繋がり始めた攻撃 第15節・熊本戦

繋がり始めた攻撃 第15節・熊本戦

20120520_kumamoto
癪に障るんですよ。

これまでが、たまたま上手く行ったからって。
そんな事が。たかだかエンドを変える事がジェフ対策のように思ってることが。
苦しんで、苦しんで、スタイルを模索しながら、3年目のJ2を戦いもがいてるジェフが軽く見られたようで。

だから、どうしても高木監督に、吠え面かかせてやりたかった。
「そんな小細工、通じないよ」と。
エンドを変えた時に起こったブーイングは、きっと同じ思いのサポが多かったからじゃないだろうか。

そして選手達にも、そう言う思いは少しは伝わったんじゃないだろうか。
前半の3ゴールはどれも、サポの目の前で決めるべき美しいものだったから。
嬉しかったですよ、そりゃ。
エンドを変えてくれたおかげで、目の前で良いゴールが見れて。


前節、大勝した町田戦と変わらない布陣。
ただ、えてして大勝の後は気が緩んで、難しいゲームを戦ってしまうもの。
選手達も、それを気にかけていた。

ただ、そんな不安はキックオフと共に霧散。
前半から「らしい」プレーを連発してくれた。

この日のジェフは、中央もサイドも、選手の距離感が良くて、小気味の良いパスが繋がっていた。
前に向かう意識が強くて、安易なバックパスがほとんど無い。
中央では、縦パスや、サイドの裏を狙うパスの意識が、サイドバックは相手を一人抜くぞと言う勝負の意識が、それぞれ普段よりもずっと強くて、それが相手への脅威になっていた。

ここまでのジェフなら、攻めても、回すばかりでシュートを撃てず、戻すことも多かったろう。
それが今日は、フィニッシュへの意識、そして何より精度が抜群に良かった。

先制点となった藤田のダイレクトボレーは、武田の高精度の左クロスを、左足で合わせてニアを抜いたもの。
クロス、シュート、それぞれのレベルが高い、綺麗な一撃。

さらに大介の追加点は、中央でのダイレクトのパス交換から、相手のGKの位置を見切った上で、ペナルティエリアの外から、ゴール右上に美しい弧を描いたビューティフルゴール。
スカパーのベストゴールに選ばれるのも納得の、極上の一撃。

トドメの3点目は、2点目の直後、兵働の素晴らしいボディフェイントで、ディフェンスの注意を右から上がる大岩から逸らし、フリーになった大岩が、これまた高精度のクロスを中央の田中に合わせたもの。
これも、教科書通りの文句なしのゴール。

2得点はこちらのサイドバックが、3バックの脇のスペースを破ってクロスを上げたもの。
相手の3バックを完全に崩しきった3得点で、一気に試合の趨勢を決めてしまう。
その後も、大岩の強烈なミドルシュートを始め、前半はこれでもかと攻めまくる。

熊本は前半途中から養父を投入し、修正を図るものの、すぐには流れは止まらない。
後半も開始早々に深井のシュート性のクロスから、田中が押し込んで4点目。
狙い通りの展開。 ここまでは完璧だった。

ただ、こうも点差が離れると、なかなか集中を維持できないもの。
4点目が入った後は、流れが一転、熊本のチャンスが続くようになってしまう。 
ジェフからすれば、そこまで焦る必要も無かっただろうから、ペースダウンは理解できる。
ただ中には、一点モノの危ういピンチも数回あった。
そこは、岡本が集中を切らさずに守りきった。

藤田 → オーロイ
田中 → レジナルド
兵働 → 勇人

劣勢に置かれながらも、リザーブの選手たちを「試運転」する余裕も見せ、終わってみれば、4-0の快勝。
それぞれのゴールは、見事に崩したゴールで、文句のつけようが無い。
後半、攻め込まれた時間帯さえ修正できて、落ち着いてやり理過ごせたのなら、より完璧だったのだが。
それは、成長の余地として残しておこう。

最後にこの試合、再三のピンチを防いだ岡本と、
五輪代表を目指す、トゥーロン国際大会に出場する大岩の発奮は特筆に価した。
大岩は数試合チームを離れる事になるが、ジェフで見せているパフォーマンスを代表に繋げて、五輪代表の座、掴みとって欲しい。