垣間見せた「攻撃的な守備」 2021 J2第25節 vs新潟 △0-0
- 2021.08.15
- GAME REPORT
- アルビレックス新潟
新潟戦。
翌日、DAZNで視直しをすると、現地で見たのとかなり印象が異なる試合内容で驚いた。
フクアリで見た時は、ジェフの選手達の出足の良さは感じていたものの、序盤から頻繁に起こっていた両軍の接触プレーの印象が強くて、それに抗議したり、あるいは心配する両軍の声や表情が印象に残り、プレーの記憶がブツ切りだった。
そのせいか、前回、アウェイで戦った時のように、新潟がジェフのスペースを衝く事が出来ないのは、彼らが本調子で無いからではないかと考えてしまっていた。
とんでもない。
自分は昨日、現地で何も観ていなかったに等しい。
DAZNで視直したジェフは、これまでとは全く違う守備と、攻撃への切り替えを見せていた。
尹晶煥監督体制になって、
初めて「攻撃的な守備」を体現した試合だった。
スタメンは、前節から大きく変更。
ソロモン、旭、末吉、アンドリューが先発。
トップのソロモンをプレスの起点にして、2人目、3人目が連動してボールを刈り取りにゆくハイプレスを敢行。それも、ボールを持った相手選手に寄せるだけのアリバイのようなプレスではなく、そこから先に展開する事を許さない、激しさがあった。
時に身体を当て、敵陣であってもスライディングでボールを掻っ攫い、マイボールを奪われそうになれば、倒れながらも身体でボールを保持して、足を伸ばして味方へ繋ごうと試みる。
愚直で、泥臭いプレーを、コンパクトに徹底して、新潟の自由を奪っていたのだった。
そこから先、切り替えも大きく変わっていた。
巾着袋のクチの部分のように、プレスの行きつく先には田口がいて、ボールを回収して、展開する。両翼を広く使う意識も徹底され大きなサイドチェンジがピッチを袈裟切りに飛び交い、それを受けた福満、末吉が、縦に仕掛ける。
さらに、ディフェンスの3人が、ポジションを捨てて攻め上がって来る。
彼らが、WBの内側や外側を駆け上がって攻撃に絡むシーンを、何度となく数える事になった。
守備的でありながら、攻撃的であり、
攻撃的でありながら、守備的。
象徴的だったシーンがいくつかある。
32分、見木が強烈なミドルシュートを放ったシーン。
この見木にボールを繋いだのは、なんとミンギュと新井一耀の二人だった。
34分、45+1分。
新潟のカウンターを受けそうになったシーンで、新潟の左を潰したのは、船山と福満の挟み込みとスライディングだった。
46分、70分、末吉のボールを受けてチャンスを拡げたのは、オーバーラップした鈴木大輔だった。
これまでのジェフの守備のやり方では、こういうシーンは目立たなかった。
前節、山形をリスペクトし過ぎたと振り返っていたように、最終的な目標がゴールに、自らの攻撃に置かれていない守備には、怖さが無い。そういう守備から繰り出される攻撃には、意外性がない。
それが、この試合では、ゴールを奪う事を目的とした守備が出来ていた。
結果的にはスコアレスドローではあったが、こういう戦い方も出来ると、自らを再確認出来た意味は大きかったのではないだろうか。
一方、試合を通じて、攻撃的な守備を続ける事になったのは、先制点を奪えなかったからではないだろうか。狙い通りに戦い、先制点を奪えていれば、時間の経過とともに、相手を引き込んでカウンター狙いに移行していたのではないだろうか。
その為に、船山と、サウダーニャをベンチに置き、リスクを犯して同点、逆転を狙う、新潟のディフェンスラインの背後を衝く準備をしていた、スタメンと、サブでは無かったか。
果たして、その思惑通りに進んだかどうかは分からない。
新潟にボールを保持させた結果、正面から攻撃を受け、山形戦のようにそのまま押し切られていたかも知れない。が、狙いをもってゲームプランを組むこと、その為に必要な得点を奪いきる事が出来るようになれば、もう一段のレベルアップも可能だろう。
チームの成長に停滞感を感じるようにもなっていたけれども、まだこのチームは成長できると思える内容だった。それが何よりも収穫だった。
試合後の選手への拍手は、いつもよりも大きかった。
※激しいゲームの中で、負傷者の発生が残念。
脳震盪を起こした新潟GK小島選手、裂傷を負った矢田選手の一日も早い回復を願います。
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