「得点」という課題を残して折り返し 2023 J2第21節・いわきFC戦

「得点」という課題を残して折り返し 2023 J2第21節・いわきFC戦

2023/6/18(日)16:00
いわきグリーンフィールド
J2第21節
いわき 0(0-0,0-0)0 千葉

<得点>
なし

千葉公式
いわき公式
Jリーグ公式

水戸戦の逆転負けから一週間。
51号を一路北上し、アウェイ連戦のいわき。

夏を思わせる日差しの下、14時前にリリースされたスタメンには、田口、佐々木、日高が復帰した一方で、新井一耀と西久保はベンチからも外れ、風間はベンチ。
特に壱晟の初期配置が判然としなかった。

16時3分キックオフ。
円陣が解かれ、選手達がピッチに散ると、初期配置はこのように。

トップ下か、3バックの右かとも想像していたが、壱晟は4バックの右サイドバック。
彼をここに配置すると、他の選手達は順当と言えるポジションに収まった。

壱晟はこれで、FW以外はほとんどのポジションを公式戦で経験したのではないだろうか。
背番号「2」が、体を表すようになって来た。

対するホーム、いわきFC。
現在、降格圏の21位。直近2試合のリーグ戦では、熊本に0-4、山形に0-3と苦しい戦いが続き、この試合の前に監督交代に踏み切っている。

両チーム、変化を加えてこの試合に臨んだ。

試合は概ねジェフペースで進む。
水戸戦に比べて、運動量と、局面の集中力があり、締まった展開。

復帰した田口の存在が大きく、中盤でパスを受けると手数をかけずにテンポよく散らす。
いわきのマークが寄せきれず、スタミナを消耗してゆくのが分かる。

右の壱晟も違和感は無い。
対面をしっかり塞いだうえで攻撃参加、見た事のなかったロングスローまでしてみせる。
佐々木、日高が組む左もスムーズだ。

反面、ジェフもボールを握るものの、相変わらず攻撃に意外性が無く決定機を作れない。
前線の小森がマークされ、フリーになれないのはある程度仕方ないとして、彼にマークが集まる分、フリーになる選手がいるはずなのだが、そこをうまく使う事が出来ない。

攻撃はサイド一辺倒。
上げたとしても中は小森一枚。ターゲットが不足している。
遅攻なので、上げきれずに戻すことも多い。
そうなると、後ろから組み立て直しになるのだが、一発ではなく、各駅停車で逆サイドに振っても同じように詰まるだけだ。
縦パスは精度を欠くシーンが多く、ゴールラインを割りがちだった。
停滞感を破る工夫が欲しい。

後半途中から投入された米倉が、FWのようにエリア内でボールを受ける、シュートを撃つシーンを作っていたが、そういうプレーを、椿と田中にもっと見せて貰いたかったものだ。
中でフィニッシュをする枚数が増えない事には、いつまで経ってもゴールの匂いがしない。

唯一無二の小森がクロスに飛び込んで腕?を痛めたシーンは、現地のジェフサポ一同から悲鳴があがっていた。幸い、プレー続行となったものの、離脱となると致命的だ。

膠着状態が続くと、ミスが怖くなる。
この日は無失点に抑えたものの、後方のビルドアップで危ないシーンはいくつかあった。
佐々木は、左足なら安定していたが、右でミスパスが散見。
それでも、松田を強引に左で使うよりはよほど安定していたが。

前半、可能性を感じたシーンは2つほど。
椿が突破して、右足で放ったシュートは、キーパーが正面で防ぐ。

また、前半終了間際に田口が右足で放ったゴール左からのFKは、決まったかと錯覚させるほどの鋭い弾道で、ゴールの上に外れていった。

スコアレスのまま勝負は後半へ。
気温は下がらず、日差しも強いまま。
選手達も、スタンドの観客も、消耗を強いられていく。

先にスタミナが切れてきたのは、意外にもいわき側。
ジェフのパス回しに相当走らされていたのかも知れない。

しかしスコアは動かない。
前半同様、押し込みながら、決め手を欠く展開が続く。
頑張りは伝わってくるのだが、工夫がどうしても足りないもどかしさ。
頼みの小森が強引にシュートを放つも、枠を捉える事が出来ない。

