「勝手口」を破られて 第27節 vs松本 ●2-3

「勝手口」を破られて 第27節 vs松本 ●2-3
負けるにしても、負け方が悪過ぎる。

こんなの、相手が反町監督でなくても、
素人のサッカーファンでも誰でもわかる、守備の穴を放置して。
そこを、いいように使われて、あっさりと失点し、試合に敗れる。

(例えば、この24節讃岐戦のレポを読んでみて欲しい)

毎試合、今日こそは、その穴を塞いでくれただろうと試合を観る。
が、問題点はそのまま。
こんな繰り返しじゃ、選手の自信も失われてしまう。
監督、コーチが一体何を指導しているのか。
会見場に乗り込んで、質問を浴びせてやりたいような負けっぷりだった。

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メンバーは上記の通り、アンドリューが前節終盤に傷み、先発は勇人。
浩平の相方には、コンディションが整った矢田が入り、
さらに、左のウイングには清武が入った。
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キックオフと共に、双方に攻め手のある、互角の展開。
ジェフは、前線からのチェイシングと共に、守備時には、勇人がバックラインに下がり、矢田・浩平がドイスボランチを組むような守備陣系で松本の速攻に対応する。松本は割と丁寧に組み立てをし直し、最後方から、反対側のサイドへサイドチェンジをし、ジェフの陣形を揺すぶりながら、じわりじわりと攻撃を仕掛けてくる。

2トップは、前田と永井。
足の速い二人を並べ、あからさまに「ディフェンスラインの裏を狙いますよ」と宣言している。

昼間の熱気が残る厳しいコンディションだったが、前半はジェフの圧力が優り、時間が進むごとに、松本を押し込んでいく。早い時間帯から、セットプレーのチャンスも幾つかあったし、枠には行かないものの、浩平のミドルなど、チャンスも作った。

そして、前半40分、右からのクロスに相手がハンドを犯し、PKを獲得。
これをラリベイではなく、船山が沈めて先制。
PKではあったものの、そこまで、かなり何度も攻め込み、ようやく奪った得点だったので、流れを切らさず、得点を奪えた事は、大きなアドバンテージになる、はずだった。

ところが、先制点の熱気も覚めやらぬスタンドに、冷や水が浴びせかけられる。
左サイドでバックパスを受けた近藤が、一瞬判断を迷い、そのボールを詰めていた前田に掻っ攫われ、キーパーと1対1からゴールを許してしまう。

あれだけ、苦労して挙げた点が一瞬でチャラに。
こう言うときに落ち着かせて欲しいベテランのミスに、空気が澱んでしまう。

ただ、松本からすれば、これは必然だった。
試合途中から、左に前田が流れるようになっており、バックパスがあれば、厳しくチェイスを行っていた。そして、ジェフの左サイドには、それとは別に広大なフリースペースがある事を、前田は前半で実感していただろう。

まさに、ジェフの左サイドは、「勝手口」だった。

後半に入り、ギジェルモコーチは、「松本が修正してきた」と言うが、そうだろうか。

前半で「勝手口」に誰も居ない事を確認した松本からすれば、後半頭からジェフが、当然そこを修正してくるだろうと考えていたのではないだろうか?ところが、「勝手口」は開け放たれたまんま。「狂ってるんじゃないか?」「罠なんじゃないか?」そうとすら思ったかも知れない。

けれど、そんなにフリーであるならば、試してみないのも勿体無いと松本は、その穴を集中的に衝く。易々と突破できる。得点できる。
ついでに、近藤に前田がチェイスに行くシーンもまた、何度も見られた。

スコアボードは、あっという間に、1-3に変わっていた。

が、ジェフの選手達は、必死に戦っていた。
それは強調しておきたい。

特に攻撃に関して言えば、何度も組み立てなおし、前線へ運び、シュートチャンスを伺った。途中出場の為田は特に、何度と無く個人の力で打開を図り、ドリブルを仕掛けた。

けれど、それ以上に松本の守備は整備されていた。
サイドでジェフがボールを持てば、必ず2人以上が対応する。
たとえ、クロスを上げられたとしても、決してフリーの体勢で上げさせる事は許さない。

高さがあるのは、指宿が出るまではラリベイ1人。
いかにも分が悪い。当たり前だが、理詰めで、失点の確率を減らしている。

それ以外のシーンでも、例えば浩平や矢田、あるいは茶島がボールを持っても、フリーでシュートが撃てるシーンは許さない。結局、サイドに散らさなければいけなくなっていた。
ジェフは、ボールは持てても、シュートは撃てなかった。
そして、厳しい守備に遭って、カウンターを受け続けた。

