U-18プリンスリーグ関東 参入決定戦 ●0-3 昌平高校

U-18プリンスリーグ関東 参入決定戦 ●0-3 昌平高校

2019/12/25(水)11:00
鹿嶋市ト伝の郷運動公園

高円宮杯JFA U-18 サッカープリンスリーグ2019関東
参入決定戦

千葉U-18 0(0-1,0-2)3 昌平高校(埼玉県)

得点
43分 昌平 17渡邉建太
47分 昌平 2西澤寧晟
84分 昌平 11小見洋太(PK)

<千葉公式 試合データ/朝岡監督、廣濱選手、櫻川選手コメント>
<高校サッカードットコム>
<サッカーダイジェストWeb 名門・市立船橋の元指揮官が新天地のジェフ千葉U-18で感じた高体連とJユースの違いとは?>



今年のU-18最後の戦いを見届けて来ました。
結果は残念。

力を出し切る事が出来ず、昌平高校の素晴らしいプレーの前に、プリンス関東昇格はなりませんでした。勝利した、昌平高校の皆さん、おめでとうございます。昇格するに相応しい、洗練されたプレーぶりだったと思います。



日曜日の劇的な勝利から3日。
これに勝てば、プリンス関東昇格と言う最後の戦い。
ジェフは、前の試合のメンバーから、黒木→渡井に変更した以外は、全く同じメンバー。

対する、昌平高校は、4-5-1の布陣。
トップに坊主頭の11番小見選手。その後ろには17、8、7番が並び、流動的にポジションを入れ替える。3列目、ボランチの位置には、14番の小川選手、6番の柴選手がダブルボランチを組み、ゲームをコントロールします。


この日は1stユニフォームで試合に臨んだジェフ。
対する昌平は、松本山雅のようなユニフォームのカラーリング。

潮来からカシマまでの道沿いの温度計が4度を示していた寒さの中でキックオフ。
雨はほとんど降らず、風も無い、好コンディション。


試合が始まると、序盤からペースを握ったのは昌平高校。
トップの11番小見選手から始まるチェイシングでジェフの中盤からディフェンスラインに激しいプレッシャーをかけ、自由にボールを回させてもらえません。ジェフは、昌平のコンパクトで、速さも、厳しさもある追い込みに気圧されてしまい、ボールが後ろへ、後ろへと下がってしまいます。

栃木戦の前半と同じような試合展開。


これはいけないと思ったのか、試合開始10分も経たずに、朝岡監督はベンチから飛び出し、大きな声と、身振りで、もっと勇気を持って戦うようにハッパをかけます。
が、それでも、なかなか「前へ」進めない。

クロスを上げることどころか、サイドにボールを展開すら出来ない。
戻したボールを中盤まで繋ごうとすると、そこを昌平高校が、ボール奪取のポイントとばかりに潰しにかかってくる。中盤の底に構える井上が挟まれ、ボールが繋がらない。仕方なく、その一列前にいる堀内と、渡井に通そうとすると、やや長めのパスは、井上を挟んでいた選手達の格好の「狩場」になってしまう。

シンプルに本吉を狙うような工夫が出来ず、昌平のボールカットからのショートカウンター、そしてシュートと言うシーンが続きます。

完全に劣勢のジェフは、手元の時計で27分にようやく1本目のクロスらしいクロスが上げられたくらい。


何とか身体を張って守る守備陣。
彼らを悩ませていたのが、11番の小見選手。
ユニの色と風貌から、山雅に居た頃の前田大然選手を彷彿とさせる。
泥臭さと、ふてぶてしさを併せ持ち、チェイシングでジェフから余裕を無くしていた。


その後方、ボランチの位置で目を惹いていたのが、前述した14番小川選手、6番柴選手。
2人とも上背は無いものの、ボール捌きが正確で、かつ当たりの厳しさもある。
特に14番小川選手は、ボールを受ける前、受けた後に、ルックアップして周囲をしっかり把握していて、ボールをどう受け、どう捌くか、準備が常に出来ている好選手だった。

彼ら以外の選手もシステマティックに連動していて、切り替えが早かった。

凌いでいたジェフだったが、前半終了間際、一瞬の隙が生まれた。
ディフェンスラインから22渡井に出そうとしたボールを14番・小川選手に狙われ、奪われてそのまま吶喊。11番小見選手にラストパス、シュートまで持ち込まれる。シュートは、ポストに当たったものの、跳ね返ったボールを17番渡邉選手に押し込まれ、ついに失点。

ボールを後方へ戻し、繋ぎ続けたジェフ。
それを狙い続けていた昌平高校。
必然のゴールだった。

ただ、ロスタイムが全く無かった前半、あと2分耐えれば、0-0で後半に持ち込めただけに、非常に惜しい、悔やまれる失点になってしまった。


栃木戦と同じく、長いミーティングで、選手達に修正策を授けた朝岡監督。
選手交代1枚目は、右SBの39夏山に代えて15宮原。
宮原は、左SBに入り、2長島が右に回った。