ベンチは、67分に3枚を一気に交代。
FWと両翼。

小森→呉屋
椿 →高木
田中→米倉

この交代で入った米倉が、早々に躍動。
左クロスを、ゴール左手前まで飛び込んでヘディングシュート。
防がれたものの、決定機。スタンドからの声援が一層大きくなる。

その後も、疲れの見えるいわきを押し込み、波状攻撃を仕掛けるジェフ。
慣れない左MFを務める高木が、そうとは思わせないプレーで相手を振り切り、日高とのコンビで何度もチャンスを作る。右からは米倉だけでなく壱晟も高い位置を取り続けて起点をつくる。

いわきのクリアは小林が拾って、カウンターを許さない。
鈴木大輔、佐々木も、ラインを高くして押し込んでゆく。

一方的な展開になったが、ゴールだけが割れない。

もう一つの大きな決定機が呉屋に訪れたが、シュートは抑えが効かずにバーを叩く。
期待の大きさの裏返し。なかなか思うような結果が出せず、意気消沈をしているだろう様子は、試合中のしぐさや、ユナパの練習見学でも端々で見て取れる。人間だから、それは仕方なくもあるが、あの一発を叩き込んで、ヒーローになり、自信を取り戻して欲しかった。

最終盤には、田口に代えて風間も投入。
その後、久保庭も一旦スタンバイしたのだが、何らかの事情で交代はなし。
今日も交代は1枠残して4枚のみ。

ATに入って声援もより一層大きくなり、流れからも、セットプレーからも、最後までゴールを目指したものの。残念ながら、最後までゴールを割る事は出来なかった。

時間が過ぎれば過ぎるほど。相手がゴール前を固めれば固めるほど。ピッチからは焦りが伝わって来た。終了のホイッスルが鳴ると、両軍ともに精魂を使い果たして、ぐったりとピッチにへたり込んでしまった。

スタンドは沈黙と、少しのブーイングと。
鈴木大輔がスタンドと多少やりあっていたようだった。
決して良い事ではないが、大宮戦の試合後のような完全な沈黙よりは、よほど正常な反応に思えた。

応援が止むと、べったりとかいた汗を含んだユニフォームが身体に張り付いて、傾いた陽に顔が照らされ、初夏の蒸し暑さが急によみがえって来た。早々に横断幕を片付け、常磐道に乗って家路についた。

前節水戸戦に比べれば、
コンディションも良く、相手を走らせ、疲れさせ、終盤勝負できる体力を残せた事からも、得点以外はプラン通りに進められたのだろう。一週間の比較では、内容的には前進したと好意的にみるべきと分かってはいる。

得点以外は。。。

これで、シーズンの半分を経過してしまったが、
「得点以外は」に終始してしまった。

「攻撃的に主導権を握る」チーム作りが、そうそう簡単に出来ないのは分かる。
予算不足でコストのかかる戦力が取れなかった事情も推察される。
だからこそ、選手の入れ替えを最小限に止め、チームとして得点を奪う方針を掲げたのだろう。

状況は、考え方は、理解できる。
が、それでもやはり年来の課題である「得点力不足」の為に、クラブとして投資をして、プラスアルファの戦力を獲得すべきだった。
上手く行かなかった(得点が取れなかった)時の保険が無く、シーズン当初目指していたショートカウンターに寄る速攻を引っ込めて、ビルドアップ中心の遅攻になり、どちらでも決め手に欠く状態になってしまっている。
得点さえ取れれば、それで勝てれば、過程は違っても、自信をつけて、監督の理想とするプレーにより早く近づけたのだろうが。。。

小森のここまでの活躍は予想以上だが、彼に頼るのではなく、彼を活かすチーム作りをしなくてはならないはず。
このままでは小森が潰れる/潰されてしまうし、そうなったときに得点の形を完全に失ってしまう。

もっというならば、得点力不足は、エスナイデル監督が目指した攻撃的チームから、守備の立て直しに方針を転換した後、ずっと課題のままだった。
本来なら、少なくとも尹晶煥監督にとって勝負の一年だった、昨年2022年の開幕時に間に合うように得点源を補強すべきだった。
これでは、尹晶煥、小林慶行、二人の監督を続けて苦境に追い込んでしまう事になる。

編成の問題から解決しなければ、同じ轍を踏み続ける。
そう思えてならない。

後半戦に向けて、クラブはどう動くのだろうか。