ロングパス一発が、前線の前田らに届くシーンを何度も観て、
何試合か前に、大宮の大前が同じようにボールを受けていたなとデジャヴがよぎった。

80分に乾→指宿。
茶島が右SBに下がり、左には溝渕がサイドを変える。

最後まで、諦めずに戦うジェフは、為田→指宿の芸術的ヒールで、2-3とする。
しかし、時既に遅し。時間を使い切られて敗戦となった。

酷暑のピッチを走りぬいた選手達に、感動の一つも沸きそうなものだが、
頭にポツンと浮かんだのは「何て非効率な」と言う、頭を抱えたくなる一言だった。
冒頭、書いたように、チームとして守備の穴が埋められ無かった事が、致命的な敗戦の要因になった。ポジションで言えば、確かに乾ではあるおだけれど、疑問は多々残る。

1.チームとして左サイドをどう守ると決めていたか?
2.乾は今日の先発として適切だったか?
3.何故、後半頭からの修正が出来なかったか?
1.は根本的な話だ。何試合かジェフを見ていれば、両翼の裏に穴があるのは誰でも分かる。守備時には、3バックにして、スペースを埋めようとしているもの分かる。けれど、サイドでもボール
持った相手をどう潰すかが、全く整理されていない。
 乾の位置は、「常に」「高すぎて」、相手にボールが出ても、物理的に追いつけない。
 そして、スピードタイプをぶつけられると、足の速さで負け、切り返しで容易に振られる。これは、乾がそう言う選手なのだから、仕方ない。問題は、どう言うポジションをとらせ、致命的な状況を作らないよう、チームで守るかなのだが、全く出来ていなかった。

2.今日の試合、いや、今日だけでなく、乾の良さが全く出ていない。乾の良さは、守備のデメリットを補って余りある攻撃だと、個人的には思っている。村井のような、ウナギドリブルに、足でも、頭でも、FWと見紛うばかりのシュートだ。
 むしろ、ウイングで使った方が良いとすら思ってる。
 が、今日は何も無かった。ボールを持っても全く仕掛けず、臆病にボールを戻すだけだった。メリットが何も無かった。果たして、今日の先発に耐える状況だったのだろうか。

 この部分は、後で補足する。

3.そして、試合中の修正を施さなかったこと。
最終的に80分に乾は指宿と交代し、溝渕が左へ回った。溝渕は、同じように苦戦はしていたものの、少なくとも、相手に喰らいついて、ファウルを取られてでも、遅らせる事は最低限出来ていた。これは、前半終えた段階でも出来たし、2点目を喰らった段階でも修正できたはず。放置して、3点目を喰らっても、修正無しなのが、理解できない。
プロでありながら、こうまで修正が出来ない、
同じ失敗を繰り返すチームを正直、見たことがない。
本当に、試合後会見に臨む記者には、何故なのか、聞いて貰いたいけれども、ロクなコメントが残されていない。残念だ。
乾が、力を発揮できなかった理由として、
気にかかるのが、この試合に向けて、どんな練習がされているのかと言う事。
なんだか、松本がどんな戦いをしてくるか、わかっていなかったように見えた。

相手を想定した練習は、していないのだろうか?
また古い話になるけれども、かつてベルデニック監督(2001年)などは、毎週試合前にまると、Bチームを敵に見立てた紅白戦を行っていた。相手に背の高いFWが居れば、それを想定した選手を置いたりする。そして、試合中に何度も止めて、問題点をチェックして、「仮想○○」を皆で共有して、試合に臨む。

今のチームは、どうなのだろう。
自分達のやりたい事をやろうとしか、していないんじゃないだろうか。
勝敗よりも、試合で、表現したいサッカーを如何に見せられるかの方が、そんなアーティスティックな拘りの方が、優先順位が高くなってはいないだろうか。
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もやもやっと残ったのは、
監督や、コーチ陣が、勝利の為に最善の準備を尽くしたと、思えなかったこと。
自分達のやりたいサッカーのベースがあるのは結構。
が、その上で、意地でも勝つ事が、最優先じゃないんだろうか。

選手達の頑張りが、「拘り」に足を引っ張られているようじゃいけない。
「勝利」の先にこそ、「自信」に裏付けられた、やりたいサッカーへの「確信」があるはずだ。

特に前半、良いサッカーの片鱗が見えていただけに、
ミスと、分かりきった守備の穴で勝ち点を失った事が、悔しくてならない。