収穫と課題の相半ばする快勝 2024 J2第2節・藤枝MYFC戦

収穫と課題の相半ばする快勝 2024 J2第2節・藤枝MYFC戦

2024/3/2(土)14:00
フクダ電子アリーナ
J2第2節
千葉 4(2-0,2-0)0 藤枝

<得点>
14分 千葉 7田中(プレスからボールを奪い、抜け出してシュート)
31分 千葉 16横山(10小森のボール奪取からパスを受け、股抜きシュート)
52分 千葉 10小森(2髙橋のミドルをGKがファンブル。詰めて押し込む)
65分 千葉 7田中(67日高のクロスにダイビングヘッド)

千葉公式
藤枝公式
Jリーグ公式

最終的なスコアは4-0も、どこかスッキリとしないものが残った。
両チームが作ったチャンスの数からすれば、8-2くらいのスコアが妥当だったのでは。
快勝も、諸手を挙げて喜び過ぎてはいけない、課題も多くあった試合だったように思う。

前節からのメンバー変更は3人。

メンデス→久保庭
ドゥドゥ→椿
風間→エドゥアルド

久保庭は右のCBに入り、鈴木大輔が左に。
エドゥアルドはボランチに入り、横山が一列前にポジションを上げた。

藤枝の攻撃的なサッカーはジェフとも近しいものがある。
前線からのプレス、後方での組み立てとそこから前線への切り返し。
そして、それは前節で後手を踏んだ山形とも通じるものがある。

山形戦で前に出られなかった反省を踏まえ、この日のジェフはキックオフから全開で前線からのプレスをかける。後先考えないようなハイプレスでボールを掌握すると、左の椿の前のスペースにボールを展開し、藤枝を自陣に押し込める。

藤枝はなかなか前に進む事が出来ない。
アバウトなボールは悉くジェフが回収し、波状攻撃が続く。
左の椿⇔日高、右の田中⇔壱成のスイッチも小気味良く、他の選手たちの距離感良い。
フィールドを斜めに横切るボールが、サイドに何度も通る。
完全にジェフペースの試合の入りだった。

すると14分には、藤枝の最終ラインでの繋ぎのパスを田中が抜け目なくカットし、GKとの1対1を冷静に沈めて先制点を奪う。更に、31分には藤枝陣内深くでカットしたボールを小森が横山に繋ぎ、横山はブロックに入ったDF2人とGKの間隙を衝く股抜きのシュートで追加点を奪う。

古巣対戦となった横山、ジェフ三唱は行わず。
彼の人柄と、それを愛する藤枝の人達との絆が、試合中も試合前後もよく表れていた。

2-0とした後も攻撃の手を緩めないジェフ。
一方の藤枝も、リスクを追って前に出て、反撃を試みる。
前回の対戦では、3-0としてから2点を返されている相手。油断などできない。
前半終了間際には、クロスから中で合わされて、あわやのシーンを作られるも、藤田が僅かに触っった事でボールはポストへ。最大のピンチを凌いで、後半戦に入る。

藤枝は、後半開始時に2枚交代。
ジェフは交代なし。

ペースは引き続きジェフ。
強度を落とさずにショートカウンターを次々に繰り出し、藤枝を押し込むと、52分には壱成のミドルシュートのこぼれ球を小森が流し込んで3-0。ちばぎんカップと同じ形でゴールを奪う。

62分、椿→ドゥドゥ、横山→風間

65分には、田中の右突破から逆サイドに流れたクロスをドゥドゥ、日高と繋ぎ、再びクロス。田中がダイビングヘッドで飛び込んでダメ押しの4点目。
さらに、その直後にも縦パスを足下に収めた小森がキーパーをも躱して無人のゴールにシュートを放つも、ポスト。頭を抱える。

ジェフペースの試合が続いていたが、これだけ激しく攻守の切り替えを続けていると、スタミナが急激に落ち込んで来る。

77分、小森→呉屋、エドゥアルド→小林

交代策で補おうとしていたものの、目に見えて動きが重くなりつつあった。

それと共にプレーも雑に、収まりが悪くなり、パスがぶれ、決定的なシュートを枠に飛ばす事が出来なくなった。その間隙を衝いて藤枝も反撃を仕掛け、試合はオープンな展開に移っていく。

ウノゼロを目指した尹晶煥監督時代と違い、小林監督のチームは、退いて守って、守り切るようなチームにはなっていない。前に出る事で、相手を退かせて守備機会を減らす。が、最前線から最後尾までをカバーするのは体力的に厳しい。

一点を取り返したい藤枝のサイドへのシンプルな縦のボールに手を焼くようになる。
抉られ、クロスから決定的なチャンスを作られ、ゴール前でバタつく場面が増える。
相手が近くに迫っているのに余裕の無いパスを出し、そこで奪われピンチを招く。
ジェフがやっていた事を藤枝にやられてしまう。

それでも、前がかりになった藤枝にカウンターを浴びせ、
風間、さらにドゥドゥが決定機を迎えるも、シュートを枠に飛ばすことが出来ない。
藤枝の戦意を完全に挫くことが出来ないまま、試合は終盤へ。

85分には少し傷んでいた鈴木大輔に代えてメンデス。
5人の交代枠を使い切る。

残り10分、双方のゴール前のプレーが多い展開が続くも、失点は許さずにタイムアップ。
今季初勝利を挙げる事が出来た。

収穫は、小林監督が「攻守にわたって自分たちがやりたいゲームをやれた」と、会見の開口一番に語った言葉に集約されている。

最初から最後まで、各選手がゴールを目指して連携して攻撃的な守備を実践した。
特に、先制点と2点目は、前線からのプレスで相手のミスを誘発し、それを得点に繋げたこと。狙い通りだった。そして、波状攻撃を支えた、横山、エドゥアルドの新戦力2人のプレーも素晴らしかった。

一方で、課題も。

1つには、時間が経つに連れて下がったプレーの精度。
終盤にかけてチャンスがありながらも決めきれないシーンが多かった。
昨年秋の岡山戦が、ちょうどそういう試合で。得点差が開くと、その先のプレーが雑になる。さらにもう1、2得点が取れておかしくない場面で仕留めきれない緩さは、すぐにでも修正しないと、シーズンの順位に大きな影響を与えてしまうだろう。

もう1つは、試合の終え方。
これは、昨年後半からあまり変わらない。
前半から飛ばして、60~70分過ぎる頃には、同じやり方で主導権を握り続けるのは難しくなっている。それを承知でやっているが、こちらのプレスの拘束が解けると、相手のシンプルな縦狙いの攻撃に、途端にチャンスを量産されてしまう。
ボール回しも、低い位置で相手のプレッシャーに晒されながら、リスキーなシーンが増えている。

いずれも、残り時間30分の戦い方の問題。
ここまでにリード出来ていればまだ良いが、そうでなければ厳しい。
現状、体力切れで、終盤の特攻/空爆のオプションは持ち合わせていないので、リスクマネジメントと、リスクのかけ方の双方で、終盤のゲームプランを作る必要があるだろう。

前節足りなかった積極性を取り戻し、攻撃の理想の形を見せる事は出来た。
それをベースにゲームコントロールの術を上積みしてゆきたい。