想いを乗せて主将が吼える J2 第7節 新潟戦
- 2022.04.02
- GAME REPORT
- アルビレックス新潟, 田口泰士, 鈴木大輔
2022/3/30(水)19:00
フクダ電子アリーナ
J2第7節
千葉 1(0-0,1-0)0 新潟
<得点>
90+5分 千葉 13鈴木大輔(4田口のCKをヘッド)
一点の重み。
産みの苦しみ。
幾度となくゴールに迫りながらも、揺れないゴールネット。
ラストプレーだった。
右CK、田口の蹴ったボールを誰かがニアで反らす。
軌道がハッキリと見えた。
キーパーの伸ばす手は届かない。
今度こそネットにボールが吸い込まれる。
その瞬間、フクアリの歓喜が弾け、誰彼となく喜びを共にする。
ピッチの中もそれは同様で、
立ち上がり、吼えたのは鈴木大輔主将。
ベンチからも選手が、スタッフが駆け寄り、大きな歓喜の輪を作る。
尹晶煥監督もまた、コーチと抱き合ってこの一点を噛みしめていた。
2022シーズンが始まって、フクアリではリーグ4試合目。
ちばぎんも含めれば5試合目。
450分以上戦って、ようやく生まれたゴール。
溜まりに溜まった鬱憤が、ホームで勝つことの難しさ、苦しさが、この一点には詰まっていた。
土曜日の栃木SC戦。
あの敗戦から4日。
気持ちを切り替える間もなく、ゲームはやってくる。
水曜日のナイトゲーム。迎えるは連勝中の新潟。
17時前に発表されたスタメンは、サブも含めて大きく異なっていた。
ミンギュがディフェンスに戻り、ボランチにはアンドリュー。
WBは左が秋山、右には福満が本来のポジションに戻った。
控えにも、高木、サウダーニャ、末吉、米倉と言ったメンバーが並ぶ。
これまで苦しい状況を支えて来た若手たちは一旦お休み。
今日は経験ある選手たちが、本来のポジションで名を連ねた。
が、前半は苦しい展開だった。
新潟は、10番・本間至恩を中心に、ジェフを上回る運動量、球際での強さ、何より複数の選手が連動したプレッシングで囲い込み、高い位置でボールを奪っては鋭いショートカウンターを仕掛けてくる。
この日のフクアリのピッチは、まるで彼らのサッカーにおあつらえ向きに整備されていたかのようで、よくボールが走り、彼らの細かいパスワークが小気味良くハマっていく。
その圧力に押し出され、思うようにボールを保持できない。最終ラインまでボールを戻しても、なお圧力をかけられ、幾度も新井章大からのフィードがサイドラインを割ってしまう。副産物として生み出されるコーナーキックが積み重なり、息をつく暇がない。
仮に前半早い段階で、また失点を喫していたら、群馬戦、栃木戦と同じような展開に持ち込まれていただろう。いや、新潟が前がかりな分、複数失点を喫して勝負が決まってしまっていたかも知れない。
秋山の突破、見木のミドルなど、数えるほどしか攻撃が出来なかった前半だったが、失点だけは許さなかった。
その粘りが、後半の反撃へと繋がってゆく。
迎えた後半、新潟は変わらずプレスから攻撃を仕掛けてきたが、ジェフは選手交代を機に、徐々に新潟からペースを奪い返してゆく。
60分、秋山→末吉、風間→高木。
末吉は、秋山以上にソリッドに、左を「縦」に切り裂いた。
高木は、前線で相手が嫌がるスペースに飛び込み、そこでタメを作って橋頭保を作る。
67分、ソロモン→サウダーニャ、福満→米倉。
これで、「縦」への推進力が一層力強くなった。
即興と強引さを合わせ持つサウダーニャのリズムは、妙に高木のそれと噛み合う。
前半は、ほとんどボールを握られっぱなしだったが、時間の経過とともにジェフがボールを握り、新潟陣内に圧力をかけていく。アンドリューが刈り取り、田口が展開したボールを前線へ。サウダーニャ、高木がキープし、そこからサイドに開いて細かいパス交換。「縦」への突破口を探る。
71分には決定機。
自陣から左サイドにシンプルに開き、縦に抉った末吉のクロスにサウダーニャ。
キーパーと1対1、フリーで放った左足のシュートは、場内放送がフライングで「GOAL」のコールを流してしまったほどだったが、力み過ぎてしまったかサイドネットの外に刺さってしまう。
ボールを奪い返す位置が高くなり、攻撃がシンプルになり、手数が増える。
その裏を衝いて新潟も、繋ぐパスだけでなく、裏狙い、縦一発のパスで決定機を作ってくるが、鈴木大輔を中心に最後の一線は割らせない。
(試合終了時の布陣 88分には足を攣ったアンドリューに代わり、小林が入った)
