負のループを抜け出せ 2023 J2第9節・藤枝MYFC戦

負のループを抜け出せ 2023 J2第9節・藤枝MYFC戦

2023/4/12(水)19:00
藤枝総合運動公園サッカー場
J2第9節
藤枝 3(2-0,1-1)1 千葉

<得点>
12分 藤枝 10横山
40分 藤枝 9渡邉
57分 藤枝 9渡邉
90+2分 千葉 13鈴木(4田口のCKをヘッド)

千葉公式
藤枝公式
Jリーグ公式

内容、結果共に完敗。
厳しい現実を突き付けられた。

この試合、メンバー選考の時点で失敗していた。

三連戦の2試合目。
スタメンは、前節負傷した小森が呉屋に代わったのみ。
小林監督としては、目指すサッカーは表現できている、あとは決めるだけと言う事で、前三節のメンバーを信頼し、継続して起用したのだろう。

が、リカバリーは十分だったのか。
ジェフの選手は明らかにプレーが重い、疲労が残っていると感じた。
開始早々から藤枝のアグレッシブなプレーに後手を踏む。

試合後、2得点した藤枝の渡邉選手が、「似たサッカーをしているチームに負けたくなかった」と言う趣旨のインタビューをしていた。

両軍、同じように前からプレッシャーをかけるスタイルの中で、藤枝の方がフレッシュかつ正確なプレーでジェフを圧倒していく。

いつもなら、中盤で相手を刈り取りまくる小林が、逆に刈られてパスを繋げない。
左サイドで運動量でも対面の勝負でも相手を圧倒する日高が、前を向けず、裏を取られて背走する。藤枝は、切り替えが速い上に、選手の距離感が良く、綺麗なトライアングルを作り、狭いエリアでテンポよくパスが繋がる。右の24久保、左の27榎本が、何度も松田、日高の裏を衝く。

ジェフは、藤枝のプレッシャーの前にボールが保持出来ない。
相手の網を外し切れていない、余裕の無い前線へのパスは悉くカットされ、プレスに負けてバックパスに逃げれば、更に追い込まれ、明確な狙いの無い逃げのボールが前線へ高く上げても、呉屋や前線の選手まで届かず、また回収される。

小森の穴は大きい。居なくなって、いかに彼の個に頼っていたかが分かる。
彼の居ない前線は、相手にとって怖さが無く、追い込み、裏狙い、キープ、ポストと言ったプレーの強度も精度も足りないまま。

一方的に藤枝の攻撃を食らい、クロスあるいはCKを浴び続けた。

そして12分。
カウンターからまた前節の再現のようなシュートが、ペナルティエリア右側から放たれ、先制される。
素晴らしいゴラッソだったが、偶然ではない。藤枝は、あそこがジェフの穴と判断して、意図的に狙って何本も同じような位置から狙っていたし、決められた後も穴を防げずに打たせてしまっている。事実、前半もう一本、バーに当たるシュートを打たれた。

またか、と言う重い空気が、ピッチにスタンドに漂う。

彼らがそうやって、ジェフの弱点い対してシンプルな攻撃を仕掛ける一方で、ジェフは前線に行くほどに渋滞をしてサイドに逃げて、さらに時間を使う悪い癖が試合を通して修正しきれなかった。

その後も藤枝の攻勢が続く。
同じことを繰り返していては、さらに劣勢に追い込まれるだけだが、小林監督からの明らかな修正は無かった。
藤枝も、チャンスの数と質の割には決めきれない展開が続いていたが、40分、ジェフに致命的なミスが出る。

最終ライン裏へのロングボール。新井一耀が足を伸ばすが触れられない。
詰めていた9渡邉が、新井章太の目の前で、つま先でコースを変えてゴールに流し込む。
試合を引き締めるべき二人が、身体を張って止める事が出来なかった。

完全に心が折れたか新井章太は、そのままピッチに伏せてしまい、鈴木大輔に起こされるまで立ち上がれない。ようやく立ち上がるや、ゴールポストを叩き、ペットボトルを叩き付ける。そんなふてくされた仕草を目の前で見せつけられると、ピッチだけでなくスタンドの士気も落ちる。

こういう彼を見るのは初めてではない。
ミスは仕方ないにしても切り替えが出来ない。
彼の弱さは、メンタル。悪いところが全部出た。

そうして、何も出来ないままに前半が終わる。
引き揚げる選手達の疲労感が濃い。
余りの何も出来ないっぷりに、スタンドも戸惑っているようだった。

ハーフタイム。
ピッチではブワニカらがシュート練習に励み、スタンドからの声援に応える。

が、これだけ酷い前半だったにも関わらず、選手交代は無し。
小林監督は、前半自由にやられた藤枝の各選手への対処を明確にする為、立ち位置を変え、よりマンマークを明確にして来た。
この修正自体はある程度機能して、前半よりはジェフの手数が増える。

