「守り切る」から「押し切る」サッカーへ 2020 J2第28節 vsツエーゲン金沢 〇2-0

「守り切る」から「押し切る」サッカーへ 2020 J2第28節 vsツエーゲン金沢 〇2-0

2020/10/21(水)19:00
フクダ電子アリーナ
J2第28節
千葉 2(1-0,1-0)0 金沢

<得点>
45+2分 千葉 24山下(14小島のクロスをダイビングヘッド)
83分 千葉 32高橋(39見木のマイナスクロスをダイレクトで押し込む)

千葉公式
金沢公式
Jリーグ公式

サッカーの試合における「流れ」の怖さを改めて感じる試合だった。

前半44分、それまでの膠着した展開が一気に動く。
金沢に左サイドを完全に崩され、中でクロスに合わされたシュートは、ポストを叩く。そのすぐ後、まったく得点の気配どころか、シュートもロクに打てなかったジェフが、小島のクロス、いや速い浮き球のスルーパスと言った方が正しいボールに、山下が巻ばりのダイビングヘッドで合わせて先制。

「流れ」を掴めなかった金沢が追い込まれ、
「流れ」を掴んだジェフが一気に勢いづいた。

後半は、流れを手放すまいと、前に出たジェフがペースを握り、シュート数も各段に増える。逆に金沢は、一日試合間隔が短かった事もあってか、運動量が前半に比べて落ちている。ようやく作り出した決定機も、またもポストに阻まれる。

普段は守りに入る尹晶煥監督も、この日は違った。
3枚替えでも、DF、この日であれば増嶋を入れて、5バックにして守る事はしない。
衰えた運動量を補って、そのまま攻めの姿勢を貫くと、交代出場の選手たちが試合を決めた。

左サイド深くで見木がボールカット。そのまま前方へ駆け上がると、中継した船山が、前方のスペースに駆け込む見木にボールを合わせる。深々と切れ込んだ見木が、中を冷静に見て折り返すと、ダイレクトで合わせた壱晟が、ドンピシャでボールを流し込んだ。

満面の笑顔の壱晟が、ベンチの寿人と抱き合う。

89分には、その寿人を船山に代えて投入。
逃げ切りと言うより、最後まで「押し切る」采配。
手拍子の「大脱走」が響く中、クリーンシートで試合を締め括った。

水戸戦の大敗以降、これで3試合連続の完封となった。
しかし、内容はそれぞれの試合で異なる。

90分間見所が少なく、守れたものの両軍の消極性が目についた大宮戦。
攻撃的な姿勢を随所に見せ、得点こそ奪えなかったものの、可能性を感じた町田戦。

そして、この金沢戦。
前半は、正直に言えば、得点が動くまで大宮戦と同じような退屈な試合だった。
ゴール前の見所が少なく、金沢が先制していれば、そこで焦りを生じて崩れ、敗れていたかもしれない。

ただ、前節に続きアンドリューと小島のコンビは、バランスよく中盤でボールを追い込んでいた。金沢の逸機の後、先制した事で停滞した展開が崩れ、後半は、二人がボールを奪った後、金沢が攻め上がったスペースに配球できるようになった。
攻撃のリズムが作れる時間帯が試合の中で増えてきている。

加えて、采配の変化も大きかった。
ひたすら耐えて守ろうとはしなかった。

いくつかの変化と、試合の中での運も掴んで、浮上のきっかけを得つつある。
「押し切る」サッカーへ、ステップアップを果たして欲しい。

現状のジェフの立ち位置を考えれば、失うものは何も無い。
次は首位の福岡戦、開き直るには格好の相手だ。