ヤマト発進 天皇杯・2回戦 カマタマーレ讃岐戦

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ジェフにとっては、毎年のように苦戦する天皇杯初戦。
今年は、ほぼフルメンバーに近い陣容で挑み、5-0の快勝を収める事が出来た。

エースとして先制点を挙げたケンペス、好調を維持して追加点を挙げたヨネ。
らしさを発揮して2得点を挙げた勇人、移籍後初の得点を決めた峻希。

それぞれに持ち味を発揮した試合だったと思うけれど、
今日は敢えて彼らではなく、今季初めてチャンスを掴んだヤマトの活躍を中心に語りたい。

昨年の入団以来、なかなか出番を掴む事が出来なかったヤマト。
けれども、練習試合を見る限り、力の片鱗は端々に見せていた。
確かに、フィジカルの弱さはある。
それでも、補って余りあるほどの技術と敏捷性がある。

そして、それは、ジェフに欠けているものであると同時に、
サポが求めているプレーでもあったと思う。

足にガチガチのテーピング。本調子とは言えないコンディションなのは見た目にも明らかだったが、
先発と言う千載一遇のチャンスに、序盤からヤマトのプレーにはキレがあった。
他の選手との大きな違いは、常に次を見据えて、手数をかけずに「前」にボールを運ぶこと。
ワンタッチのプレーが多く、相手よりも速く。味方すら欺くように、意外性のあるプレーをする。

待ってボールを受けるのではなく、動いてボールを受ける。
動いた瞬間には、次に何をするのかを、ピッチを俯瞰して見定めている。
そのプレーを例えるのなら、往時の羽生のようなプレー振りだ。 

ヤマトのプレーが潤滑油となって、前線のプレーが回り出す。

序盤、次々とシュートチャンスを作れたのは、
ヤマトのプレーに連動して、各選手のプレースピードが上がったからだった。

多くのチャンスに絡んだヤマトだったが、
特に良かったのは、後半、ワンタッチで大介に出したプレー。
得点には至らなかったものの、「そこに出すか」と久々に思わせてくれた意外性あるパスだった。

もちろん、不用意なパスでミスを犯したシーンもある。
しかし、若手選手がチャレンジもせず、萎縮して、安全策しか採らないプレーなんか見たくない。
これからも、もっともっとチャレンジしてくれればそれでいい。

『使ってくれさえすれば』その才能を発揮できる選手はたくさん居る。
出れないのは、その選手の力不足、努力が足りないからと言い切るのは簡単だ。
しかし、ジェフはあまりにも多くのそうした可能性を潰しすぎてきた。
J1への残留に、J1への昇格に汲々として、若手の可能性に託そうとしなかった。

ヤマト然り、今季途中からスタメンを掴んだ大塚然り。
トップで使えば、煌々と光を放つ選手はまだまだ居る。

井出、祥、栗山と言った選手達も、今日の試合でチャンスを与えられても良かった存在だ。
今日の試合がきっかけとなって、ヤマトに、そして若手達に、トップへの道筋が拓かれる事を願って止まない。
 
そうする事で、今のトップの選手達も安穏としていられなくなる。
腐らず、意地を見せ付けてくれたヤマトのプレーが、今日はたまらなく嬉しかった。