7/9(土)J1-第15節・新潟戦
- 2005.07.11
- GAME REPORT
<得点>
千葉:勇人(羽生)、巻(ポペスク)、要田
新潟:エジミウソン、上野
結果的には勝ったが、この試合も出だしは決して良くなかった。
再開後から試されている2バックシステム。前半は、巻の1トップに左右に山岸・林がウイングとして張り出し、その裏を羽生・坂本がカバーする2-5-3システム。新潟の3トップに対応して羽生・阿部・坂本は、DFラインまで下がることも多く、ポジションはこれまでに無いくらい流動的だった。
-----巻----
山岸-------林
--ガビ--勇人--
羽生--阿部--坂本
--スト--大輔--
----櫛野----
ジェフは、左の山岸をイマイチ使いこなせず、右の林にボールを集めて勝負を仕掛けるが、なかなか抜ききる事が出来ずに攻撃が単発。選手の間隔が離れすぎて、ボールが上手くシュートまで繋がらない。歯切れの悪さのある立ち上がりだった。
ただ、不安定な布陣とはいえ、新潟にペースを持って行かれていたわけではない。ジェフの攻撃が噛み合ってないだけ、そう言う流れだ。特に不自然だったのが、左SBとも取れる位置に居た羽生。普段なら、前線でチェイシングとスペースメイキングにいそしんでいるはずが、後ろの方で居場所が無さそうに窮屈な動きをしている。たまに、かなり長い距離を走って前線の選手を追い越しにかかるものの、いかにも動きが大きくて相手に読まれてしまう。チョコマカと動き回る彼らしい動きが、消えてしまっていた。
こうなると、攻撃はタメを作れるガビに頼らざるを得なくなって来る。
ボールを受け、出し所を捜すが、前が詰まっていてる。前に巻しかいないとなると、浮き球をアタマに合わせるか、サイドに開くしかない。阿部も下がり気味で、突き抜けるような後方からの攻め上がりは期待できない。新潟が完全に引いていたわけじゃないが、この試合も硬直した展開を打開が出来なくなっていた。
そう言う時間が続くと、隙も生まれてくる。
鈴木慎ら、足のある選手が一気に攻めあがる新潟のカウンターから、CK。なんでもないボールだったが、羽生がクリアし損ねたボールがエジミウソンへのプレゼントボールに。これを難なく決められて、0-1で前半を終える。また、ミスから失点というのもここ2試合と同じ。イヤな流れのままだった。
どんよりとしたハーフタイム。
不甲斐ない展開に久々にベンチ入りした「要田」コールが沸き起こる。そうでもしなければ、この曇天は晴らせないように思えた。
---巻---林--
--ガビ--羽生--
坂本------山岸
--阿部--勇人--
--スト--大輔--
----櫛野----
後半、オシム監督も動く。前半の布陣が機能していないと見たか、3トップから単純な2トップに変更。
坂本を左に、山岸を右に、2-6-2的な布陣に変わる。この動きで、だいぶチーム全体の連動性が戻ってきた。
それに伴って、前半は撃てなかったシュートチャンスがめぐって来る。
両翼の坂本・山岸を使って、中へ次々とボールを折り返す。跳ね返されれば、拾って波状攻撃を仕掛ける。そこに、汚名挽回とばかりに前線に配置換えされた羽生が絡み、厚い攻撃が展開された。2分には、その羽生のシュート。さらに、6分には坂本が倒れこみながら左足で決定的なシュートを放つ。フィニッシュが出始めた事でゴールの期待も大きくなる。
そしてその流れのままに、羽生の折り返しを勇人がダイレクトで合わせて、同点に追いつく。
ゴール裏まで一気に駆け寄る勇人、「気持ちだ!」というばかりに胸を叩いてみせる。このアピールで一気にスタンドにも火が点いた。さぁ、逆転だという、これ以上無い空気。
けれども、勝てていないときと言うのはこう言うものなのか。
14分、新潟のFK。そのFKに合わせて交代した新潟FW上野。壁を減らしてマークにつくでもなく、無策で上野の投入をやり過ごしたジェフは、その上野まんまと決められて再び追加点を許してしまう。
この失点には、スタンド以上に監督がブチ切れた。
ゴール裏からもハッキリ分かるジェスチャーで、全選手に気合いを入れ直す。直後の16分、その監督の檄に応えて、巻がポペスクの折り返しをこれもダイレクトで叩き込む。巻は、ボールを抱えてセンターサークルへ駆け出す。勇人・巻の気持ちに応えて、今度こそジェフがゲームの流れを握った。
同点後、矢継ぎ早に新鮮な戦力を送り出す。
いまいち流れに乗り切れ無かった林に代えて要田。
さらに、運動量の落ちたガビ・山岸に代えて工藤・楽山。
今日は、それぞれの駒が効いた。
要田は、ボールの受け方が変わらずに上手くシュートに持っていける。工藤もコンタクトを避けてサイドでキープしては、中へ惜しいボールを上げていく。ラクも、落ちた運動量を補うには充分な働きを見せた。
攻勢の時間帯が続き、少しずつ要田にボールが集まり出す。
後半41分、羽生の右からのクロスに巻が素晴らしいスライディングボレーで合わせる。これは新潟GK野澤にファインセーブされるが、そのこぼれを要田がアタマで押し込んだ。歓喜に一直線にベンチへ駆け出す要田。
耐えてきた男のゴールに、監督も思わずガッツポーズを見せた。
苦しんで掴んだリード。
残りの時間は、大脱走と泥臭い時間稼ぎ。その中でも、要田は相変わらず泥臭いゴールを狙っていた。終了のホイッスル、一仕事を終えた要田の初々しい笑顔があった。久々の勝ち点3。笑顔と一緒に、少しだけ自信が戻ってきた。
監督も試合後のコメントで認めた要田の集中力は素晴らしかった。
また、それと同じかそれ以上に同点・逆転を生んだ巻のクロスに足で合わせたシュートも素晴らしかった。何もかも上手くいったわけじゃないが、勝とうと言う気持ちを結果に出来たのは大きなきっかけになるだろう。
ただ、監督も認めたDFを減らしてリスクを負って攻める、この新しい布陣の消化にはまだ時間がかかりそうだ。そもそも、このハイリスクな布陣を続けるのだろうか?一度完成に近づいた、3-5-2の基本システムを捨てなくては、もう発展は無いと判断したのだろうか。
次は王者・横浜相手に、イリアンを欠いて臨む事になる。それでもリスクを取るのか、ここは一歩引いて安定を望むのか、監督の判断が楽しみでもあり、恐ろしくもある。
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