局面局面で足りなかった厳しさ 2024 J2第4節・鹿児島ユナイテッド戦

局面局面で足りなかった厳しさ 2024 J2第4節・鹿児島ユナイテッド戦

2024/3/16(土)15:00
白波スタジアム
J2第4節
鹿児島 4(3-1,1-1)2 千葉

<得点>
10分 千葉 10小森(7田中のクロスを反転し左足)
21分 鹿児島 10藤本
25分 鹿児島 10藤本(PK)
29分 鹿児島 36米澤
76分 千葉 9呉屋(11米倉のヘッドがポストに当たった跳ね返りを頭で)
79分 鹿児島 65西堂

千葉公式
鹿児島公式
Jリーグ公式


第4節は、10日前にルヴァン杯で敗れた鹿児島と再びアウェイで。
先週の前橋とは一転、今度は汗ばむような陽気。
移動時間も長い、過酷な試合日程が続く。

発表されたメンバーは予想以上に欠員が多かった。
横山、ドゥドゥに加え、日高、エドゥアルドが不在。
スタメンは左SBに矢口、ボランチには小林。

鹿児島も前回対戦時とは大きく異なる主力メンバーがスタメン。
難しいゲームになる事が予想された。

試合の入りは良かった。
ジェフは前線からのプレスでボールを奪い、左右にボールを展開。
そこからのクロスボールや、ロングシュートも交えながら徐々に鹿児島を押し込み、7分には田口のFKをGKが弾いたところに鈴木大輔が詰め、ネットを揺らすもオフサイド判定。

そして、10分には左の矢口から中央の田口に繋ぎ、右サイドの田中に展開。
田中の低いクロスをゴールを背にして小森が収め、反転して浮き球を左足で流し込んで先制。昨年のアウェイ水戸戦のゴールを彷彿とさせるような美しい一撃で幸先よく試合を動かした。

その後も15分くらいまでは押し込めていたが、試合の細部からゲームの流れが大きく変わってしまう。

17分過ぎ、鹿児島の最終ラインからのフィードボールにジェフの右サイドで息が合わず、相手にスローインを与えてしまう。そのスローインから右サイドを破られ、クロスを上げられると、そのボールは左へ流れ矢口へ。

ここで、矢口は素早くセーフティにクリアするか、外にボールを出して試合を切れば良かった。が、しっかり繋いで攻める意識が強く出たのだろう。相手に寄せられながらボールを離さず(離せず)、深い位置で奪われてピンチを招いてしまう。

この時、鹿児島は2つのポイントを感じ取ったのではないだろうか。

1つは、サイドへのロングボールが思いのほか有効であること。
もう1つは、こちらが重要なのだけれども。鹿児島のプレスに対して案外ジェフが、局面での闘いに弱腰で、「押せば退く」という精神的な優位性を得たこと。

防戦一方だった鹿児島が攻勢に出る。
ジェフは、途端に守備がバタつきはじめた。

こういう時、それを機微に感じ取って試合を落ち着かせる存在が欲しいが、今のジェフにはそういう存在がいない。鈴木大輔や、田口のようなベテランに期待したいが、誰だっていい。「柄でない」のならば、チームのために変わって貰う必要がある。昨年の小林監督のように。

ジェフの消極的なプレーをきっかけにを鹿児島が前に出た事で、ジェフは全体の重心が後ろに下がった。短時間でいくつかのピンチを迎えた後。最終ライン近くまで下がっていた風間から中央の小森へ楔のボールが入るが、これをかっ攫われ、自陣内からショートカウンターを受け、ボールの進路に居た田口、鈴木大輔も触る事が出来ず、藤本にゴールを許してしまった。

少し前の時間帯であれば、小森は鹿児島陣内に居た。
が、この時間帯は小森の位置がジェフ陣内になるほど、押し込まれていた。
それゆえに、相手の突進を止める為の距離と時間が無い状況になってしまっていた。

失点した焦りが、チームのリズムをさらに乱す。
直後、最終ラインからのロングフィードを受けた田中がフリーでボールを受け、鹿児島陣内に深く攻め込む。そのままシュートまで行っても良いように見えたが、選択は並走する田口へのパス。田口は、さらに左の大外にパスを送ろうとするが、これをカットされてしまう。

奪われたボールは、一気にジェフのDFラインの裏側にまで。
追走する鈴木らの頭を越し、ペナルティエリア内の藤本に届くかというボールに、藤田が飛び出して藤本を倒してしまい、PK。これを決められて1-2。鹿児島の狙い通りの形を、短時間で繰り返し作られてしまった。

