何度目かの試練 第31節 vs東京V △2-2

何度目かの試練 第31節 vs東京V △2-2
試合の感想を文章にするとき、
終わってすぐにその熱さのままに書いた方が良い試合と、
逆にしばらく時間を空けてから書いた方が良い試合がある。
先日のヴェルディ戦は、後者の試合だった。
この数試合、ジェフが苦しんでいる。
素晴らしい内容を見せたベルマーレ戦で勝てなかった事が、
歯車を狂わし、全ての回転を悪くしてしまっている。
山形戦では、ミスから同点に追いつかれ。
岐阜戦では、出場停止選手が3名出る中で、
新加入のオヘーダを先発させ、連携が乱れ、敗れてしまった。
「流れ」は気まぐれなもので、ほんの少しのきっかけで、
ふっと離れていってしまう。
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ヴェルディ戦も難しい試合だった。
熊谷が出場停止となり、キムボムヨンも欠場。
ここ数試合でポジションを掴みつつあった溝渕も、前節の出来が影響したのか、
この日はベンチにすら入る事が出来なかった。
対するヴェルディは、好調を維持。
プレーオフ圏内の6位につけている。
ジェフとしては、勝たなくては追いすがれない。
ヴェルディとしては、ここで叩いておきたい相手であった。
試合を通じ、優勢を維持したのはヴェルディだった。
ジェフは、どことなくプレスがぎこちない。
単純なプレスの密度もベルマーレ戦と比べれば薄かったし、
何より厄介だったのが、ヴェルディが、彼ららしい「上手さ」を随所で発揮していた事だった。
例えば、ボールを難しい体勢で受けとった時、
他のチームだったらキープできないようなものを、粘り強く自分たちのボールにする。
チョロチョロ、ガツガツ煩かった安在のように、
1対1で対峙したとき、狭いエリアでもドリブルで抜いて来る小技がある。
そして、さらにゲームを難しくしたのが、
ドウグラス・ヴィエイラと、アラン・ピニェイロの2人の外国籍選手。
この二人にボールが入ると、途端にパワフルになる。
それらが、有機的に絡み合って、ヴェルディペースを作り出していた。
天皇杯での対戦時とは全く違う。
ジェフは、久々の先発となったサリーナスがゲームになかなか入れない。
前線の5人ーーーラリベイ、清武、也真人、矢田までは、スムーズなのだが、
サリーナスのところで、歯車が砂を噛んだように動きが悪くなっていた。
船山を先発から外した選択が、うまくプラスに働かなかった。
前半はゲームが動かず。
ここまで、オヘーダと若狭が先発しているディフェンス陣も、大きな破綻なく無難にこなしている。
そして、迎えた後半。
数少ないチャンスを先にゴールに結び付けたのはジェフだった。
クロスボールからのこぼれ玉がラリベイの足もとに収めると、
狙い澄ましたグラウンダーのシュートを、サイドネットに突き刺した。
後半、サポーター側に攻めるようになり、勢いは増していたが、
これは、ラリベイの嗅覚と技術だからこそのゴールだった。
思わず、「上手い!」と声に出してしまった。
このゴールで勢いづき、ジェフの流れだったのだが、
ヴェルディはすぐさまにドウグラスが同点弾を突き刺し、
さらに、ハイラインのケアの為飛び出したオヘーダの裏にロングシュートを梶川にねじ込まれ、
瞬く間に逆転を許してしまった。
「流れ」をキープできない。
相変わらずなジェフの悪癖に、もったいなさばかりが募る失点の仕方だった。
ヴェルディからすれば、逆転は望外のものだったろう。
やや引いた形で、ゲームを落ち着かせようとする空気を感じた。
篭られると、厄介だ。
ジェフは、65分にサリーナスに代えて大久保を投入。
この交代の時のフクアリの空気がなんとも言えず、奇妙だった。
シーンと静まり返り、サリーナスへも大久保にも、コールが続かない。
みんな、図りかねていたのだろう。
この交代の意味合いを。
大久保は最終ラインに入り、乾と山本真が前にポジションを上げた。
久しぶりに見る3バックだった。守備時にはWBの2人が下がって、5バックのようになっている。
そして、吉凶を窺う前に、その大久保が結果を出してしまう。
点を取って来いとは送り出されていないだろうが、
投入後すぐ、クロスボールをヘッドで叩き込み、同点弾を叩き込む。
そこからは、ホームの声援を受けたジェフがやや押し気味の展開で試合が進むも
負けなければ良いと考えているかのようなアウェイチームは、ゆっくりとゲームをクローズにかかる。
80分過ぎから、交代を小刻みに繰り返し、時間を使いながらジェフの隙を狙う。
反対に、勝たなければ差を詰められないジェフは、81分に指宿を投入。
セットプレーでは、指宿、ラリベイ、乾、近藤、若狭、大久保と180cm以上の選手をずらりと揃え、
時には大久保がロングスローを見せて、パワープレーで1点を奪いに行くも、どうしても1点が遠い。
試合は、ドローで終わった。
内容を振り返れば、ドローで助かったゲームだったとも言える。
試合を通じて、ペースを握ってコントロールしていたのはヴェルディだった。
その一方で、勝って差を詰めたい。どうしても勝ちたいゲームだっただけに、落胆も大きい。
やっぱり、チーム作りは一筋縄に行かないなと改めて思う。
ベルマーレ戦で掴んだきっかけから、拍車が一気にかかるかと思ったけれど、
ミスや、出場停止や、ちょっとした楔で、脆さが顔を出してしまう。
今季も残りは11試合。
プレーオフを窺うには、ここからが正念場。
「3歩進んで、2歩戻る」ような、試合結果が続くけれど、
今季の集大成を残り試合では出しきって、選手も、サポーターも、
今季は良い成長が出来た一年だったと振り返れるように、やりきって終わりたい。