変化の見えた「ちばぎんカップ」

変化の見えた「ちばぎんカップ」

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レイソル相手に、どれぐらい今年のやり方が通じるか、そう言う目線で観戦した「ちばぎんカップ」。結果から言えば、自分が思っていた以上にやりたい事が明確なゲームだった。収穫の多いゲームになったのではないかと思う。

柏は、4人の外国籍選手をフル動員。対するジェフは、オーロイのみ。
柏がJ1、ジェフがJ2、そう言う戦力の違いや、立ち位置の違いを考えれば、ジェフにとっては「やり易い」ゲームだったと思う。
柏からすれば、調整試合とは言え「勝って当たり前」で、ジェフからすれば、「勝てば評価される」試合だった。よりジェフの方が、失うものが無いと言う意味で、リラックスしてゲームに臨めたのではないだろうか。

<スタメン>

----08----
09--11--18
--07--20--
02------13
--04--03--
----01----
ジェフは、孝太を右サイドに、大介をボランチに置く布陣。
右サイドには、慶が入り、センターバックで竹内とコンビを組んだのは、良太だった。

キックオフと共に、早い時間のセットプレー。
いきなり強烈なヘディングを見舞われるが、これは寸での所で慶がクリア。これが入っていたら、相当落ち着かない流れになってしまっていただろう、それを防いだビッグプレーだった。 

柏は、レアンドロ=ドミンゲス、ホジェル、ジョルジ=ワグネルの3人を核に、昨年破壊力を見せたフレッシュな攻撃陣で前線を固める。これに対し、センターバックの二人は今季からのコンビ。良太は、「落ち着き」を見せたいところだったが、特に序盤は相手のプレスにパスの出しどころを無くし、右往左往する場面もあったが、時間と共に徐々に守備が機能し出した。

一つの変化がサイドの守備。
昨年までは、前線からのプレスで攻撃に転じると、特に左SBのアレックスが前へ前へと上がる戦いだった。SBの上がった「穴」のケアが十分でなく、小林(現・横浜FM)あたりに、手酷くサイドを蹂躙されるのが当たり前のようになっていたが、試合が始まってしばらくすると、サイドで出しどころが無く、窮屈そうにしている柏の選手の姿が目に付いた。

今季から、ポジションをセットして守りに入るジェフ。
駆け上がろうとしても、穴が去年ほどには空いていない。スペースの乏しさから、柏側が無理に繋ごうとする場面が散見され、時間の経過と共に、それが個人技に自信ありげな、外国籍選手たちの「個」に頼ったプレーに分断されていくようだった。

まだ、全体的に本調子と言う訳では無いのだろう。
それほど意外性を感じない柏の攻めは、少しずつジェフの守備網に絡め取られ、逆にジェフ側にもチャンスが出来るようになっていった。

言わずもがな、注目されていたのは、最前線のオーロイ。
パク・ドンヒョクとのマッチアップだったが、それほど高く飛ぶわけでもなく、むしろ地に足をつけたまま、頭で、足で、ボールを周囲に散らしていく。飛ばなくても高さがある、ウェイトもあるから、そうそうの事では競り負けない。良いボールが入らなかっただけかも知れないが、今日は彼がチャンスメイクに徹する事で、周囲の米倉や、大介にシュートチャンスが巡ってきていた。

特にキレを見せていたのは米倉。
特に後半に入ってから、オーロイとのコンビで相手のディフェンスラインを突破し、シュートチャンスを作るところまでいけていた。後は決めるだけだが、それは今後に期待しよう。
他の2列目、孝太・深井は、持ち味を見せきるところまではいかず。深井は、1対1で勝負して欲しいシーンで後ろに戻してしまう事があった。突破してくれれば、相手も苦しくなるのだが、キレがイマイチだった。

いずれにしても、今日は「戦術=オーロイ」の典型と言ったような試合。 彼が居ない時にどうするの?と言うエクスキューズはもちろんあるけれども、それを考えるのは、この規格外の武器を使いこなせてからでも良い。顔見世としては上々だったのではないかと思う。

決勝点となったPKも、オーロイが上に乗っかられて「ホールディング」を取られたもの。相手DFも、無闇に高さに対抗しようと無理をすれば、ファウルを招いてしまうという厄介さを身をもって感じただろう。
このPKを深井が沈めて先制。

その後は、柏が次々に選手を試すのと好対照に、ジェフ側はベンチが黙して動かず。孝太→久保の交代はあったけれども、村井・戸島の投入は、ロスタイムに入ってから。ドワイト監督、このあたりは、PSMとは言え、「勝利」と言う結果を手にすることで得る自信の大きさを考慮したのだろうか。
ホームでの勝利を目指す柏の最後の猛攻もあったものの、岡本を中心に守って、1-0の完封勝利。思ったよりも、攻守共に形が見えたゲームだった。

もちろん、今後に向けて、攻撃のパターンの少なさ。クロスの精度、CBのバタバタぶり、課題はある。けれども、この日出場機会の無かった、外国籍選手3人や、太田ら日本人選手の存在を思えば、期待の持てるゲームだったと言えるのではないだろうか。

昨年とのスタイルの大きな変化にも思うところが無いわけではない。
しかし、監督の目指す、「勝ち点3を取る為のサッカー」の片鱗は見えた。今季はとにかく昇格を果たす為に、このサッカーを磨いて行くこと。
開幕まで、あと2週間。見つかった課題は一つずつ潰して、「本番」にピークを合わせて行って欲しい。 

ちばぎんカップジェフ1点守りきる(読売新聞)