日立台の背信采配-8月25日(土)柏レイソル戦

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まるで、レイテ沖海戦の栗田艦隊のような謎の采配だった。


日立台での白熱したダービー。後半、柏の猛攻に晒されながらも、ジェフの勝利の可能性を信じることが出来たのは、ベンチに温存された水野・新居・青木の存在、そして前節輝きを放った、レイナウド→新居の見事な連携の記憶があるからだった。


猛暑の中、少しずつ足が止まる後半。
柏の攻撃が少し陰りを見せた時間帯、誰もがベンチに居る彼らの投入を信じて疑わなかったはずだ。ここで勝たなくては、勝ち点3を獲らなくては。


「あと一歩だ。出て来い、晃樹!新居!青木!」


けれども、時間は刻々と過ぎ。ベンチは動かない。切り札を持ちながら、使えないもどかしさ。そしてようやく動いたベンチの最初の駒は・・・“池田”。何故だ?何故なんだ?勝ちに行くんじゃないのか!?何故ここで、左翼の経験の無い池田を、あえて投入する必要がある?攻めるんじゃないのか?勝ち点3を奪うんじゃないのか?


ゴール裏から、ざわざわと疑問・不信・疑念が渦巻き、応援の声がみるみる小さくなる。
かつて、林丈統が居た頃、彼が投入される時は決まって最後の猛攻を仕掛ける大号令だった。彼の闘志が、チームに伝わり、スタンドに伝わり、チームが一丸となって前に進む事が出来た。


選手達も、きっと勝ちきるつもりだったのだろう。
攻めるのか、守るのか。意思統一が出来なくなって、バランスを崩したチームは、その数分後にこの日唯一の失点をした。


その様子を見て、慌てて投入される、晃樹。
遅過ぎる。全く、遅過ぎる。


さらに、新居の交代はレイナウド。
大砲を出すのに、弾を込める選手を代えてどうするのだ。アマルは、前節の得点シーンを見ていないのか。レイナウドのパスに、工藤が合わせられないシーンを見ていないのか。


なんなんだ、この不快感は。割り切れなさが、力を出し切れなかった悔しさが、唯々、身を焦がしていく。


一度崩れたバランスは、もう戻らず。
最後も、攻めなくてはならない場面で、バックラインでボールを回してしまっていた。
空しく鳴り響く試合終了の笛に。どっと疲労感だけが募っていく。


選手達に敗戦の怒りをぶつける事も出来ず、呆然としたゴール裏。
交代がまともなら、勝機はあったのに。選手達に挨拶を任せ、早々に控え室に戻るアマルに、漢なら、自分が謝りに来いと言う思いになる。目の前で起こった、信じられない采配が、これまでの不満と疑念を一気に噴出させていく。


この試合、もっと別のやり方があったはずだ。
少なくとも、多くのサポーターは、勝ちきる采配を望んでいた。勝てると信じていた。晃樹を早々に投入し、レイナウドと新居の2トップに代え、青木を左で使っていれば。
それで負けたのなら、納得もしよう。俺らは力を出しつくし、それでも及ばなかったのだから。


けれども、こんな、こんなチキンな采配で負けたんじゃ納得が行かない。
チームが、良い流れを得ようとしている時に、それを後押しする采配をするのが、監督じゃないのか。戦う意志を示す采配をすべきじゃないのか。負けたのなら、俺のせいだと選手の盾になるべきじゃないのか、アマル監督!


アマル監督には、そうあって欲しかった。
しかし、もうダメなのか?
もしも、選手までもが今日この日の采配に疑問を持つのなら、アマル監督の下で戦うのは、もう厳しいのかも知れない。様々な逆境の中、共に戦ってきた彼と結果を出したい気持ちは今もある。けれども、この日の采配は、サポーターの期待を大きく裏切り、ここまでの成績に対する不満を溢れ出させてしまう、納得し難いものだった。


失った勝ち点3の意味は、途轍もなく大きい。