試金石の一戦 第18節 vs福岡 △0-0
- 2017.06.10
- GAME REPORT 雑感
酷い砂嵐に見舞われ、逆サイドの視界もままならないフクアリ。
ジェフは現在14位。
対戦相手は、勝ち点10の差で首位を走る福岡。
その福岡相手にどんなゲームが出来るか、これからのジェフにとって大切な一戦となった。
この日のジェフは4バックをチョイス。
何と言っても、今季初スタメンとなる、GK山本海人が目を引く。
これまで、極端なまでのハイラインを敷くジェフでゴールマウスを守り続けて来たのが佐藤優。
極端な戦術ゆえに、ミスもあったが、これまではポジションを譲らなかった。
それが、ここでついに山本海人を試す事になった。
フィールドプレーヤーでは、アランダに代わって、スタートから也真人。
また、前線には船山がスタメンに復帰。
純国産のメンバーとなった。
対する福岡は、前線にウェリントンと、ウィリアン・ポッピを並べ、その後ろには坂田らが並ぶ。
サブにも城後や、松田力が控え、スタメンと遜色の無い層の厚いメンバーだ。
試合が始まると、前半半ばまで試合をリードしたのはジェフ。
先発の也真人や、前線の指宿、清武らが絡み、中央でタメを作りつつ、乾、山本真の両翼の攻撃参加を引き出して、チャンスを作る。時折見せるミドルや、やや強引な突破からのシュートシーンで福岡を脅かすと、セカンドボールをキープして、ジェフの時間帯をなかなか切らせない。
しばらくは押し込まれていた福岡は、段々にペースを取り戻すと、やはりと言うべきか、前線のウェリントン、ウィリアン・ポッピの個人技を活かしながら、ゴールに迫る。
ウィリアン・ポッピの突破から、中央のウェリントンがあわせるパターンは、分かってはいてもなかなか抑えることが出来ず、マークが居てもシュートを撃たれてしまう。あわや失点というシーンもあったものの、精度を欠いて、ジェフのゴールが揺れることは無い。
初先発の山本海人も、全く慌てるそぶりが無い。
佐藤優也の場合、黒ひげ危機一髪のように、極端な飛び出しでボールをクリアするのだが、山本海人の場合は、そこまで切羽詰って飛び出すシーンがこの日はあまり無かった。ハイボールは確実に処理するし、繋ぎも正確で、今日のゴール前には、どっしりとした落ち着きがあった。
互いに一進一退の展開が続く。
お互い、セットプレーも含めて、チャンスはあるものの、決定打にはならない。
ゲームは後半勝負になった。
選手交代は無く、後半を迎えると、まずます砂嵐は酷くなった。
目を開けているのも辛く、スタジアムに吹き込んだ砂が、また風で舞い上がってつむじを巻いている。
両チームとも、暑さと相まって相当にやり辛かったろうが、悪コンディションもあまり感じさせず、後半も攻め合いとなった。
福岡が、前に出てきてくれる戦い易さはある。
篭られてしまうよりも、攻めてくれたほうが、カウンターの際にスペースはある。
前半同様に、也真人や、指宿を基点にしながら、サイドを崩し、中を窺うものの、福岡の寄せもなかなかに早く、決定機を作れない。
逆に福岡には、こちらの守備の隙を衝かれ、決定機を許してしまう。
ただ、そのいずれも、山本海人がファインセーブでしのぎ、事なきを得る。
そして終盤、流れは再びジェフへと傾く。
交代で、菅嶋、熊谷、キムを投入して、3バックにチェンジしていたジェフ。
なかなか、流れの中からは崩せなかったものの、セットプレーからチャンスを掴む。
一度は、キーパーの弾いたボールを菅嶋がシュートしたシーン。
流し込むだけだったが、精度を欠いてしまった。
そして、ロスタイムのシーン。
ラインを割っているようにも見えなくも無いが、こう言うシーンは何度も観てきた。
ネットに突き刺さなくては、得点にはなかなか認められないものだ。
そして、試合はドロー決着となった。
90分間を観ていて、ワンサイドで福岡にやられたと言う事は全く無かった。
危ういと言われていたディフェンスラインも、大きな破綻を見せなかった。
決められなかったという大きな問題は残るものの、両翼の崩しにせよ、中央からの攻めにせよ、形が出来つつあるように思える。
ようやく軸になるメンバーが固まりつつある。
ポスト役の指宿、その周囲を固める清武に船山、インテリオールの也真人とイッセイ、アンカーの勇人、センターバックに近藤と岡野、左にはボムヨンと乾が居て、右は山本真。キーパーには佐藤優に加え、山本海人が台頭した。
多くのメンバーが試合を経験し、その中で、だんだんに骨格が整ってきた。
そのメンバーで、自分達が志向するサッカーをし、首位に互角以上の戦いを演じたのは、自信を持って良いのではないかと思う。
もちろん、相手が篭ったときにどう言う戦い方が出来るのか、とか、課題は残る。
けれど、戦い方が安定するにつれ、「ガードの上から殴る」ような攻城戦も出来るようになるのではないだろうか。これから数試合、その成長を見るのが楽しみだ。
スコアレスドローに不満が無いわけじゃない。
けれど、それ以上にチームが成長していると感じられた一戦だった。
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