鬱憤を叩きつけて 第5節 vs讃岐 ○6-1

鬱憤を叩きつけて 第5節 vs讃岐 ○6-1

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桜が咲き始めたと言うのに、関東は冷たい雨や雪になった。
ジェフは開幕から四試合勝ち無し。
フクアリにも、この空模様のように、重たい空気が漂っていた。

開幕前の期待が大きかっただけに、この結果に誰しもが戸惑い、焦りを覚えている。
けれども、終わってしまったゲームは戻らない。
やれる事は、残り38試合にベストを尽くすことだけ。
そう言う覚悟が、今日のゲームにはあった。

12時過ぎに届いたスタメンにまず驚く。
前節からの大幅変更で、俄かには布陣が分からない。
近藤が復帰し、エベルトも、鳥海も居るから、これは3バックだと気付く。

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さらに、勇人、清武、船山がスタメンに入り、
昨年のジェフをベースに、3-4-3のドイスボランチと思しき布陣。
そしてサブには、指宿、也真人、為田、茶島、矢田がずらりと控えている。

正直、今日、これだけメンバーを弄って来るとは思わなかった。
90分、11人で戦えれば、4-3-3のアンカーでも結果は出せる、
監督はまだ拘るんじゃないか、その予想は驚きと共に裏切られた。

恐らく、讃岐にとってもこの布陣変更は予想外だったのだろう。
雨の中、ゲームが始まると、対応できない讃岐をジェフが押し込む展開になった。

守備面でのポイントは2つ。
近藤の復帰と、ドイスボランチの採用だ。

ディフェンスリーダーの復帰によって、ラインコントロールが俄然安定した。
それに加えて、ドイスボランチで熊谷と勇人がボールの出し所を潰しまくる。
讃岐は、原一樹をはじめ、危険な選手を擁してはいたものの、これまでの対戦相手と違って、
容易にジェフのラインの背後をつく事が出来なくなっていた。

3バックになったことで、高木、山本の裏をエベルト、鳥海がカバーするようになり、
敵のサイドアタックもケアできるように整備されていた。

この守備の安定をベースに、チームは縦に早くボールを動かす。
船山、清武の2人は、サポーター以上に鬱憤を溜め込んでいたことだろう。
ラリベイとのトライアングルは、昨年を通じて練りこまれて来た連携。
そこに、この試合で結果を出すという強い意志が、2人からありありと見えて、
早い時間からゴールへの臭いを漂わせていた。

その流れのままに、ゴールを生み出したのは、左のWBに入った高木だった。
高木は、この日MVPとも言える活躍で、讃岐の右を蹂躙しまくった。
13分には、ドリブルで持ち上がり、そのままシュート。
コースを衝いたミドルシュートがそのままゴールへ。

見事な先制点かと喜んだのもつかの間。
不可解なオフサイド判定で取り消しに。

それでも、その6分後の19分に、清武のクロスを頭で合わせて正真正銘の先制弾。
この得点だけでなく、5点目のPKを奪ったドリブル、6点目を生んだ左からのクロス、
それ以外の場面でもクロスを上げる、時には中に切れ込むなど、自由自在のプレーを見せて、
ジェフの攻撃を牽引した。これほど、攻めることが出来る選手だったとは。

前半は、この高木の1得点のみではあったものの、大きな流れはジェフ。
ただ、数度は讃岐に深々と攻め込まれ、あわやというシーンは作られてしまっていたし、
安易と思えるGKへのバックパスも散見されていた。

攻撃では、決定力を欠いた前半。
後半、仕留める事が出来るか?
それが大きなテーマだった。

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そして、後半、これまで沈黙していた攻撃陣がついに火を噴いた。
前半以上に、セカンドボールを素早く繋いで攻めるジェフは、波状攻撃を展開して、
讃岐を自陣に釘付けにしていく。

清武のシュートが2度、惜しくも枠を捉えきれない。
しかし、ゴールには近づいて来ている。
そう思った矢先、右からの船山の突破、シュートから、ボールが清武にこぼれ、
ワンフェイクを入れて、ボールを流し込む。

さらに、CKからのこぼれ球を近藤がシュート。
そのボールを船山が迷わず振り抜いて、3-0と突き放す。
今季、これまで、我慢の時間が続いた2人が、立て続けに結果を出す。

ここで、エスナイデル監督が動く。
讃岐は、更に押し込むことが出来ると睨んだのだろう、勇人に代えて茶島、
さらには、熊谷に代えて矢田を送り込んで、
矢田&茶島という、超攻撃的なドイスボランチで、更なる得点を奪いにいく。

ドイスボランチと書いているものの、
これまでやってきた、インテリオール2枚からアンカーを抜いてしまったような、
ある意味では、守備を放棄したような、「攻撃は最大の防御」を地で行くような布陣だ。

そして、それがこの日は効いた。
82分には、茶島が素晴らしいコントロールショットで、左隅に打ち込み、
エンブレムを叩いてゴール裏を煽れば、

高木の突破で得たPKをラリベイが沈めて、
これまたスタンドに向かって吼える。

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トドメは、高木の突破から左クロス。
ラリベイのボレーは届かなかったものの、山本が詰めていて、6-0とする。

ロスタイムに、高木が足を吊って下がり、10人になったところで失点したのは残念だったが、
これまでの鬱憤晴らしをするようなゴールラッシュで、一気に得失点差を+-0とし、
ホーム・フクアリで、出直しを誓う勝利をあげることが出来た。

本当にようやくの勝利だった。

2~4節、近藤の負傷と言うアクシデントで、急造の守備陣で戦わざるを得なかった。
もしかしたら、緊急出場だったのかも知れないが、それでも今日はその近藤が居たおかげで、
チームは安定を取り戻した。

追い込まれた中で、理想よりも現実にシフトしたシステムで、得点と勝利をもぎ取った。
失われつつあった、自信を取り戻すという意味では、何よりも
利が必要だった。
ここで負けていたら、本当に危なかった。
チームは、ギリギリのところで踏みとどまった。

が、出遅れた分、これからますます一戦一戦が大切になる。
まず、今週日曜のホーム・京都戦。
そして、4月は苦手のアウェイばかりの戦いになる。

大勝したとは言え、脆さは、そこかしこに垣間見えた。
そこを分析して、より安定感ある戦いに繋げて欲しい。

清武、船山の、去年から居るメンバーが結果を出した。
一方で、今季加入した茶島も結果を出した。
ベンチに温存された也真人も、今度こそは自分だと意気込んでいるだろう。

小島、溝渕、増嶋、そしてゲリアもいる。
今日の勝利と、ますます激しくなるポジション争いでチームを高めて、
これから一つずつ、勝利を積み重ねていって欲しい。

あと37戦。
雨に濡れた桜も、
このフクアリの熱気と、地道な練習があれば、
もうすぐ咲き誇ることだろう。

皆で支える、皆で戦う。
その覚悟で頑張りましょう。

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