足りない「引き出し」 ~第21節・湘南ベルマーレ戦~

足りない「引き出し」 ~第21節・湘南ベルマーレ戦~

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第21節・湘南ベルマーレ戦は0-2の敗戦

長いシーズンを考えれば、こんなゲームもあるのだけれども、ただの一敗以上に色々な問題が凝縮されたゲームだったように思う。その意味で、重たい試合だ。

アウェイにも関わらず、多数のジェフサポが訪れた平塚。
ゲームの入りは決して悪くなかった。前回対戦と異なり、足の速い選手を前線に入れて、ディフェンスラインの裏を衝いてくる湘南に対して、ミルジを欠くジェフも落ち着いて対応、お互いに中盤をあまり介さずに、シュートまで持ち込むシンプルな展開。

いつも通りオーロイをターゲットに周囲の衛星を絡ませ、フィニッシャーは深井。
いくつか形も作れ、リズムを掴みつつあった。

ところが17分。相手のクロスを、岡本が掴み損ね、その前のセットプレーの流れで残っていた、CBの大井に蹴り込まれてしまう。これで一気に流れが変わってしまった。
岡本は、ミスからの切り替えが不得手な選手だが、この日もしばらくポストを叩いて悔やんだり、頭をかいたり、落ち着かない様子が見て取れた。

そう言う心の乱れはチームに伝播するもの。
焦るような時間帯ではなかったものの、攻め急ぎの空気が漂い始め、ロングボールに頼り、それでいてオーロイにボールが収まらず、クロスも精度を欠き、深井がフィニッシュに絡めない、嫌な展開の連鎖に陥る。

すると、前半終了間際。
今度は、良太・茶野が守る左の裏を相手FW中村に抜け出されて追加点を喫す。
反町監督からすれば狙い通りだったろう。ミルジ不在で代役を務めた茶野は、年齢的な問題もあって俊敏さに欠ける。しつこく裏を狙えばチャンスは作れる。その見込み通りにやられてしまった。

ミスからやられた前半。
流れを戻せないまま、ハーフタイムになってしまった。

後半。頭から、茶野から坂本に交代。良太が真ん中に移動。
サポは、あっこちゃんの大声援で、後半の反撃を促す。

ドワイト監督から、かなり檄も入ったのだろう。
後半頭はジェフの展開。セットプレーを連続で奪い、クロスの雨を降らせてチャンスをいくつも作る。ところが、この日は「あと一歩」が足りない。湘南の必死のディフェンスもあり、これまでで行けば決められていたような場面が決まらない。

動かない展開に、ジェフは2枚目のカード。
ゲッセルに代えて、久保。大介がボランチに下がり、ヨネが右。オーロイと久保の2トップの4-4-2にシフトチェンジする。手は打つものの、どうしても決め手に欠く今日のジェフ。

相手の守りもあるが、如何せん攻撃に工夫が無い。
オーロイはシュートを撃たないから怖くないし、中央からの崩しはほとんどなく、パスの出しどころに困れば、戻すか、必ずサイドに展開してからクロスを放り込む。またこのクロスの精度が高くない。パターンの読み易い攻撃は湘南に易々と防がれ、時間稼ぎもされながら、75分、80分と時間が進んでいく。

3枚目のカードは山口に代えて村井。
左SBに投入され、坂本が右に移る。スクランブルの攻撃モードだ。
2点差なのだから、1点でも奪えば大きく流れは変わったはずだ。湘南も焦り、それに乗じる事も出来ただろう。けれども、その1点すら今日は奪えなかった。そのままタイムアップ。

スタンドからはブーイングと声援が入り混じる。
ブーイングでもおかしくない結果だけれども、それだとミスを犯してしまった岡本の傷口に塩を塗るような事になってしまう。自分は、岡本に聞こえやしないだろうが、「試合は続くんだ、切り替えろ!」とだけ叫んだ。
・アウェイで勝てない
・ミルジ不在の穴を埋められない
・攻撃のバリエーションが少ない
・クロスの精度が悪い 

去年から言われているような事が、丸々今日の試合では出てしまった。
草津戦もそうだったが、どうにかしなくては。

ミルジ不在を乗り切ることを考えるならば、やはり補強だろうか。
既存の選手が頑張ってくれれば問題ないが、今日の茶野を見ても限界はある。
福元の奮起にも期待したい。

攻撃のバリエーションは、選手一人一人が、もっと考えて動くこと。
とにかく、運動量が少なくて、パスを出そうにもパスコースが無い。それぞれが、パスコースを作る動きを徹底しなくては。
オシム監督時代の多色ビブス練習が懐かしいが、ドワイト監督が引き出しを開けて新しい形を選手に示すことも必要だろう。現状のベースを踏まえてのステップアップが必要だ。
シーズンも折り返し地点が近くなり、成績は去年とどっこい。
上がる為には、もう一段の努力が必要。
現場もフロントも、去年の悔しい経験を活かすのは今こそだ。