9月22日(土)大宮アルディージャ戦

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千葉 1-0 大宮


得点:前半32分・大輔(工藤)



今年のJ1も残り9試合。

残留戦線を彷徨っていたジェフも、3連勝で降格圏内からようやく脱出をしようとしていた。とは言え、戦いぶりに余裕は無く、勝利で得た自信は確信には至らない。対して今日の相手・大宮は、まさに残留戦線の只中。ジェフの弛緩した気持ち、それを抑える気持ち、大宮の残留に賭ける思い。だからこそ、この試合は激しいものになるのではないか、そう思っていた。だが・・・。


久々に訪れる駒場は、真夏のような暑さ。
だが、スタジアムに入っても緊迫した空気が何も無い。あえて言うならば、臨海のような、まったりとした空気。次々と入場するジェフサポで、駒場が埋まっていく。ともすれば、ジェフサポの方が多いのではないかと言うほど。不自然な、黄色い駒場。淡々と、時間だけは過ぎて、何となくキックオフを迎える。


羽生を怪我で欠くジェフだったが、5分、10分と経つうちに、優勢は明らかとなる。
悪条件の中で双方の動きは悪いものの、散発的にシュートまで持ち込めるのはジェフ。羽生を欠くものの、こう言う時に効くのが巻や工藤の前線からのプレス。追い込んで、パスコースを狭くし、パスがブレたところを中盤で網にかける。特に下村が、良い位置でボールを奪う事が出来、そこからの展開で工藤・山岸・新居・水野らがシュートに持ち込む惜しいシーンを作れていた。


対する大宮は、FWデニス・マルケスやMF藤本の個人技を頼りに、なんとかシュートまで持ち込もうとするものの、水本らを中心にしっかりと身体を寄せて、良い形でのシュートを許さない。


互いに精度を欠く中、ようやくジェフに先制点が入る。
セットプレー崩れで前線に枚数が揃っているところに、工藤のクロスがゴール前に入ると、それに足の先で上手く合わせた大輔の豪快な一撃が決まる。昨年の大宮戦に続くゴール。ここのところ、セットプレーで惜しいヘディングシュートが続いていたが、ようやく決まったゴールは、珍しい足でのものだった。


大宮は、同点弾を狙うしか無いはずだが、大味な展開はその後も変わらない。
あまつさえ、前半終了前には、頼みのデニス・マルケスが、水本を蹴っ飛ばして退場処分。さらに、ジェフが有利になる。


ただ、ここからがいただけなかった。
後半、11対10となって、攻めようと思えばいくらも出来たはずだが、暑さにやられたか、もういいやと言う気持ちになったのか、よりいっそうゆっくりとしたテンポでゲームを進めてしまう。お決まりのバックパス、ゴール前でのシュート回避のシーンが増え、大宮守備陣を突破できない。


巻をレイナウドに代え、新居+レイナウドと言う待望の組み合わせも不発。
智に代わった楽山、新居に代わった青木が、たまに気持ちや、意図の見えるプレーをするものの、最後の最後での決め手に欠けてしまう。いくつかの決定機に絡んだ勇人・下村のボランチ陣も、「Not his day」と言った様子で、やる事成す事が上手く行かない。


しかし、そんな状況でも勝てたのは、言っちゃ悪いが大宮の消極性があったからだった。
10人になったとしても、前節の神戸からは1点を獲り返す捨身の怖さがあった。6点を奪われた大分のサポーターは、少数でアウェイでも声を枯らして最後まで戦い続けていた。
ところが、この日の大宮は、時間が過ぎて行っても、まるでそれが仕方の無い事のように、淡々と受け止めているようだった。もう少し激しい寄せや、相手のボールを奪ってセットプレーを早く始めさせようとするような、危機感・焦りが見えてもいいはずだった。残留戦線に居るチームで、こんな反応をするのは始めて観た。やばいんじゃないか?


大脱走が響く中、難なく逃げ切り。5年ぶりの4連勝。
内容に納得が行っている訳じゃない。確固たるサッカースタイルから滲み出る強さがあるわけでも無い。けれども、何よりも必要な勝ち点を積み重ねる事が、J1であり続けるためには何より重要なのだった。


正直、これでひと段落。
あとの8試合は、優勝も降格も無い狭間の時間が待っている。自分達自身との孤独な戦い。
大さんが話したように、この4連勝が実力通りのものか、それはまだまだわからない。ただ、確実に変わりつつあるアマル監督の交代策にも見られるように、変化の兆しはある。勝利の余韻の中から、自分達のサッカーへの確信を拾い上げて、さらに上へと、駆け上がって欲しい。