ミスに挫けない心 2023 J2第29節・徳島ヴォルティス戦

ミスに挫けない心 2023 J2第29節・徳島ヴォルティス戦

2023/8/6(日)19:00
鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム
J2第29節
徳島 3(1-2,2-1)3 千葉

<得点>
11分 徳島 9森海渡
17分 千葉 8風間(左足ミドル)
37分 徳島 9森海渡
56分 徳島 15棚橋
86分 千葉 4田口(フィードボールをGKが後逸)
90+4分 千葉 11米倉(4田口CKを頭で)

千葉公式
徳島公式
Jリーグ公式

町田、山口に連勝し、調子を上げて臨んだ一戦。
対する徳島は、8試合勝ち星から遠ざかり、順位は20位と苦しんでいる。

台風6号の影響で時折雨が打ち付けるコンディション。
めまぐるしい展開、そして双方のミスが大きく展開を左右する試合となった。

小林の欠場の穴を埋めていた見木が出場停止の今節、その小林が復帰。
それ以外のスタメンは前節と変更なく、好調時は弄らない定石通り。

一方の徳島は、先発5人を変更した上、これまでの3バックから4バックに変更。
ジェフにとっては事前の予想を覆される形になった。
しかし、ゲームが始まると序盤からジェフが徳島を押し込む展開に持ち込む。
追い風も味方に、前線からの守備で徳島のビルドアップを自由にさせず、高い位置でボールを奪っては、右の田中の突破力を存分に活かして、クロスを小森に供給し、徳島守備陣を慌てさせる。

良いテンポだったが、田中の裏側を執拗に衝いて来たのが徳島の左・西谷。
前半6分、西谷の突破に遅れた壱晟が手で倒してしまい、早々にイエローを貰ってしまう。
ここから少し壱晟のペースが乱れたように思う。

前から押し込むジェフ。
しかし、前線と中盤が間延びしがちで、徳島がボールを奪えば、繋げるスペースがある。
11分、徳島の攻撃。右から中央の森海渡に繋がったボール。一瞬、囲みが遅れたタイミングで、迷いなく反転して振り抜いた右足から、強烈なミドルを叩き込まれてしまった。

が、ここでガックリとはならずに直ぐに反撃の圧をかけていく。
17分、ペナルティエリアの外側、右から中にカットインしつつ風間が左足を振り抜くと、ポストを叩いたボールが逆サイドネットに突き刺さるファインゴール。

双方、素晴らしいゴールの応酬。
畳みかけたいジェフ、しかしながら徳島の攻勢も鋭く、特に右の壱晟は苦戦。
徳島のシュートシーンは鈴木椋大のファインセーブに助けられ、事なきを得る。
ゴールを予感させるシーンが共に続く中、ジェフには小林のミドルがゴール左上のカドを直撃する惜しいシーンも。見木不在にも関わらず、中盤より下の選手達がミドルを撃つ意識が高く、厚みがある。

35分、ここからゲームが動く。
ゴール右側に流れたボールを追いかけた田中が足を踏まれ、PKを獲得。
小森がボールをセットするが、大きく枠を外してしまう。

その直後、ジェフの最終ラインに高く蹴り出されたボールを壱晟がクリアミス。
逃さなかった森海渡。一度は鈴木椋大がセーブするも、こぼれ球に詰めてカバーに入った壱晟よりも一歩速くゴールに流し込む。

ジェフがリードする、はずの展開から、一瞬でリードを奪われてしまった。
当事者の小森、壱晟だけでなく、チームの落胆も大きかったか、落ち着きを失って徳島の攻勢を受ける展開に。一つのプレーが重くのしかかる。

前半は1-2で終了。流れは徳島。

後半に入ると、同点を目指して遮二無二攻めるジェフの焦りと、そこを逆手にとってホームでの勝利を目指す徳島の必死さが際立つ。波状攻撃で攻め込むジェフに対して、カウンターで仕留めにかかる徳島。

56分には、直前まで壱晟のオーバーラップからチャンスを作っていたシーンをひっくり返され、棚橋にカウンターから3点目を奪われてしまう。

直後58分にジェフは熊谷、高木、米倉の3枚を同時に投入。
69分には、さらに福満。
気持ちの強い選手がベンチに控えているのは心強い。
反撃の1点を目指して畳みかける。

サイドから、あるいはミドル、セットプレーから。
決定機と言える惜しいシーンは作るものの、決めきる事が出来ない。
壱晟の地を這うような強烈なミドルも僅かに枠外。
得てしてこういう時は入らないもの。時間が過ぎ、重くのしかかる。
ただ、攻める事を決して止めはしなかった。

その姿勢が何かを呼び込んだのか、
86分、まさかのゴールが生まれる。
田口がゴール前に向けて蹴り込んだボールは、そのままGKスアレスの正面に。
ところが、両手で掴もうとしたボールを後逸してしまい、1点をジェフが返す。

あと2点。ATは6分。

攻め続け、90+4分。CKからヨネが頭で押し込み同点。
そのボールをもぎ取って、センターサークルに戻し、勝ちきるために、最後まで攻め続けたが、残り時間が少なすぎた。3-3のドロー。

さて、良い試合をした後が課題のジェフ。
順位的に苦しむ相手との対戦が課題のジェフ。

この試合でも、そうした状況、相手に対する試合運びに脆さが出てしまった一方、これまでの試合とは違う成長も見せた試合内容となっていた。

何より、負けなかったこと。ドローに追いついたこと。

これまでの試合では、ミスや失点で淀んだ空気を覆せずに、相手から流れを取り戻す事が出来なかった。しかし、この試合では、先制点を奪われた後も、ミスからリードを許した時も、ゴールを奪い返す意思統一が出来ていた。
いまの自分達ならゴールできると自信があるのだろう。

少し前までのジェフなら1点が重く、1-2、1-3になった時に諦めムードが漂いかねない。
負けているのに、シュートを撃たずにボール回しばかりだったことを思い出して欲しい。

それが今日は、気持ちも、足も止まらずに、入らなくてもゴールを狙い続けていた。
それが、18本のシュートと言う数字に現れている。

この意識、姿勢の変化は大きい。

それに加えて、この試合では小森のPK失敗、壱晟のクリアミスをチーム全員が、とりわけ交代出場した年代が上の選手達が、取り返そうと、このままでは終わらせないとリカバーするプレーぶりを見せてくれた。

清水戦頃から感じ始めたポジティブな変化。
いっときのものではなく、少しずつチームに定着して来ているように思う。

戦前、小林監督がインタビューに応えて語っていた、
『自分はどちらかといったら内に秘めるタイプだったので、その内にあるものをすべて開放していこうと。』と言うくだりは、
監督自身だけでなく、選手一人一人にとっても同様なのかも知れない。

腹の内を全部曝け出して「戦える」チーム。

いま、ジェフは、そういう内面の強さを身に着けようとしている。