高橋GM退任。そして何が残ったのか。

高橋GM退任。そして何が残ったのか。

11月27日(金)、クラブから高橋GM退任のリリースが発表された。

2015年の秋にGMに就任し、J2で7年目となる2016シーズンからチーム作りに携わって5年。
低迷からの脱却、新しいジェフの骨格を作る事を期待されたが、結果を出すことは出来なかった。

振り返って、彼は就任当初、的確にチームの問題点を指摘し改善にも当たっていたと思う。
その方向性がはっきりしたのが、2017シーズンのエスナイデル監督の就任。
賭けに近い抜擢だったと、今更ながらには思うものの。超攻撃的なスタイルで多くの得点を奪うPASIÓN溢れるサッカーは、それまでの停滞した、曖昧なゲームモデルを一変させた。
アカデミーにもスペインからのスタッフを起用し、新しい「ジェフらしさ」でチームを染め上げようとしていた。

が、あまりにもクセが強かったエスナイデル監督を制御しきる事は出来ず、
2017シーズンのプレーオフ敗退を頂点に、再び迷走が始まってしまった。
期待の大きかった2018シーズン、監督が続投しながらも、ロマンを求め前年の積み上げをリセットするような采配に拘ってしまったのは、高橋GMにとっても大きな誤算だっただろう。

そうして、成績が伴わなくなるにつれて、高橋GMからの発信も少なくなってしまった。

いちサポとして「惜しい」と思う。
もっと彼が、自分の考え方や、チーム作りの現在地を発信して周りを巻き込み、彼を理解する「仲間」を増やしてくれていたら、チーム状況が苦しい時でも、我慢して支える人が多く居たのではないかと思う。J2生活も長くなったジェフにあって、我慢が必要な事を理解するサポも、増えて来ていたからだ。少なくとも自分の周囲においては。もともと外部から招聘され、年齢も若かった彼を支える「味方」がチームの中に多かったとも思えない。それだけに、世論を味方につけて欲しかった。

だが、それも無く、失点と敗戦を重ね、ゲームモデルも再び曖昧になり、
順位が下降する状況では、その成績をもって評価をするしかなかった。

そして、2019シーズン。
エスナイデル監督が4節で解任となった時点で、高橋GMの改革は終わりを告げていたのではないだろうか。
いくら攻撃サッカーが破綻し、守備の立て直しが急務だったとはいえ、「継続」を託した江尻監督を切り、その後任に尹晶煥監督では、監督の能力は別として、チームとしてゲームモデルの一貫性が無いのは明白だった。
(残留が目標となり、土台と言えるものが無いほど、チームが混乱状態だったとはいえ)

それはすなわち、アカデミーまで含めたチームとしての在り方を変える事にもなるのだから。
実際、高橋GMの退任発表の前に、アカデミーダイレクターのホセさんも退任が発表されている。

この5年間を経て、いったい、ジェフには何が残ったのだろうか。

選手も、監督も、そしてGMも変わる。
それは、どのチームでも一緒だ。

が、強いチームと言うのは、誰が変わっても変わらない、ゲームモデルがある。
チームとして、クラブとして何を大切にするかがはっきりとしている。
Jで言えば、鹿島であり、川崎がそれが出来ているチームだろう。

結果、成功はしなかったにしても、
高橋GMは、ジェフには「芯」が無いことに気づいていて、新しい「芯」を作ろうとはしていた。
それを道半ばで諦めてしまったのは、彼自身だったのか、成績低迷に耐え切れなかったクラブとしての意向だったのかは私にはわからない。

が、その当初の志は、間違ってはいないと思う。
チームとしてもう一度向き合い、考えていくべき課題ではないだろうか。
後任のGM、あるいは勇人CUO、来季もチームに残るスタッフ、あるいはサポーターも、全員で。

そして、それを糧にして、
今度こそ、本当に今度こそ。
ジェフの「芯」たるものを作らなくては。
あまりにこの5年間が報われない。