繰り返された完敗 第37節 vs柏レイソル ●0-3

繰り返された完敗 第37節 vs柏レイソル ●0-3

2019/10/20(日)15:00
フクダ電子アリーナ
J2第37節
千葉 0(0-2,0-1)3 柏

<得点>
19分 柏 27三原
22分 柏 18瀬川
61分 柏 27三原

ジェフ公式
Jリーグ公式

差はむしろ大きくなっていた。

6月22日、日立台で0-2で柏に敗れたゲームは。
90分間を通して全く何も出来なかった試合として、苦い思いだけが残っている。

あれから4ヶ月。
あの試合をきっかけとして、柏は11連勝を果たし。
いま、J2の首位として、来季の自動昇格を目前にしている。

対するジェフは、17位。
J3降格回避の為の戦いが続いている。

そんな対照的な状況で迎えた「千葉ダービー」は、順位の差そのままに。
より洗練された柏の前に。
組織でも、個でも、運動量でも、当たりの強さでも、ありとあらゆる面で。

「完成度」

違いを見せつけられて、再び、0-3の完敗を喫する事となった。

14,950人。
フクアリに集った人たちは、いまの両チームの立場をまざまざと見せつけられた事だろう。
強いものが勝つ。
実のある準備をしたチームが勝つ。
感傷で呼び込める勝利などない。


前節、久しぶりの勝利を挙げたジェフ。
今節のスタメンは、右に矢田旭でも堀米でもなく、アランが名を連ねた。
彼以外は、メンバーの変更は無し。

対する柏は、
身体能力が高く基点になれるオルンガ、
突破と強引なシュートが持ち味のクリスティアーノ、
桁違いの運動量とボール奪取力のあるヒシャルジソン、
タイプの異なる強力な外国籍選手を軸に、瀬川、江坂ら力のある選手で周囲を固めた、磐石の布陣。

前回対戦時は、本当に何も出来なかったこのカード。

キックオフと共に、ジェフは前に出ようとした。
サイドにボールを散らし、為田と下平の左の二枚刃を突破口に、柏の背後を犯し、クレーベにクロスを送り込もうと言う意図は見えた。

が、そういう形を作る前に、柏のシステマティックなプレスがジェフを絡めとる。
狙いは明確。ボランチの鳥海と、アンドリューに狙いを定め、ボールをそこから先にまともに展開させてくれない。特に。試合を通じて、ヒシャルジソンの運動量は圧倒的で、ボールホルダーの視界の外から猛烈な速度でプレスをかけてきて、自由にプレーをさせてくれない。

必然的にボールは最終ラインにまで徐々に戻され、そこから一列前に繋ごうとすると、「網」にかかっている、鳥海とアンドリューのところに繋げず、インタセプトされるか、パスがぶれて相手にボールを譲り渡してしまう。

柏の厳しいプレッシャーに晒され、奪われた19分のコーナーキック。
オルンガのあたりでごちゃごちゃと選手が団子状態になっている中で、ひとり、優也の隣あたりをふらふらとしていた三原。混戦の中、こぼれたボールに合わせられ。いともたやすく失点。

さらに、その3分後にも、瀬川に寄せきる事が出来ず、ミドルレンジからコントロールショットをサイドネットに叩き込まれて、あっという間に2失点。

ジェフの選手達は、戦っていなかったわけじゃない。
何とか柏からゴールを奪い、勝利に近づこうと、走っても居たし、戦っても居た。けれど、全てが後手。判断が遅く、プレーも不正確。

柏は、共通理解に則って、システマティックにプレスをかけていたし、攻撃に転じれば、スペースを意識してボールを出す動作が徹底されていた。

パスだけにフォーカスしてみてもジェフのパスは皆、足下。
ちょっと強めのパスがスペースにくれば、トラップ出来ずに流れてしまったり、トラップが大きくなって、寄せられてしまったりする。

柏は、強いパスがスペースに出され、しかも追いついて、トラップしている。
いや、それが本来普通なのだろう。
それが、ジェフには出来なかった。


後半に入っても、状況は変わらなかった。
後半頭から、鳥海に代えて堀米を投入。
堀米がトップ下に入り、浩平はボランチに下がる。

ボランチが変わっても、柏のプレッシャーは変わらない。
厳しいプレスから、オルンガを基点にタメを作り、左右に、特に右のクリスティアーノを走らせて、強引にシュートまで持ち込む。藪から棒に撃っているのではなく、攻撃に転じたときには、瀬川や江坂だけでなく、他の選手が前線に突っ込んで来ている。

3失点目が正にそうだった。
後方から湧き出た三原選手が、囲まれながらも、裏に抜けてシュート。
攻め上がりを捕まえきれず、ファウルで止める事も出来ず、試合を決められてしまった。

途中投入は、55分の船山に、88分の寿人。
しかし、柏のプレッシャーが強い上、チームとして2人に、どのように点を取らせるのかが見えず、ひたすら耐える時間だけが続いた。

試合時間も残り5分となった頃、柏は後ろでボールを回し、試合を締めに入った。
それに対して、ジェフの選手達が、必死に追いかけるのだが、余裕を持ってボールを回されてしまう。柏は理詰め、ジェフは追い込むのではなく、ボールの近くに居る選手が、遮二無二ただ追っかけているだけ。
頑張ってはいるんだろうが、それじゃ勝てない、それじゃ駄目なんだと、声にならない叫びが頭の中で響いていた。

完敗。

先日、引退を発表した勇人が、皆を引き連れて挨拶にやって来たが、かける言葉もなかった。
ただただ、空気が重苦しい。

いったい、今季とは何だったのだろうか。
J1を狙うと言うには、あまりにも、あまりにも力の差があり過ぎた。
柏とは、この数ヶ月ですら、積み上げたものが違いすぎる。

チームの「迷い」が、この終盤になってもそのまま残ってしまっている。

この成績は、チームとしてのもの。
監督を代えれば、選手を代えれば、それで問題が解決するものじゃない。
フロント、強化部、チームとして、何が今季足りなかったのか、総括すべきものだ。

シーズンは残り5試合、J2への残留すら決められていない、いま。
サポーターに出来る事は、江尻監督のジェフを最後までサポートすると言う事だ。
覚悟を決め、残留を決め、それから正すべきものは正せば良い。

そして、今季が「無かったこと」にされてしまわないよう、
サポーターとしてクラブに厳しい目を向け続ける事だ。

何事も無かったようにシーズンが終わり、
「新生ジェフ」「今季こそJ1昇格」と何も変わらない言葉が並ぶ。
そんな「繰り返し」を許してはならない。