オーロイ抜きで「勝てなかった」試合。守備の綻びが、ゲームプランを崩す。~第10節・愛媛FC戦~

オーロイ抜きで「勝てなかった」試合。守備の綻びが、ゲームプランを崩す。~第10節・愛媛FC戦~

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第10節・愛媛戦は、2-1の勝利
得点者:大介(直接FK)、深井(オーロイ)

評価の難しい試合だ。
まず、勝った事は最上。何をやろうが、最後は勝てば良い。
その意味では良かった。

しかし、ゲームプラン通りに戦えた試合かと言えば「否」。
ベンチにオーロイを残したドワイト監督の腹は、今後を見据えたオーロイの温存だったはず。
この試合は、「オーロイを使わずに勝つ」と言う成果が求められた試合だった。

先発には久保が1トップに入った。
その後ろに左から深井、米倉、孝太が並ぶ。この攻撃陣と、勇人・大介を絡めた攻撃は、前半、まずまずの出来を見せていた。まず、トップに入った久保が予想以上にポストをしっかりとこなし、ある程度ならタメを作る事が出来る。二人、三人に囲まれながらも、簡単には奪われない。ヘディングも互角以上。さらに、裏への動きもしなやか。

ここに、ヨネを始めとする二列目以降が波状攻撃を仕掛けられれば良かったのだが、昇平を中心に引き気味でしっかり守備のブロックを作る愛媛に対して、慎重になってボールを戻すシーンが多く、なかなか決定機と呼べるまでのシーンが作れない。
たまにミドルを放つシーンもあるものの、フリーで撃てないため、枠を捉えるには至らない。

対する愛媛も、ジョジマールまでボールが回らず、攻め手がつかめない。
彼らからすれば、しっかり守ってカウンター。前半最後にあったシュートシーンのように、引き分けで上々。あわよくば勝利と言う、重心を後ろに置いた戦いが、念頭にあっただろう。

膠着を破ったのは、飛び道具だった。
ゴール真ん中のFK、この前に少し距離のあるFKを大きく外していた大介だったが、今度はものの見事に放物線を描いたシュートが、相手GKの手を弾いてゴールに突き刺さった。直接FKのゴールは久方ぶり。ジェフにはこう言う武器もあると相手に分からせる、素晴らしい一撃だった。

この一発で、前に出ざるを得なくなったのは愛媛。
後半に入り、ジェフがしっかりと構えて、前に出る愛媛の裏を衝く展開に出来れば、ゲームプランはより軌道に乗る。

そして、迎えた後半だったが、今度はジェフがいきなり出鼻を挫かれてしまう。なんでもない愛媛の攻めだったはずだが、相対した坂本の寄せが甘い。しっかり狙いをつけて、力いっぱい蹴られた関根のシュートが、対角線上のサイドネットに突き刺さるファインゴールに。大事な場面で、守備の綻びが出た。

この失点で、1-1ながら、焦りが出たのはジェフ。
失点のすぐ後に、深井が完全にフリーでシュートを放つも、ライン上で相手DFのクリアに遭い、決定機を逸すると、攻めども、攻めきれない、もどかしい展開が続く。
時間が経つにつれ、オーロイのアップスピードが上がっていく。一度外れたレールには、もう戻れない。そして、69分。怪我の孝太に代えて、太田。さらに、オーロイの投入となってしまった。

沸き立つスタンド。
だが愛媛に粘られて、「出さざるを得なかった」だけだ。砂を噛む様な歯切れの悪さがある。
糞と言われようが何だろうが、オーロイは強力な武器。無駄なイエローで10人になった愛媛に対して、鬱憤の溜まりまくっていた太田の突破、さらにCKとミリガンのロングスローで、クロスの雨を降らせ、じわりじわりと体力・集中力を削って行く。あまり、焦りはなかった。攻め続けられて、そう何十分も耐えられるチームは無いからだ。

愛媛の抵抗は頑強だったが、90分。オーロイのヘッドの当たり損ねが深井の前に転げ、それを叩いた強烈な一撃が逆サイドネットを揺すると、あとはいなすだけの5分間だった。

歯切れの悪さは残る。
オーロイが居なくても、守る相手を崩すアイデアが欲しかった。
課題はまだ残ったまま。そして、孝太の怪我と言う犠牲も負った。
その上で、勝利と言う結果だけは喜びたい。

最後に、この試合でもジャッジは不安定だった。
バルバリッチ監督が怒る気持ちも分からないでもない。けれど、すべてのジャッジが愛媛寄りだったとしても、愛媛の勝利までは無い。愛媛には、伊藤大介の右足も無ければ、深井の左足も、ミリガンのスローも、オーロイの高さも無い。攻め手は、確実に我々の方があった。

そして、何より。ここは、“フクアリ”だ。