さらに、29分には左サイドを破られてグラウンダーのクロスを上げられると、藤田がファンブル。藤本が身体を張って左の米澤に繋がれ、さらに追加点を与えてしまった。

8分間であっという間の3失点。
ジェフの焦り、ジェフの前に出ようとする力を合気道の組み手のように返されてしまった。

今年のジェフは、失点直後に畳みかけられてしまっている。
それまでの時間、どんなにペースを握っていても。
山形戦、群馬戦、そして今日の鹿児島戦と、同じような失点の仕方が続いている。

失点する、焦る。その心理状態で普段通りの攻撃的な仕掛けをしようとすると、プレーの精度が下がって失点に繋がるようなリスキーなプレーを、カバーが出来ない状態でしてしまう。

ここで「ミス」と書けないのは、プレーの狙い自体は目指すサッカーを継続しているからだ。通っていれば、シュートで終えられていれば、、、ナイスプレーと言われそうな場面。

ほぼハーフコートの自陣に押し込められた状態のとき、それでも繋ぐことを良しとするのか。鹿児島が、ジェフの裏のスペースを狙って来たように、スペースへのロングボールをもっと上手く使い分け、使いこなす事が出来れば、相手を自陣に押し返し、主導権を握り返す事も出来たと考えられるのだが。

ただ、決定的なシーンを作られても、最後の最後で踏ん張る事が出来れば、防げる失点もある。失点が続いたこの時間のジェフは、精神的に後手になっただけでなく、局地戦での身体のぶつけ合い、ボールの奪い合いで鹿児島に負けていた。

象徴的なのが3失点目で、椿、矢口、小林は、左からクロスを上げさせないように身体ごと当たらねばならなかったし、藤田はボールを押さえなければならなかった。

そうして、僅かな時間で3点を失い、その後もペースを取り戻すことが出来ずに前半を終了。
しかし、この状況でも後半に向けた交代は無し。
ベンチメンバーからすれば難しかったが、矢口は後半頭から変えるべきだったと思う。監督には監督の考えがあっただろうが、失点後、ピッチ上で迷子になってしまっているように見えた。72分まで引っ張ったのは、この試合を勝ちにいくには後手を踏んだのではないだろうか。

後半、ややペースを取り戻して攻めるものの、相手は2点のリード。
ジェフの攻める力をてこに、カウンターを狙う定石通りの戦い方で時計の針を進めていく。

暑さと連戦の疲労で、どこまでジェフの足が動くか。
前線から中盤まで、小森があらゆるところに顔を出して状況の打開を図るものの、徐々に周囲の足が止まっていく。

60分には、椿と風間に代えて、高木と呉屋を投入。2トップに移行。
72分には、矢口と田中に代えて、メンデスと米倉。佐々木が左SBに出る。

対する鹿児島は、67分に鈴木、西堂。71分にンドカを投入。
走力とフィジカルでの優位を残してジェフの攻撃を受け止める。

それでも、76分。田口から左の高木へ。
高木のクロスに中で米倉が合わせ、ポストに当たった跳ね返りを呉屋が頭で押し込み2-3。
交代選手の活躍が功を奏して1点差に。

まだいける、とスタンドも大きく活気づいたのだけれども。。。

その3分後、鹿児島の攻撃を弾き返しきれない状態で、右のスペースにボールを通され、米倉も寄せ切れず、中でメンデスと鈴木大輔も被り気味で弾けず、西堂のシュートを藤田は手に当てながらも弾き出せなかった。
弾けそうで、弾けない。あと一歩が足らないもどかしさ。

反撃ムードも一瞬、西堂に恩返しのダメ押し弾を食らい、趨勢は決してしまった。

試合は、そのまま2-4で終了。
先週の雪辱を果たすどころか、返り討ちに遭い、今季2敗目。
昇格するチームはこういう負け方はしないもの。
早くも正念場に追い込まれてしまった。

選手たちも一様に厳しい表情。
スタンドからは、選手たちがロッカールームに消えるまで、千葉コールが送られていた。

選手たちには自信を失って欲しくない。
方向性は間違っていない。必要なのは細部の詰めの部分。
何が出来て、何が足らなかったのか、冷静に分析して次に活かして欲しい。

今回であれば、局面での厳しさと集中力、そして失点前から漂っていた危ない空気を冷静に断ち切る事の出来ないメンタル、リーダーシップの部分だ。

この敗戦で、スタメン争いはより一層厳しくなるだろう。
欠場した選手たちの復帰も期待したいが、各ポジションに聖域を作らず、競争を促して欲しい。結果が出せなくても、物足りないプレーでもスタメンが確約されているようではチームは前に進まない。

3日後にすぐに試合はやって来る。。
相手が何処でも関係ない。誰が出られなくて、誰が出るかも関係ない。
試合が始まれば疲労も関係ない。
一人一人が局面で勝つと言う基本に立ち戻って、集中して臨んで欲しい。