強風でも貫く組み立て 2024 J2第3節・ザスパ群馬戦

強風でも貫く組み立て 2024 J2第3節・ザスパ群馬戦

2024/3/10(日)17:00
正田醤油スタジアム群馬
J2第3節
群馬 1(0-2,1-1)3 千葉

<得点>
29分 千葉 22佐々木(CK4田口→33エドゥアルドHS、こぼれ球に詰める)
38分 千葉 14椿(8風間が右から突破。折り返しのこぼれ球に詰める)
47分 群馬 8高澤(3大畑のクロスのこぼれ球に詰める)
84分 千葉 10小森(4田口CK→9呉屋HS、クリアボールを22佐々木シュート→小森の足下に収まって左足シュート)

千葉公式
群馬公式
Jリーグ公式

試合前から、強風が吹き荒れる正田醤油スタジアム。
上州の空っ風、いわゆる赤城おろしというヤツなんだろうか。
絶え間なく吹き続ける風にピッチ看板は撤去され、一部の横断幕の掲出も断念せざるを得ない状況だった。この風は、試合が始まっても吹き続け、ボールの軌道を変え、気温以上の寒さをもたらし、両軍にとって厄介な敵になった。

水曜日のアウェイ鹿児島戦から中3日。
しかも3月にも関わらず、17時キックオフ。
過密日程で、厳しいコンディションの試合が続く。

ジェフのスタメンは、先週の藤枝戦から2人が変更。

久保庭→佐々木
横山→風間

佐々木は今季初スタメン。
ここまでコンディションが整いきらず、監督が起用を見送っていた。
また、横山は鹿児島戦もメンバー外。何かアクシデントがあったのだろうか。
さらにドゥドゥもメンバー外。

サブには、ルヴァンカップで途中出場ながら良い動きを見せた新明がメンバー入り。

風に向かって攻める前半、ジェフは素晴らしいプレーをみせた。

間違いなくやり辛さはあったはずだが、序盤の探り合いの時間帯を過ぎると、普段と変わらない前線からのプレスで群馬を押し込め、高い位置でボールを奪い、連動して群馬の守備の穴を衝いてゴールを脅かしていく。

試合前は、群馬がフィジカルを活かしてボールを奪取し、風を味方につけてロングボールからスピードのあるカウンターを仕掛る、あるいはロングシュートでミスを狙って来ると想像していたが、そういう群馬の狙いを許さない圧力で絶え間なく押し込んでいった。

中盤の底に入ったエドゥアルドのカバー範囲が広い。
攻守にわたってボールを前に押し出す起点となり、周りを活かすだけでなく、自分自身もシュートを狙う。彼が敵を引き付けてくれるので、後ろの選手が安心して攻撃に参加出来る。パス&ゴーがスムーズ。

そして、流れの中だけでなく、セットプレーでも171cmと言う身長に見合わないヘディングの強さを見せる。先制点は、そのエドゥアルドの頭からだった。

29分、壱成の連続ミドルから得た田口のCKに頭で合わせたのはエドゥアルド。
これは、櫛引にセーブされるものの、こぼれ球に詰めた佐々木が押し込む。

さらに38分、右サイドできれそうなボールを抜け目なく追って奪った風間の折り返しを、混戦から椿が押し込んで2-0とする。

前半はほとんど群馬にチャンスらしいチャンスを作らせず、たまにボールがジェフ陣内に戻って来ても、佐々木がロングフィードでひっくり返すか、細かく繋ぎ直して再び押し込むかで、安心して見ていられる状況だった。

が、2-0は危険なスコアとはよく言ったもの。
ワンプレーで状況は一変する。

40分過ぎ、ジェフ陣内の左サイド深くで、日高が相手選手と交錯して倒れ込む。
すれ違った時に、踏まれたのか、立ち上がったものの、足を気にしてプレーが出来ない。
日高は結局、前半で交代を余儀なくされてしまった。

そして、後半、交代で入ったのはメンデス。
メンデスは左CBに入り、佐々木は左SBへとポジションを移す。

一方の群馬は、FW山中、FW佐川の2枚を投入。
選手交代でまだ落ち着いていないジェフの左を集中的に狙って奇襲を仕掛ける。
試合展開も定まらない47分、その左を深々と破られると、グラウンダーのクロスをクリア仕切れず、中で高澤に合わされて1点を返される。

勢いを取り戻した群馬。
さらに直後に同じように左を破られて、中で佐川に合わされるも、トリッキーなシュートはポストを叩いてゴールならず。ジェフは命拾いをする。正直、このシュートが入っていたら、焦りの方が上回って勝ち点を落としていたかもしれない。

が、相手の精度不足にも助けられたとはいえ、ここを耐えきったのが大きかった。
流れを取り戻したジェフ。徐々に前半のようにボールを握って群馬を押し込む展開を増やしていき、交代で落ちた運動量を補いつつ、時間を味方につけてゆく。

70分 椿→高木 これは同じ位置。
78分 風間→呉屋 2トップに移行。何でも出来る小森がやや下がり目か。
83分 髙橋→米倉 これは驚いた。いつ以来の右SB起用だろうか。

途中、佐々木が傷む場面もあったが、この日のメンバーでは左SBのバックアップが無く、もし彼が続行不可になったなら、左SBはヨネになるのか?と心配したが、幸い佐々木は最後までプレーを続ける事が出来た。

終盤になっても、後ろで守るのではなく、前でボールを握る事で試合のクローズを図るジェフ。84分、高い位置でエドゥアルドがボールを奪い、田中の右クロスを呉屋が強烈なヘッドを見舞うも、この日大当たりの櫛引にまたもセーブされる。が、このクリアボールから佐々木がシュートを放つと、残っていた小森の足下に。左足を振り抜いてダメ押し弾。

なんだかんだで得点してしまう小森が恐ろしい。

90分頃にはエドゥアルドが傷むシーンも。
負傷退場した日高、それ以外にも佐々木、エドゥアルドと、ピッチに倒れ込む選手が多かったこの試合。次節以降に響かない事を願いたい。

そのまま、時間を使い切って3-1で勝利。
リーグ戦は連勝となった。

この試合、前節大いに活躍した横山の不在が心配されたものの、エドゥアルドそして風間が不在を感じさせないプレーを見せた。風間に関しては、逆風でも積極的にシュートを放って流れを作り、2得点目の起点にもなる活躍。

誰が出ても、ピッチ上でのサッカーが変わらないのが良い。
クロス一辺倒ではなく、相手が中を固めていても、ミドルレンジからのシュートのこぼれ球、あるいはセットプレーからの二次攻撃で得点を奪えている。
これまで3試合で9得点。得点者の偏りもない。

一方で、後半のスタートから群馬のラッシュを受けたように、アクシデントへの対応はやや後手を踏んだ。特に左SBの控えは手薄。今日は佐々木がポジションを変えたが、岡庭、松田、矢口あたりが両翼をこなせるようだとさらに穴が無くなる。

次節鹿児島は、日高が大事を取る可能性もあるだろう。
試合間隔は短いが、ここで台頭する選手が出てくることを期待したい。

強風に寒さ、長距離移動、連戦と選手のコンディション作りも難しいだろう。
この序盤戦が、シーズンの行く末を決めるといっても過言では無いので、集中して次節に臨んで欲しい。

寒さの中、ナイスゲームでした。