八千代-野洲(高校サッカー3回戦@臨海)

八千代-野洲(高校サッカー3回戦@臨海)

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昨年は青木が所属していた高校として応援した野洲を、米倉の敵として臨海に迎えるとは。去年、青木と共に練習に来ていた乾君は横浜入りが決定済み。MM21と姉崎を比べられたら、仕方が無いかとも思うが、ここは米倉に地元力を発揮して貰わねば。


試合は、最初から両チームがそれぞれの良さを発揮しようとする正面衝突の様相だった。野洲は、とにかく全員が浦和の田中達也のように、ボールを持てば必ず仕掛けてくる。特に乾にボールが渡ると、1人では止められない。1対1、2対1の場面で競り負けたら終わってしまう。とにかく肉弾戦での勝利が求められる我慢の守備だった。
その野洲の攻勢に対して、6番を中心に中盤の守備力で対抗する八千代。ボールを奪うと、素早く展開し、早めに前に繋いで起点を作ろうとする。米倉は、トップ下ではなく、戦術的な理由か左MFで守備を気にしながらのプレー。ここぞと言う時には、しっかりと攻撃にも関与してくる。


若干、野洲の方が動きが良いかとも思ったが、八千代の「個」の力が野洲を穿つ。
左GKを繋ぎ、左中で米倉がボールを持つ。2人を身体で押さえつけながら中に突貫し、一度奪われかけながら、味方に預けたボールをワン・ツー気味に右中で受け取ると、もう一度中央へ方向を変えながら、フェイントを入れて2人を棒立ちにさせて左足のシュート!これが見事に決まって、一気に試合の主導権を八千代に塗り替える。


1点を失った野洲は、さらに前がかりになる。
それを受け止めて、個人技のあるFW山崎を前面に出してカウンターで反撃を窺う八千代。時間の経過と共に野洲の攻撃はますますキツくなり、DFの田中なども八千代陣地深くまで侵入し、ハーフコートで押し込まれる。だが、昨日のような綻びは見せずに、最後まで身体を張って集中して守りきる守備陣。ピンチも多々あったが、前半は、そのまま1-0で終了した。


後半、さらにギアを上げようとする野洲だが、体力的に厳しくなったか、徐々に運動量が無くなり攻撃の連動性がちぐはぐになっていく。一人がドリブルに移っても、他の選手が遅れている事がある。
そうしたスキを八千代は見逃さなかった。足元の技術では若干劣るかも知れない八千代だが、フィジカルでは一日の長がある。局地戦で野洲を捕まえ始め、競って、粘って、マイボールに変えていく。繋ごうとして、ミスパスになる事もあるものの、また粘ってボールを奪う。
全体の流れが、八千代ペースになり始めていた頃、唐突に追加点が入る。こぼれ球を拾った8番のミドルシュートに、山崎が頭ですらせてコースを変える。GKの逆を突いたシュートは、そのままゴールに吸い込まれていった。野洲は、これでガクっと来た。


焦りが、さらに連動性を奪っていく。
自慢の攻撃サッカーは、独り善がりのドリブルの集合のようになってしまう。誰もが、自分の力で何とか打開しようとしているのは、痛いほど解るのだが、如何せんリードを増やして落ち着きを増した八千代の守備陣を崩すに至らない。薄くなった野洲の守備を衝いて、交代出場の選手が躍動し、さらに2点を八千代が追加した。そこまでの力の差があったとは思わないが、試合の流れを確かに掴んだのは八千代だった。


野洲も、乾が意地の攻撃を仕掛ける。
一人で何とかするんだという強い気持ち。その意地一つで、ロスタイムに1点をもぎ取る。けれども、意地もそこまでだった。
4-1の大勝。タイムアップの瞬間、この日一番の歓声が八千代の応援席から上がった。


昨日と一変して、厳しい守備とシュートを撃ち、決める力を見せた八千代。
チーム全体の動きもさることながら、野洲を前がかりにさせた先制点を決めた米倉は素晴らしかった。野洲がフィジカルに秀でたタイプでは無いとはいえ、米倉のフィジカルの強さは高校レベルでは抜けている。2人くらいなら、キープし続けて繋ぐ事が出来る。やたら打点の高いヘディングと合わせて、身体能力は相当なものだ。


パス・ドリブルのセンスと合わせ、中盤ならどこでもこなせる能力はあると思う。
オフェンシブだけでなく、ボランチでも行けるかも知れない。ジェフで、守備力・運動量を身につければ、案外デビューは早いかも知れない。地元の星として順調に伸びてくれれば。そう願わずにはいられない。