お互いの持ち味が出て、攻守の切り替えが激しくなった終盤。
両軍が1点を求めてオープンな展開になるにつれ、コンタクトプレーへのジャッジの基準が曖昧になり、フラストレーションが溜まる展開にもなった。
が、ゴールには迫るものの、スコアは動かない。
激しい展開のままアディショナルタイムへ突入。
94分、ジェフは最後の攻撃。
右から左へ展開したボールを、鈴木大輔が末吉に送る。
末吉の突破から見木が中央で合わせるが、相手のブロックに遭う。
そうして獲得した最後のコーナーキック。
田口の蹴ったボールに、鈴木大輔。
数日前とは逆に、大きな歓喜がこの時間に待っていたのだった。
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田生命J2リーグ 第7節
🆚 千葉vs新潟
🔢 1-0
⌚️ 90+5分
⚽️ 鈴木 大輔(千葉)#Jリーグ#千葉新潟
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/1f2lMGSYnX— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) March 30, 2022
勝ったぞおぉぉ!!!#JEFUNITED#ジェフ千葉 pic.twitter.com/w5cK1SZOIQ
— ruin (@jefspirit) March 30, 2022
勝利のでんぐり!!!#JEFUNITED#ジェフ千葉 pic.twitter.com/yggqWYmwAw
— ruin (@jefspirit) March 30, 2022
久しぶりのオブラディ!
いつもより長く!
勝利を噛みしめて!#JEFUNITED#ジェフ千葉 pic.twitter.com/Hjt6wm4sXH— ruin (@jefspirit) March 30, 2022
主軸の復帰、本来のポジションでの起用。
新潟に先制点を許さなかった集中した守備。
流れを変えられる選手たちの復帰。
攻撃に強みを持つ新潟だからこそオープンな展開に持ち込めたこと。
薄氷の勝利の要因はいくつもある。
が、何より、フクアリ全体から、「勝ちたい」と言う熱感が溢れていた。
ホームでゴールが見たい、フクアリで勝利が見たい。その渇望が、スタンドからピッチに伝わり、時間の経過とともに密度が濃くなっていった。
鈴木大輔の決勝点は、そういう一人一人の思いが、ゴールをこじ開けたように思えてならなかった。
サッカーには、「そう」としか思えない瞬間が確かにある。
開幕から1か月、メンバーが揃わず、苦しい状況だった。
が、マイナスばかりでもない。
若手が伸び、新外国籍選手もようやくチームに合流。
選択肢を増やしてこれからの試合に臨む事が出来る。
今後、上位との対戦が続き、楽観出来る状況ではないけれども、ベストメンバーに近い布陣で戦えるのは大きい。まずは目の前の一戦一戦で勝利を積み重ね、上位を追撃したい。
ようやく、フクアリにもサクラが咲いた。
さあ、ここからだ。
<追伸>
劇的な勝利の反面、残念な事もあった。
後半、ジャッジが曖昧になるにつれ、スタンドからは審判の判定に対する、異議、野次、罵声が溢れていた。あまつさえ、マスクをわざわざ外して罵声を飛ばす人間も。
もしこれで逆に劇的に敗戦していたら、どんなに酷い状況になっていたか。
コロナ禍の中、試合を成立させる為に、どれだけの苦労が払われているか、知らないはずがない。彼らには考えが及ばないのだろうか。まして、ジェフはクラブ内の感染で戦力を削がれて苦しんでいる。
声援が出来ない今、彼らの口汚い声は余計に通る。
ルールを守れなければ、試合は成立できない。
それに、雰囲気の悪さを不快に思い、怖がる人もいるだろう。
大切な仲間をスタジアムから遠ざける事になるかも知れない。
それは応援ではなく、ただの妨害行為だ。
勝たせたいが故の、と言う心根は解る。
が、それならば、ルールの中で出来ることはあるはずだ。
ルールを破った人は、自分だと分かっているはず。
本体あるべき「フクアリ劇場」は、罵声ではなく、今は出来ない声援と、歓喜に溢れたもの。
それを取り戻すために、一人一人が自らを省みて応援に集中しよう。
宜しくお願いします。
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