佐藤勇人の復帰への違和感

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勇人は、阿部・寿人と同じく彼が高校1年生の頃から見ている。
それだけに、思い入れは深い選手の一人だ。99年の残留争いの頃は、下に落ちたら彼らがトップに上がる事無く引き抜かれてしまうと、必死になって当時のチームを応援したものだった。

しかし、今回の勇人の復帰には大きな違和感を感じている。
素直には応援出来そうも無い自分が居る。

昨日の会見で「誰よりもジェフに対しての想いが強いし」と言えてしまうのは、口が軽すぎる。こう言う台詞を口にして良いのは、本当に苦しかったこの2年を共に闘った選手達だけだ。

彼は、2007年の主将だ。
黄色のユニを纏い、胸のエンブレムを叩き、幾度と無くサポーターを鼓舞し、戦った。しかし、如何にその当時のクラブ事情が悪かったにせよ、彼はクラブを離れた。その決断自体は、それで良い。選手として最も脂に乗った時期に、泥舟のようなクラブに居られない。年棒も移籍先の方が良い。移籍には十分な理由だ。

しかし、自分が離れれば、チームがどうなるかは彼自身も分かっていたはずだ。
姉崎のクラブハウスの前で、「どうしたんですか皆さん」と、サポーターの前で揺れる心境を語ったあの日を、自分は忘れない。あの時こそ、チームは勇人の力を必要としていたし、昼田さんも必死に説得にあたっていた。しかし、彼はチームを離れた。

だからこそ、彼らには負けたくなかった。
彼らと戦うときは、その想いを力に変えて、ジェフを応援してきた。
本当に苦しかった2008年のシーズンは、彼らが居なくても俺らは戦えるんだと示した事が誇らしかったし、2008年があるからこそ降格した昨年も、彼らが居なかったから落ちたなんて、一つも思わなかった。

勇人が想っているそれ以上に、ジェフサポのジェフに対しての想いは強い。
昔のような、甘えが許されるような目で、周りが見守ってくれると勘違いしない方が良い。
勇人は、それを自覚した上で「信頼」を取り戻さねばならない。どんなに尽くしても、昔と同じには戻らない「信頼」を、新しく積み上げるしかない。
それは、ピッチの上の結果でしかない。
戦い、結果を積み上げ、「J1復帰」へその力を絞りつくさんとするなら、自然と自分もまた、彼に声援を送れるようになるだろう。

永輔のように、ジェフに骨を埋めたくても、それが叶わなかった選手も居る。
現役のうちにここに戻れた意味を、もっと重く受け止めるべきだ。

それは、村井・林・茶野についてもそうだ。
ジェフは、考えているほどに心地良い場所では無い。彼らが全盛の頃からは時間が経ち過ぎた。今のジェフには、彼らのポジションが保証されない、若手の萌芽がある。
自分は、彼らが簡単にスタメンを獲るような事があって欲しくない。米倉・益山・金沢・孝太、それに新加入の選手たち。次代を担う選手たちが、過去のジェフを超えて行く事を強く期待したい。

かつて見た夢は終わった。
これからは、未来に夢を見るべきだ。