とは言え、0-0の状況と違い、0-2の状況では藤枝も無理はしない。
定石通り、ジェフに攻めさせて、前線を渋滞させ、出来た背後のスペースをカウンターで狙う。そして、ものの見事にひっくり返され、スルーパスから9渡邉に抜け出され、0-3とリードを拡げられてしまった。

ジェフのチャンスも無かった訳ではない。

右クロスからの田口のヘッド、
中央からの見木の強烈なミドルシュート、
その直後のCKからのヘッド、
日高の左サイド突破から、キーパーとの1対1。。。

しかし、決める事は出来ない。

交代はようやく62分に3枚代え。
松田、田中、風間に代え、佐々木、末吉、ブワニカ。
80分には、呉屋に代えて椿を投入するも、また1枠を残して試合を終えている。

終盤にかけて攻勢をかけたものの、正直、練習で狙っているような崩しではなく、焦りに焦ってただ遮二無二攻め立てているようなものだった。椿のミドルはポストに弾かれ。ATに入ってから、田口のCKを鈴木大輔が頭で押し込み1点を返したものの、大分戦のブワニカ弾同様、焼け石に水。

1-3で敗戦。
これで8試合勝ち無しとなった。

今のジェフには、プランAに代わるB・Cの策が無く、出来る編成にもなっていない。
運動量や、フィジカルでの優位も無い。
それ故に、この藤枝戦や、あるいは群馬戦のように、最初からジェフ以上のプレッシャーをかけて来るチームには後手を踏んでしまう。

攻撃的な守備で相手を押し込み、先制点を奪うことを、スタートにしてるはずだが、それが出来ず、逆に攻撃的な守備で手薄になった背後を相手に効果的に利用される悪循環だ。

4-4-2とも、3-6-1とも見える可変システムも、今日の前半のように押し込まれると、誰が誰を見るのかが不明確で、最終ラインのギャップが大きくなるデメリットの方が大きくなる。

組織的に得点を奪う為のシステム、戦い方のはずが、得点出来ないが故に負のループにハマってしまっている。

散々指摘されているが、昨年、あれだけ得点力不足に苦しんだにも拘わらず、FWの補強が呉屋のみと言うのは、どう見ても準備不足だった。ソロモンも放出してしまい、ハイボール頼りの力攻めも出来ない。

さらにこの試合に関して言えば、連戦を考慮して選手を入れ替えるべきだった。
徳島戦から4日。まだ疲れの残る選手達のコンディションを見極められずにピッチに送り出し、この結果を招いたばかりか、選ばれなかった選手達のモチベーション低下は想像に堅くない。

勝てないのに、俺たちは使われないのかと。
これは、小林監督の経験の乏しさ故の意固地さがモロに出てしまっていると思う。

藤枝戦こそ、出場機会の少ないフレッシュな選手に出場機会を与え、見極め、日曜日の東京V戦への試金石にすべきだった。その機会を活かせず、ただチームにストレスを溜めるだけになってしまった。

試合後、項垂れて挨拶にやって来た選手達。
スタンドのジェフサポは、腕を組み選手達の顔を見つめたり、強く手を叩き、あるいは激励の言葉を飛ばして悔しさを共有していた。コールリーダーは、トラメガで選手達へ「頼むぞ」と声をかけ、選手達も聞き入り、頷き、深く頭を下げて、手を叩き応えていた。

現状21位に沈む。
こうなってしまった時、感情に任せた罵声、怒声は状況を悪化させるだけと、アウェイへやって来るサポは経験的に知っている。

補強は夏まで出来ず、現状のメンバーを信じ、結果を出して貰うしかない。
仮に監督を変えたとして、GMがジェフが、すぐに結果を出せる人材を連れて来れるか?出来るわけが無い。まだ予算的に余裕があった時期にですら、過去のジェフはそれが出来ていない。コロコロと方針を変え、積み上げきらないうちに、すぐに我慢できずに方針を変えて壊し続けて来た。
現状は、ジェフと言うクラブが30年に渡って積み重ねてしまった負の遺産の結果だ。

皮肉なことに、この日のゴール裏を彩った大弾幕はジェフの歴史と伝統を表現したもの。
変えるべきを変え、覚悟を持って積み重ねなければ、このクラブ自体に未来は無い。

心を乱せば乱すだけ、それは他のクラブに利することになる。
言いたいことは色々ある。
こうすれば、こうであればもある。
が、私たちに出来るのは応援だけ。
次の試合はすぐにやって来る。

苦しい時こそ、より大きな声援を。