進むべき方向の再確認を。 2023 J2第20節・水戸ホーリーホック戦
- 2023.06.12
- GAME REPORT
- 小林慶行, 小森飛絢, 椿直起, 水戸ホーリーホック
2023/6/11(日)16:00
ケーズデンキスタジアム水戸
J2第20節
水戸 4(1-1,3-0)1 千葉
<得点>
16分 千葉 41小森(5小林のスルーパスを左サイドで受けた14椿が右足に持ち変えてクロス。41小森が、エリア内でゴールを背に左足でトラップし、ボールが下に落ちる前に反転して右足ボレーシュート。ゴール左下隅に決まる。)
三連勝から一転、仙台、町田、大宮に公式戦三連敗。
閉塞した状況を変える後押しが出来ればと、雨予報に迷いながら水戸へ車を走らせた。
幸い現地は大雨にはならず、弱い雨が降ったり止んだりのお天気。
スタメンには風間が復帰。サブには日高や熊谷が入り、一時より状況は改善した模様。
この試合もジェフは基本的に後方から繋ぎ、サイドを主体に攻撃。
前で詰まれば戻し、ロングボールでラインを高く押し上げようとするも、前で収める選手がいない上に、精度を欠いてロストする展開が続く。全体的に動きが重い。選手と選手の距離感が開きがちで、前に運ぼうにも詰まったところで各個撃破されている。
一方の水戸の攻撃は前にシンプルで速い。
ジェフは最終ラインのベースが4枚で、片翼が上がると逆サイドバックが中に絞って3バック化する。この時、サイドバックの裏に穴が出来るのが分りやすい弱点だ。
当然、水戸はここを狙って来る。
右の西久保は前に出ている事が多く、新井一耀は常に穴を気にかけている。
左は、日高の代わりに松田が左を担当しているが、不得手なのは明らかで、初手で前に繋ぐ事が出来ない。出しどころに困って、横か、後ろへ逃げる形になってしまう。
重たい展開が続いたが、狙いとしていたサイド攻撃が実り、先制点を奪う。
松田→小林と繋いで、水戸の右サイドの裏のスペースへ距離の長いスルーパス。
これを受けた椿がクロスを上げると、ゴールを背にした小森が左足のトラップで浮かしたボールを反転しながら、右足のダイレクトボレーで叩き込む。
鮮やかな一撃で試合を動かして見せた。
ゴールシーンをPLAYBACK🎥
「こういうタイミングでパスを出してほしい」
椿選手からのパスを豪快ボレーで決めたゴール✨DAZN視聴はこちら💁♀️https://t.co/JtKiOqCnM1 #jefunited #jleague #WINBYALL pic.twitter.com/weIbtakpKH
— ジェフユナイテッド市原・千葉(公式) (@jef_united) June 11, 2023
この小林→椿の裏狙いは、ゴールシーンの前から同じようなシーンを作ろうとしていたので、その試みが成功した形だった。
ゴールをきっかけに、攻勢を強めたいジェフだったが、重たい展開は変わらなかった。
ボールをなかなか前に運ぶことが出来ず、繋いでいるうちに奪われてカウンターを浴びる事の繰り返し。繋いで、繋いで、ボランチからサイドの一辺倒では、相手も守るのが容易だ。
水戸は過度に焦るような事もなく、縦に速い攻撃を淡々と続けて来た。
ジェフは、攻撃から守備に切り替わった時に、後手を踏んで、水戸の中盤の選手を捕まえられなくなっていた。
同点は34分。
水戸は右SB22長井が中に絞って縦にパスを送り、そこからエリア内で粘られて、右MF25鵜木へをフリーにしてしまう。ふんわりとした柔らかいクロスは、ファーで待ち構えていた寺沼に合わせられ、試合は降り出しに。
そこからスコアは動かずに前半を終えた。
後半に向けたメンバー交代は無く試合は膠着していたが、55分以降、両軍ともに選手を入れ替えて試合を動かしにかかる。ジェフは、60分に田中と日高を投入して、両翼から決定機を作ろうとするも、追加点を奪ったのは水戸だった。
66分。ジェフの右サイドで水戸がパス交換をし、14小原が西久保のマークを剥がしてフリーになり、エリア内で右足を振り抜いてゴール。弱点の攻略に再度成功した。
この失点で気落ちしたジェフに畳みかけ、水戸が試合を決める3点目を奪う。
ジェフは呉屋と高木の交代を準備していたが、ベンチが遅すぎた。
交代が行われる前に水戸がゴールを奪った。
水戸の勢いに手を焼くうち、周りの選手の動きに気を取られ、10前田をフリーにしてしまう。ファーに送られたボールに、25鵜木が飛び込み、潰れ、足を伸ばして攻撃参加していた5楠本に繋ぐと、混戦の中で冷静にコースを突いてゴールに流し込んだ。
試合時間はまだあったが、試合再開を急ぐより、ベテランがばったりと倒れ込んで天を仰いでいるようでは、勝機は掴めない。他の選手達も、一様に気落ちしているように見え、その後も水戸の勢いに押し込まれた。
毎試合、終盤に焦って攻撃を仕掛けるジェフだが、全く迫力が無い。
サイド経由で組み立てていて、残り時間で3点が取れるものか。
逆にエリア内のハンドから4点目を献上。
交代出場した、呉屋、高木も大きなインパクトは残せず。
最後の最後まで、闘っていたのは、小森だけではなかったか。
交代出場した呉屋が、試合中にエリア内で天を仰いでる姿には、期待が大きいだけに失望も大きかった。
さて、このチームは今後、どんなサッカーをするつもりなのだろう。
尹晶煥監督のサッカーから転換し、攻撃的で魅力的なサッカーをすると掲げたものの。その目標は早々に諦めてしまったかのように見える。目標に辿り着く為に、狙いをもって、いまのサッカーをしているのならいい。けれども、今のチームには、どういうサッカーをして、勝つのか、点を奪うのか、魅力的でファンを呼べるサッカーをするのか、見失っているようにみえる。
そこに立ち返って、目標を持って、闘わなくては、後押しも、必要な周囲の我慢も得られなくなってしまうだろう。
答えはルーキーの小森が背中で見せているように思う。
今いる選手達が、もっと出来る選手だと、サポーターは信じている。
自分で自分を信じずに、プレーで逃げているように映るから、もどかしい。
監督は、心火を焚きつけられるか。
心を燃やす目標を示すことが出来るか。
これから進むべき道筋を指し示すこと、それが出来るかどうかが監督の資質。
前半戦、最後のいわき戦では、それが見える試合を期待したい。
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