この流れを逃すな! 第38節・群馬戦

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時間は後半40分。
スコアは、0-1。

秋葉め、上手くジェフ対策を練ってやがる。
森本はガチガチにマークされ、左サイドは何重にも守りを固められてる。
本職じゃない慶の右サイドの緩い守りとはえらい違いだ。

既に井出、ケンペス、兵働を投入。
攻勢はかけてはいるものの、打開の糸口が掴めない。

群馬はボールを奪えば、手数をかけずに中盤を飛ばして前線に蹴ってくる。
前の選手は総じて仕掛ける意識が強い。
孝太にやられた失点が重く圧し掛かる。

正直、今日はこのまま逃げ切られるかと、頭をかすめていたところだった。
それがまさか。

中央にボールが渡る。
よく見えなかったけれども、ペスが左足を振り抜いたのはかろうじて分かった。
勢い良くシュートが突き刺さり、けれども喜びもしないペスの姿がある。

ああこれは。
これで終わる気は無い。
勝ちきるつもりだなとスタンドに空気が伝わる。

前節の森本の強烈なゴールの余韻も相まって、
群馬のスタンドの半分を埋めた黄色いサポーターから、
「この試合勝つぞ」と、気炎が上がる。

時間はもう無い。
とにかく前へ。
ペスが、井出が、何度かチャンスを掴みかけるが、ミートしない。

ロスタイムも2分が過ぎ、左の崩しから、ペスがシュートを放つ。
外れたと思った軌道のシュートが、突然方向を変えてゴールに飛び込んだ。
まさかのオウンゴール。逆転。

こう言う事は、めったにあるもんじゃない。
それこそ、孝太が胸で飛び込んだ小瀬か、それとも2008年の最終戦か。

ゲーム内容はよくなかった。
群馬のゲームだった。
しかし、勝ったのはジェフだった。
重い、意味のある勝利。

強く感じるのは、大きな流れを掴みつつある事だ。
それを、しっかりと掴むことが出来るか。
それとも、みすみす逃してしまうか。
運だけじゃ説明できないものを、手繰り寄せるのは、最後まで全力を尽くし、
相手の意思を挫けたかどうかだろう。

そして迎える、ホーム・磐田戦。
一ヶ月前、 この試合を、こう言うシュチュエーションで迎えると予想できただろうか。
「こうだったら良いな」ぐらいに思っても、それが現実となるとは。

次節が全てでは無いのは分かっている。
けれども、シーズン終盤、大事な試合をホームで迎える事が出来る喜びが抑えられない。
こうなったら、緊張感も含めて、楽しんで勝ってやろう。
今季がどう言う結末を迎えるにしろ、絶対に磐田戦は面白い戦いになる。

その空気を作るのは、選手であり、サポーターだ。
さあ、一週間後が楽しみになった。