生みの苦しみと出来るか 2021 J2第6節 vs京都サンガ ●1-2
- 2021.04.07
- GAME REPORT
- サンガスタジアム, 京都サンガ
2021/04/04(日)14:00
サンガスタジアム by KYOCERA
J2第6節
京都 2(0-1,1-1)1 千葉
<得点>
33分 京都 4松田(9ウタカ)
68分 京都 31福岡(9ウタカ)
90分 千葉 17新井一(39見木のFKのこぼれ球を押し込む)
厳しい相手と分かっていたが、局面局面での厳しさで後手に回り、ミスから失点して連敗。
順位は降格圏、21位まで下がってしまった。
だが、昨年から課題の攻撃に前節からきっかけを掴みつつある。
試合後、小島が発していたように、今は自分たちの取り組みを信じて、結果の為にもがく時期だろう。
緊急事態宣言解除後、初めてのアウェイ。
一昨年訪れた、建設途中の新スタジアムは霧に霞んでいたが、今日も雨模様となった。
「サンガスタジアム by KYOCERA」
一言、素晴らしいスタジアムだ。
駅近、程よいキャパ、見やすさ、音響、トイレの多さ。
そして、何よりも屋根。これほどの雨にも関わらず、最前列でもほとんど濡れなかったのだから。
書き始めるとキリが無くなってしまうので割愛するが、美しいデザインも含めて国内最高峰のサッカースタジアムの一つである事は間違いない。
さて。
亀岡駅に着いて、飛び込んで来たスタメン。
ようやく新井章太が戻ってきた。そして右SBには米倉。前節終盤で伊東が少し傷んだように見えたから、恐らくはその代わりという事だろう。京都の狙いどころである、サイドバックの裏を衝く意図もあるのかも知れない。
対する京都は、最前線にウタカ、最終ラインにはヨルディ・バイス。
軸になる外国選手を配置し、その周囲を松田天馬をはじめ、曹貴裁監督が戦えると見込んだ選手が固めている。
前半キックオフ。
開始早々の野田のシュートを皮切りに、ホーム・京都が前掛りに攻撃を仕掛ける。
ジェフは、なかなか思うように前にボールを運べず、ボールを持っても、相手のプレスを剥がすために、横へ、あるいは後ろへボールを運ぶ選択肢が増える。
その戻したボールに、さらに相手が突っかけてくる。
高い位置で奪われると、京都は、手数をかけず、ゴール前までボールを供給する。
曹貴裁監督の作るチームらしいハードワークの一端が、既にチームに浸透していた。
そして、厄介な事に、そのプレスで奪ったボールの受け手としてウタカがいる。
彼にボールが収まれば、一人でも時間を作られてしまう。
15分くらいまでは、ほぼサンガペースだった。
が、19分過ぎに、ジェフが初めて攻撃でらしさを見せる。
見木→ブワニカ→岩崎→壱晟と繋ぎ、
そこから福満、米倉が連続でシュートを放つ。
いずれも枠内。
が、京都DFの身体を張った守備に弾かれてしまう。
ジャブを撃ち続けて来た京都が、ガードの奥から急に放たれたパンチに、少し怯んだように見えた。23分にも、岩崎がドリブルで抜け出し、クロスを上げるも誰にも合わない。
飲水タイムを挟み、30分過ぎに見木のドリブル、福満のクロス。
ゲーム展開がイーブンになりかけた時、ミスが出た。
右サイドでボールを持った新井一がプレスを剥がそうとサイドを変えようとしたボール。それをウタカに引っ掛けられ、前にこぼれたボールを再度ウタカへ繋がれる。ジェフの右の裏を深々と破ったウタカが、中央にボールを折り返すと、そこには松田天馬。押し込まれて先制を許してしまう。
ジェフがミスを起こすまでプレッシャーをかけ続けた京都。
局面局面での厳しさの差が出た。
終盤、決定機。岩崎の反転シュートは、キーパー正面に収まる。
すぐ後のブワニカのシュートも実らず、前半は0-1で終える。
後半、ジェフは出だしに勝負をかける。
ヨネが右から繰り返し突破を試み、
47分、壱晟からのパスを受けた見木が中央でシュートを放つも、ボールはポストを叩く。
前半のチャンスもだが、決めるべき時に決める事が出来ない。
57分には、ブワニカが中央でボールを収めてシュート。
しかし、これもキーパーに。
顔をゆがめて悔しがるブワニカ。
気になったのはベンチワークだった。
京都は、消耗品を取り換えるように、ウタカ以外の攻撃の駒を次々に入れ替えてくる。
一方のジェフは、最初の交代が83分と、残り時間も無くなってから。
見た目には、かなり疲れが見えるようになってからだった。
追加点は、その交代で入った福岡選手だった。
67分、ジェフの攻撃。岩崎のクロスを中央で小島が頭で合わせる。
