように。

2018年も一年間、お疲れ様でした。
悔しさを忘れず、来季へ。