江尻前監督の東京Vの強化部長就任に思う
少し前の話になるが、
2020年のチームが始動して4日目に、驚きのニュースが飛び込んで来た。
江尻前監督が東京ヴェルディの強化部長に就任するという。
昨年の時点では、退任後も何かしらのポジションでジェフに留まるとリリースがされていたものの、急転直下。
おそらくは江尻さん自身のプロとしての決断でこのような事になったのだろう。
同カテゴリでジェフと争うヴェルディ。
その強化部長としての成功を、ジェフを応援する立場で応援する事は出来ないが、サッカー人としての江尻さんの挑戦にエールを送りたいと思う。
そして、昨年だけでなく、
これまで、長年のジェフへの貢献に、改めて感謝を伝えたい。
江尻さん、本当にありがとうございました。
ジェフは、2009年と2019年、
二度に渡って江尻さんを監督に据えた。
特に二度目の就任となった昨年は、エスナイデル前監督が4節で解任された状況での緊急登板と、非常に難しい状況での仕事だった。
誰もが今度こそ成功する事を願ったが、現実は厳しかった。
一時はJ3降格も危ぶまれる状況に陥り、その危機をかろうじて回避すると、間を置かず退任が発表された。
前回登板から回り道をした江尻監督。
二度目こそは、準備万端の状態で指揮を執って貰いたかった。
が、それは叶わなかった。
江尻監督就任時の高橋GMのコメントから、エスナイデル監督が退任する事になった場合の後任には江尻コーチに一本化されていたと言う。
もちろん、オファーを受けたのは江尻さんではあるのだが、「何かあれば江尻さんに任せる」と言う姿勢は、クラブとして大きな甘えでは無かっただろうか。
監督解任というチームとしての判断の失敗に対する批判を、選手としてレジェンドである江尻さんの人気を利用して回避する意図は無かったか。責任を、現場と、江尻さんのジェフを想う気持ちに押し付けてはいなかっただろうか。
そして、本意ではなく退任した江尻監督に、サポーターに対して言葉を発する場を作らなかったこと。
最終戦でも、その後もクラブとして彼の功績への労いが無いことは、不義理であると思えてならない。
東京ヴェルディ強化部長就任に際して、ジェフからもヴェルディからもいまだに江尻さんのコメントは発信されていない。
少なくともジェフは、昨年の監督退任時にクラブに江尻さんを残す事をリリースしていたのだから、何らかの説明が可能な範囲であるべきではないだろうか。クラブに問い合わせをしたが、残念ながら回答は得られなかった。
新体制に目を向けようとするのはいい。
が、江尻監督が苦闘した2019年シーズンを、まるで「無かったこと」のように済まそうとしている、いまのフロントの姿勢は心情的に受け入れがたい。
新体制発表会見で、高橋GMは2019シーズンを「クラブとしてよい判断が出来なかった」「バランスがすごく悪いシーズンだった」と評した。
たったそれだけの言葉で終わらせてしまっていいはずがない。
苦しかったシーズンを、しっかりと振り返り、共有してこその新シーズンであるべきだ。
2020シーズン、厳しい練習が始まり、サッカーとしての期待感はある。
が、一方では、クラブとしてあるべき大事なものを、ますます失いつつあるように感じてならない。
「人情」「信頼」「共有」「情熱」「一体感」。
これらは、クラブが苦しい状況になったとき、大きな力を発揮する損得抜きの感情の源だ。
そう感じているのが、自分だけならば良いのだが。。。
江尻さんの退任の一件をとっても、この発信の少なさ。
「説明」をこのクラブは意図的に避けている。
こう言う話を言い続けている自分のようなタイプは、
いずれ今のジェフのフロントからは、ふるい落とされて行くのかもしれない。
間違いなく今年もジェフの応援はする、が、どうにもジェフへの感情移入がし難くなっている。
寂しい限りだ。
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