角度の浅いヘッドは、そのままメイン側のゴールラインへと流れ、切れる。。。かと思われた。が、このボールを拾われて、一気に左サイドにロングカウンター。ボールはウタカへ。しかし、そこには、ヨネ、新井一の2人が居る。ウタカを挟んで、ヨネがボールを奪う。ボールは、新井一の前に。クリアすれば良かったのだが、繋ごうと考えたのだろうか。
一瞬の躊躇。
それをウタカは見逃さなかった。再びボールを奪い、ゴールに向けて吶喊。最後は新井章太まで外されて、中央の福岡に難なく決められてしまった。
切れそうなボールを追いかけた球際への集中。
そのボールを受けて、2人のマークをものともしなかったウタカの抜け目のなさ。身体の強さ。
今のジェフには足りない、心身両面での強さの差を見せつけられて突き放されてしまった。
そこから15分間、なぜかベンチの動きは無かった。
無理に攻めなくなった京都に対し、膠着した展開が続く。
ビハインドは2点ある。流れを変えるのであれば、それこそ5枚替えをしても構わない展開だったが。ギアチェンジしないまま、消耗した選手で2点を追いかけるのは、果たして妥当な選択だったのか。
87分、小島に代えて小林。
直後、小林がゴール前で倒されてFKのチャンス。
遅過ぎた追撃弾。#新井一耀 #jefunited #ジェフ千葉 pic.twitter.com/ACE1a6vehv
— ruin (@jefspirit) April 4, 2021
見木のキックは壁にあたるも、こぼれたボールに遮二無二殺到して新井一がボールを押し込む。1点返すも、さすがに遅すぎた。アディショナルタイムは4分。こうなれば、さすがの京都でも時間稼ぎもする。
90+3分、最後のジェフの攻撃。
後ろから飛び込んだ見木がダイレクトでシュートを放つも、ボールは枠を捉えず。
万事休す。タイムアップとなった。
勝敗の差を分けたのは何だったのだろうか。
一つには、プレーの強度の差だ。
誤解が無いように書いておくが、今日の試合、ジェフの選手が戦って居なかったとは思わない。だらしない試合をしたなら、そう書く。が、今日は、そうではなかった。
ブワニカは前線で身体を張ってボールを捌いていたし、福満は何度でもプレスをかけて京都の組み立てを妨害し、他の選手たちも同様に戦っていた。
が、京都はそれを90分を通して切れ目なく実行していたのに対して、ジェフは、一つ一つの目立つ局面では戦っていても、京都のような連続した緊密さが無かった。
集中が途切れ、あるいは、プレーとプレーの合間。
ボールを戻すときの緩さ、角度。
ラインを割りそうなボールへの執着。
あるいは、殺意の籠ったクロスではなく、弱々しいクロス。
それがゴールを横切った後の諦めと、弛緩。。。
そういう集中力の密度の差が、「隙」になっていなかったか。
新井章太が必死に鼓舞するジェフよりも、京都は一人一人の中に曹貴裁監督のイズムがあった。
そして、もう一つはやはりウタカと言う「個」の力だった。
二失点目が象徴的だが、二人で囲んだのに突破されては、どうしようもない。
同様に、守備ではヨルディ・バイスが高い壁として君臨していた。
そうした違いを作れる選手が、ジェフには居なかった。
チームとしての強さと、個としての強さ。
その双方が足りなかった。
とはいえ、連敗はしたが、ただ守るだけではない、カウンター攻撃の片鱗は前節に続き見せた。
やろうと思えば、じっとガードを固めて、ひたすら守る展開だって出来ただろう。けれど、それをずっと続けていては、チームはいつまで経っても勝つことは出来ない。困難でも、いつか取り掛からなければならない「どう攻めるのか」に、取り組むと覚悟を決めたのだから。いまは、そこでもがいている時だ。
ひどい順位だが、かといって何を狙いとしているのか分からない、そんな五里霧中のサッカーではない。今日の試合だって、前半と後半最初のチャンスを決められていたら、内容も結果も、もっと良い試合に出来ていただろう。
現状に、焦りはある。
けれど、果たして急に状況を好転させる、特効薬のような策が何かあると言うのだろうか。
それが無いことは、自分たちが身をもって知っている。
この現状は15年、ブレにブレ続けた、ジェフ自身のそのものだ。
だから、今は、耐えながら前に進むしかない。
この先も、すぐに勝てないかも知れない。
降格の陰に苛まれるだろう。
しかし、またブレたら終わりだ。
勝利まであと一歩のところまで来ていると信じてもがく。
出口は、かならず「前」にある。
壊すよりも、新しいものを作る時の方が、ずっと面白い。
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