上々の滑り出し 第1節・山形戦

上々の滑り出し 第1節・山形戦

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ちばぎんで片鱗を見せた2012年の木山ジェフ。
大切な開幕戦は、一週間前の期待を裏切らない、素晴らしい内容で勝利を飾ってくれた。

米倉が負傷した事で、先発には佐藤健太郎がボランチに入り、勇人とコンビを組む。
一列前には、右に兵働、中央に深井、左に大介が入り、ワントップには藤田と言う布陣になった。


ゲームの入りは、ちばぎん同様にアグレッシブなもの。
前線からの追い込み、ボールを持った選手へのプレッシャー。ボールを奪えば、繋ぐ事を意識ながらも、手数をかけずにゴールへと迫る。「前へ、前へ」の意識が強く、去年までのようなバックパスはほとんどない。 

先発した佐藤健太郎も、中盤の潰しで大いに貢献している。
兵働がこの位置に入った時と比べると、展開力の面では劣っているものの、守備が効いているのが分かる。
そのぶん、シンプルに前へ叩くか、もしくは一列下げてサトシがら前線へ長いボールを入れるか。

判断を行う際にも、各選手が去年とは打って変わって「動ける」ようになっており、パスコースがいくつもある。
選手同士良い距離感が作られ、徐々にリズムが作られていった。

ただ、前半に関してはお互い五分の出来だったと思う。
ジェフからすれば、山形のように地味な作業を実直にこなしてくるチームは得意な相手ではない。
運動量を保ち、ボディコンタクトを厭わない。しつこく、サイドのスペースと、ディフェンスラインの裏を狙うシンプルな攻撃。小林監督から奥野監督に代わって、混乱する事も無く、選手一人一人がサボらずに役割をこなしている。

厄介だったのはスピードのある中島。
何度か、武田がスピードに翻弄されるシーンもあって、失点寸前のクロスもあった。
けれども、それを何とか凌ぎ、がっぷり四つの展開が続く。

お互いの切り替えが早く、ストレスの少ない試合。
ジェフは、最終ラインのサトシが、しっかりとラインを押し上げ、チームをコンパクトに保つ。前線では、藤田がとにかくボールを追いかけ、競って、落とす。全盛期の巻を髣髴とさせるようなプレーぶり。
補強された選手が、力を発揮し、徐々にチャンスが増えていく。

期待感を持って迎えた後半。
均衡を破ったのは深井のビッグプレーだった。左サイドでボールを全力で追いかけ、ラインを割りそうになったボールを、辛うじて残す。山形も、ボールが出ると油断していたのか、深井はノープレッシャーでクロスを上げると、合わせたのは藤田!

ニアを衝く、決して簡単ではないシュート。
歓喜のガッツポーズでスタンドへ吼え、応える。

この一撃でさらにジェフの攻勢に火がつく。ゴールの直後にも、ゴール前まで深々と崩し、シュートを立て続けに放つ惜しいチャンスもつくる。ゴールにはならなかったものの、ペースはジェフのものになっていく。 

山形は、交代で糸口を作ろうとするものの、流れは変わらない。
この日のジェフは、素晴らしく前線からの守備が機能していた。追い込み、囲んで、ミスを誘う。そこからシンプルに攻める。後手に回る山形が、後ろからジェフの選手を追いかけるシーンが増えていく。

追加点は、またも藤田。
左からのクロス、今度は武田からのボールを、真ん中で合わせてGKの股を抜く、鮮やかなシュート。
この日の流れならば、試合を決定付けたと言える2点目だった。

勝利に限りなく近くなったが、そこからの交代が、また至極妥当なものだった。
最初に投入されたのは、大介に変えて荒田。
結果を出した藤田、負傷離脱した米倉。そして、オーロイが控え、さらに噂の新外国人FWレジナウドの存在もある。短い時間だろうと、生き残る為には、何より結果が必要。投入されるや、俺にボールを集めろと言わんばかりに、動き回り、シュートを放つ。

さらに、深井に代えて、田中。彼にしても、新天地は何も約束された場所じゃない。
後先の体力を気にする必要の無い時間帯での投入。
そのスピードで、勝負を仕掛ける。

結局、後半の山形の攻撃は、セットプレーによる散発的なものに終始した。
最後はロスタイムに山口慶を投入してクローズ。
一週間で、嬉しい事に完成度は更に増し、昇格のライバルの出鼻を挫く、最高の形での勝利になった。 

それにしても、ちばぎん、開幕戦と、この変わりようは半年前と同じチームには思えないほどだ。
スピードも無く、バックパスと、意図の無い前線への放り込みしか出来なかったチームが、ボールを繋いで、攻める意識、シュートで終わる意識を持って、ゲームを戦っている。

サトシ、兵働、健太郎、武田、藤田。先発した彼らが、木山監督の指導の下で、新しい風を確かに吹き込んでいる。勝つときも、負けるときもあるだろう。けれど、もしかしたら、久しぶりにジェフのサッカーを「楽しい」と思って観れるかも知れない。

島田社長は、「まだまだ」と、言っていたけれども。
開幕戦。
『奪還』の片鱗は確かに見えていた。

2012/03/04 15:30KICKOFF (@フクアリ)
千葉 2(0-0,2-0)0 山形 
藤田(深井)、藤田(武田)