このチームで最後の円陣ダッシュ。
逆転をかけ、気持ちを入れ直して後半に臨んだ。

しかし。

栃木戦のように、ガツンと最初から相手を押し込めない。
前半の流れのままに、最初のプレーで昌平高校がジェフを押し込む。

すると、早々に奪われたコーナーキック。
これを、2番西澤選手に合わされて、0-2、2点差とされてしまう。
時間はあるとは言え、流れが全くこちらに引き寄せられない中、このままでは何も変わらない。

朝岡監督は、ここで一気に三枚代えに出る。
55分。栃木戦の逆転を導いた櫻川ソロモンと中村凛太郎、それに、ドリブル突破で状況を打開できる黒木陸。
攻撃の切り札を一気に切って、流れを変えにかかる。

だが。


たしかにソロモンは、周りの選手を圧倒する強さで存在感を見せた。
しかし、それは、ソロモンにボールが入ればの話で、相変わらずゲームは昌平高校が支配し、ジェフはボールをなかなか前に運べない。ラフなボールでも良い。前線の、ソロモンと本吉にボールを送れば、何かが起こるはずなのだが、それが出来ない。

同様に、陸も、凛太郎も、自由にはプレーさせてもらえない。
もどかしい展開が続いた。


(ボールを呼び込もうと吼えるソロモン)


(本吉は奮闘するも、彼までクロスが上がらない)


最大のチャンスは、74分頃。
ソロモンが、ペナルティエリア内でボールをキープし、落したところに中村凛太郎が右足を一閃。手応え十分の一撃だったが、力が入りすぎたか、枠の上に外れてしまう。

そのすぐ後にも、ソロモンが左サイドに流れてボールを収め、そこから中央へブルドーザーのようなドリブルで中にカットインしてシュートを狙うも、前を固めたディフェンスに阻まれてしまう。

その間も、カウンターから、昌平高校の攻撃を受けていた。
危ないシーンが多々あったが、廣濱が奮闘。
身体を張って、ボールを掴み、弾き、抱え、ゴールを割らせない。
特に、タイミングもコースも完璧だった、左下隅への強烈なシュートを、腕一本で弾き出したシーンは、スタンドからもどよめきが起こるファインセーブだった。

時間が過ぎ、焦りの色が濃くなる中、82分、ペナルティエリア内で横にスライドしてドリブルする選手を倒してしまい、PKを与えてしまう。廣濱のセーブも及ばず、0-3とリードを広げられる。

87分、最後の交代。11田中皓大。
気持ちの塊のようなプレーで、残り時間がわずかであっても、最後の最後までボールを追い、ゴールを狙った。

そして。
試合終了。


本吉がピッチに倒れ、昌平の選手に慰められている。
ソロモンが膝に手をやり、他の選手達も、がっくりと項垂れていた。
2016年に続き、昌平高校との対戦となったこの参入決定戦。
今回は昌平高校の勝利となった。


試合を通じて、昌平高校の組織立った守備と、そこからの攻撃への切り替えの速さ、また、一人ひとりの選手の技術の高さは目を見張る出来だった。簡単なパスを、ミス無く確実に出す事ができ、各ポジションの選手が、与えられた役割を確実にこなす。ソリッドなチーム。強かった。おめでとうございます。


一方のジェフは、残念ながら力を出し切る事が出来なかった。
勇気を出してシンプルにやれれば、もっと良い内容で戦えたと思う。朝岡監督、廣濱、ソロモンの試合後コメントにも、それを悔やむような言葉があった。
「昇格」と言う目標が、目に見えないプレッシャーになり、予想以上の昌平の組織立ったプレーの前に、受身の気持ちが出てしまったのだろうか。

ただ、廣濱が応援席に向けて最後に話していたように、これも一年の結果。
そして、これが全てではない。
彼らには、これからの人生がある。この試合を糧に、また一回りも、二回りも大きくなって欲しい。

引き上げる選手達に、コールリーダーから、3年生全員へのコールが贈られた。
トップに上がるソロモンには、皆の気持ちを背負って大きく羽ばたいて欲しいし、卒業する三年生には、それぞれの進路で頑張って欲しい。選手として、あるいはスタッフとして、何らかの形で、ジェフやサッカーに携わり続けてくれたら最高だ。

そして、一年生、二年生は、この悔しさを、朝岡監督と共に来季の飛躍に繋げて欲しい。
また来年、新しいジェフが、この舞台に戻って来て、壁を突破してくれる事を願う。
一年間お疲れ様でした。
応援できてよかった。
ありがとう。
素晴らしいチームでした。