拭えない悪しき伝統 第17節・岐阜戦 

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ああ、「やっぱり」 。
選手・監督・スタッフが代わり、クラブハウスもスタジアムも変わっても。
ジェフはジェフだ。

だから言ったんだ、今日はやばいって。 
やる前から、勝敗が決まってるんだったら、試合なんてなんてやる必要ない。 
「こう言うこと」があるんだって、身を持って示してきたのは、他ならぬジェフだったじゃないか。

相手が最下位。
こっちは連勝記録目前。
最多得点、最少失点。
フクアリでは無敗。
そして、勝利を期待する大勢の観客。

「なんで」なんて、理屈じゃなく。
「こう言う」シチュエーションにとことん弱いんだこのチームは。
「臨海不敗神話」とか言い始めた時もそう。
口に出して、そう言うと、勝手にプレッシャーで自滅する。

まるで、スーパーマリオで、無敵状態で相手を倒しまくっていたところで、
調子に乗って、空いていると分かって見えてる穴に突っ込んで死ぬかのように。

まして相手は、熊谷で、メドウで、辛酸を舐めさせられた岐阜。
全然、楽観できる相手じゃない。 

それが分かっていたから、「今日こそは」との思いでいた。
悪しき伝統は、いい加減、真っ白に拭わなくては。
けれど、そんな思いを嘲笑うかのように、伝統は脈々と生きていた。


情緒的に振り返ったって、敗戦を取り返すことは出来ない。
敗戦にはそれなりの理由はあった。

まず、ゲームの入り。
感覚的なイメージに過ぎないが、えてして戦前の予想が優位な場合、ジェフは慎重にゲームに入る事が多い。
この日も、ゆっくりとした立ち上がり。
もちろん、岐阜がベタ引きだった事もある。
けれど、戦力差を考えれば、最初からプレッシャーをかけまくって、爆撃を仕掛ける事も出来たはず。
それはせず、スローテンポでゲームに入った。

そこに、岐阜の強力なプレスが襲い掛かる。
出足で後手を踏むと、ボールは前に進まず、後ろに下がるばかりになる。
勝てなかった松本戦や、富山戦、岡山戦でも、それは顕著だった。

相手の球際の強さは、木山監督もコメントしたとおり。
掻い潜れないまま、徐々に時間が経過していく。
ここ最近は、早々に点が獲れていたから、余裕を持ってプレーが出来ていた。
それが出来ないと、チームは途端に脆さを見せる。

たぶん、プレーしている選手達も、違和感を感じていただろう。
なかなか、ギアが5速全開にならず、2速か3速、あるいはサイドブレーキを引いたまま走っているかのような、重たい動きに、いらいらとしている様子が見て取れる。
兵働は狭いエリアに押し込められ、大介は、先を考えずにボールを受けては、しばしばブレーキになる。

そうこうしている間に、セットプレー崩れから失点する。
焦りに火がついた。
岐阜の攻撃にさらされて、わたわたと慌てはじめる。

けれど、この時点では、まだ前半。立て直す時間は十分あった。
不本意な前半を終え、監督の檄に、選手交代に期待がかかる。
ピッチ練習で、一人だけ動きが早いのは勇人。
大歓声に送られ、交代の準備に入る。

ただ、交代は、周りのサポ仲間が予想していた交代ではなかった、
前半の出来を見て、代えるなら大介、そう思っていたら、変わったのは健太郎だった。
木山監督は、よりボールを動かせる選手をピッチに残し、後半の巻き返しに出た。

ホームのサポーターに向かって攻める後半は、ある意味ちょっとした魔力のようなものがある。
フクアリの屋根に跳ね返る、ホームの歓声。
それが力となって、選手達の背中を押し、テンポが一気に上がる。

最初の10分間は確かにそうだった。
ただ、惜しい所までいくものの、最後の最後で崩しきれない。
点が入らない、思い通りにならない、そうなるとはやる気持ちは、さらなる焦りに変わっていく。

ジェフは、残り時間の交代で打開を図る。
66分には、久々の出場になるヨネを送り出す。
しかし、この交代に、少しばかりチームの焦りが乗ってしまったように思う。
 
大岩に変えての出場。
これで、田中が右のサイドバックに下がる。
オプションとしてはあるんだろうが、明らかにスクランブルの布陣。
ヨネ自身、まだまだ周りとのコンビネーションを合わせ直しているところだろう。
慣れない布陣に、流れるようなコンビプレーは鳴りを潜める。

76分にはオーロイも投入して、早々に枠を使い切る。
布陣として書けば、このような感じではあるのだけれども、実質、右は田中がウイングバックのような状態。
前は渋滞して、ポジションチェンジもあって、よくわからない。

--オーロイ--
米倉-兵働-深井
-大介--勇人
武田----田中
--智--竹内-
---岡本---

岐阜は、集中力を切らさない素晴らしい守りを見せる。
この間、GK正面を突いた深井のシュートをはじめ、チャンスはあるにはあったものの、何故か「運」が無い。
今日、敗れる事が、前々から決まっていたかのように、ボールの転がる向きが、シュートが、思うようにいかない。

戦前に慢心の戒め、ベストメンバーで挑み、
交代策を尽くし、それでも尚、内なる敵に勝つことが出来なかった。
0-1。
負けるならば、これしかないスコアで、ものの見事に敗れてしまった。

サッカーとはこう言うものだし、こうだから、このニ年間、ジェフはJ2に居る。
もう一度、J1に上がるならば、拭わなくてはならない悪しき伝統。
拭うには、もう一度6連勝して、もう一度、この壁に挑まなくてはならない。

6連勝したから、J1に上がれるんじゃない。
シーズン最後に、2位までに入らなくては上がれない。
上がりたいなら、とっとと、顔を上げることだ。