勝利に優る良薬無し 2021 J2第4節 vs松本山雅 〇1-0

勝利に優る良薬無し 2021 J2第4節 vs松本山雅 〇1-0

2021/03/21(日)14:00
サンプロ アルウィン
J2第4節
松本 0(0-1,0-0)1 千葉

<得点>
20分 千葉 32高橋(37ブワニカのキープを、16福満が受けてドリブルからクロス。中で受けた高橋が、ボディフェイクで相手をかわした後、左足で強烈なミドルを叩き込んだ)

千葉公式
松本公式
Jリーグ公式

一都三県に発出されている「緊急事態宣言」は、感染者の増加が下げ止まらない中、これ以上の継続は大きな効果に繋がらないと、今日で打ち切りになるようだ。
東京では桜も咲き始めた3/21、アルウィンにはビジターは設けられずDAZN観戦となった。
大粒の雨が千葉と同じく降る松本。ジェフは、前節秋田に敗れ、尹晶煥監督の雷も落ちる中、メンバー5人を入れ替えて臨んだ。


流動的だが、ブワニカの1トップに、中盤の攻撃的な位置には、左から岩崎、見木、福満が並ぶ。
ブワニカは下がってボールを受ける事もあるので、見ようによってはゼロトップ。

そして、最終ラインは、左に小田、右に伊東の移籍組。
センターには新井(一)が入った。
溝渕が復帰後初のベンチ入り。

対する山雅は、ここまで3試合引き分け。
こちらもイマイチ波に乗れていない。反町監督時代からはかなり選手が入れ替わっている。
3-5-2、平川がアンカーに入る。

メンバーの中にはゆかりのある選手として、戸島、村山、ルーキーの横山(市原時代に在籍した、博敏さんが父)と言った選手が在籍。
ジェフ側では、船山、溝渕が山雅在籍経験がある。

降り止まない雨の中、キックオフ。

前半のジェフは、前節よりも積極的に前に出る。
立て続けにFKとCKを獲得し、5分には、左の小田のクロスに、DFの間に潜り込んだ福満がヘディングを放つも、惜しくも枠外。久しぶりに、ゴールへの狙いのある攻撃。

ミドルプレスが機能しボールの回収が出来る。
悪くない立ち上がりだ。

まだまだ連携は拙いが、何とかボールを繋いでシュートで終わろうという意図が見える。
14分には、小島が左後方から前線にボールを放り込むと、相手に当たったボールに再び福満がダイレクトで合わせ、伸ばした足先でシュート。キーパーの正面で防がれたが、惜しいシーンを作る。
「右」に束縛されない動きが、相手の意表を衝いたのだろう。

そして、この流れを切らさないまま、先制点を奪う。
20分、右サイド深くでブワニカが相手と競り合いながらもボールを残し、福満にボールを託す。福満がドリブルからグラウンダーのクロスを中へ。

受けた壱晟が上手かった。
素直に受けると見せかけて、ボディフェイントでディフェンダーをかわし、前が開けたところで、風雨を切り裂く低く押さえたシュートを真ん中にズドン!
目の覚めるゴラッソで、勝利への道筋を開いた。

飲水を挟み、その後はややペースダウン。
32分には、山雅がFKからゴールネットを揺らすものの、オフサイド判定。
39分に、ブワニカが、センターサークル付近から、前に出たGKの裏を狙うロングシュートと言う視野の広さを見せる。

得点は1-0のまま前半終了。

後半に入り、山雅は3枚替え。
特に戸島に代わって入った、14番の鈴木の動きが良く、ジェフのマークをものともしないパワフルなドリブルでチャンスを作り出す。

前半と一転して、山雅のプレーばかりが手元の記録に残る。
いずれも14鈴木のプレーだが、61分にカウンターから抜け出して鈴木大輔との1対1から放ったシュート(鈴木大輔が足を締めてブロック)、66に左からサイドネットに撃ち込んだグラウンダーのシュートは、いずれも、対応を誤れば一点ものだった。

ジェフは、波状攻撃を受けてボールを拾う事が出来ない。
とにかく弾き返す事しか、時間と共に出来なくなっていた。

70分、ターニングポイントが訪れる。
ジェフも3枚同時交代。チャン、小林(初出場)、末吉が入る。
78分の船山、ソロモンの投入も合わせると、布陣はこのように変わった。

DAZNの解説も驚く、残り20分以上を残しながらの5バック逃げ切りモードへの移行。
カウンターの刃もほとんど残さず、コーナー付近での時間稼ぎすら行う徹底ぶり。
正直、対戦相手がフクアリでこれをやってきたら、自分なら、サッカーをやれとブーイングをかましているだろう。

たとえそう言われたとしても。
とにかく今のチームには勝利が必要。その共通認識がチームで持てていたのだろう。
あの船山ですら、時間稼ぎに徹する背中は、察するに余りある。
そこまでしてでも勝たなければ、チームに自信は生まれず、不安と不信に押しつぶされてしまう。そうならないために、勝ちが必要だった。

が、しかし。
早すぎる逃げ切り策は、時として裏目にも出る。
それは昨年見て来た。大丈夫なのだろうか。

それも、尹晶煥監督の見立てでは、山雅ならば完遂出来ると見越していたのだろう。布陣をガチガチの選手防衛に変えてから、手元のノートのメモからも山雅の致命的な攻撃を示すものは消えていった。

整然と揃う5バックの最終ラインが、中盤と連動して山雅の動きを制限して、時間をすり潰していく。

最後は、ソロモンと船山でボールをコーナーに囲ってタイムアップ。
声にならないブーイングが、アルウィンから聞こえたかのようだった。

薄氷の勝利だったが。
ジェフとすればミッションコンプリートと言えるゲーム内容。
試合後の尹晶煥監督のコメントも、役割を果たした選手達を称え、労うものだった。

その監督が、「攻撃はあれしかなかった」と話していた、壱晟のゴラッソ。
昨年も、山本真希ばりの低く押さえたシュートで貴重な得点を決めていたが、今年の1号が早くも出た。その1点は、ブワニカのボールキープ、福満のクロス。2人の新戦力と、壱晟の技術が一つになった一撃だった。

こう言う連携を増やしてゆきたい。
明るい兆しと言えるだろう。

攻撃の改善を掲げるジェフにとって、先制点の後の展開は、決して満足できるものではないし、毎回こんな長い時間の守備で守るようなサッカーをしていたら、より攻撃力があるチームには通用しないだろう。

が、前述したように、今日の成果はとにかく勝ったこと。
連勝中の琉球を迎える次節に向けて、地に足をつける事が出来た。

先発した伊東と小田の両SB。
初出場にこぎつけた小林、彼らのプレーの手堅さも確かめる事が出来た。
手持ちの手札を増やして、ゲームプランに幅を持たせていってほしい。

とにかく初勝利。
見ているこちらも、ホッと一息つく事が出来た。