2019/09/22(日)15:00
フクダ電子アリーナ
J2第33節
千葉 1(1-0,0-1)1 徳島
<得点>
43分 千葉 9クレーベ(PK)
79分 徳島 22藤田
ジェフ公式
Jリーグ公式
台風15号の襲来から、早くも2週間が経とうとしている。
被害の規模が余りにも大きく、被害の大きかった南房総や東総方面は、大きな爪痕が残ったままだ。
水戸戦からの一週間の間にも、遠くパラグアイのアランダをはじめ、多くのジェフOBや、他チームのサポーター、サッカー関係者からの支援の知らせが、twitterを通じて伝わって来ていた。
人の繋がりは、本当に大きなものだなと感じる。
そして、その中心で被災した人達の為に活動している人達に感謝したい。
今節は、10位の徳島を迎え、ホーム・フクアリでの連戦。
メンバーは右MFが茶島から旭に変更になった以外は、前節と変わらず。
茶島は前節良かっただけに、アクシデントだろうか。
徳島との前回対戦はドロー。
ロドリゲス監督がチームを率いて3年。
3バックを採用し、後方からしっかりとビルドアップするチーム。
ジェフは、大宮、新潟など3バックのチームに内容の悪いゲームが今季は多く、相性はあまり良くない。
(ちなみに清武は体調不良で欠場)
キックオフ。
懸念をよそに、前節同様に最初から果敢に攻撃を仕掛ける。
試合を通じて左の為田が切り込み役になり、何度となく徳島のDFラインの裏を抉っていく。
時にはクロスで、時にはシュートで、きわどいプレーが続くも、フィニッシュが決まらない。
前線からのチェイシングも良く、クレーベ、浩平、為田、旭がプレッシャーをかけ、徳島は度々、ボールをキーパーまで戻さなくてはならないシーンがあった。勇人がダイレクトプレーを心がけていることもあり、攻めのリズムは良かった。
しかし、徳島は冷静。
ジェフの攻勢を凌いだあと、GKから丁寧につなぎ直し、ハーフェーラインを越えたところからスピードアップしてフィニッシュにまで至る。前に重心がかかっているジェフは、前線とボランチの2人との距離が開きがち。気持ちでプレスをかけても、ダイレクトでプレスの届かないところへ回されてはボールを奪えない。
GKは今日も優也。
徳島が攻めきった後、こちらも大きく蹴らずに繋いで行こうとする。身体に染み込んだスリルを求める気持ちは消せないのか、相変わらずボールを出す位置がおっかない。
わざわざ相手選手の間を掻い潜ってパスを出さなくてもとか、プレスに来てるんだから、足で処理せずに一度キャッチしちゃえよとか、見てる方は思うのだけど、エスナイデル前監督に魔改造された優也にはどこ吹く風。
増嶋の頭をパンチングしてしまったり、ペナルティエリアからはみ出そうになりそうなセーブをしたりと、今日もスリル満点。当面の目標の残留とは相反するプレーぶりは、崖っぷちのギャンブラーと呼びたくなる。
ジェフのハイプレス、徳島のビルドアップ、互いのやり方が分かって来たところで、双方に決定機。
14分、為田のカットインからの右足シュートは枠外に外れ、26分、旭のCKをダイレクトボレーで合わせた新井のシュートはブロックに遭う。
35分には、浩平がクレーベの落としたボールをダイレクトで狙うも、ヒットせずに相手GKにキャッチされてしまう。
その1分後には、裏に抜け出されて優也がかろうじてクリア。さらにこぼれ球を連続で狙われるピンチ。
攻めながらも、1点が遠い嫌な展開。
が、唐突に先制のチャンスが訪れる。ジェフのミドルシュートを、徳島が手で止めたとの判定。
ホーム側からは何があったか確認できず。
後で見直すと、ブロックしたのは胸か、顔なのだけれども、シュートもスピードがあり、審判には難しい場面だったのでは。判定はそのままPK。クレーべが決め、1点を奪う。
不運な形で失点した徳島は、縦へスピードアップして反撃。
しかし前半は、1−0のまま終了。
迎えた後半も、双方が攻める目まぐるしい展開。
江尻監督は、「チャンスがあればもっと攻めろ」と言い、ロドリゲス監督も「最後まで攻めきれ」と攻撃的な檄を飛ばして選手を送り出す。
最初の攻勢は徳島。
小西、河田が立て続けに惜しいシュートを放つ。
ジェフも、下平のクロスに旭がダイレクトで合わせる決定機を作る。
が、目立ちに目立っていたのは為田だった。
下平らとパスを交換しながら、左を抉りに抉る。
途中からは、徳島も為田にある程度やられるのは割り切ったように、良い形で上げさせないよう、打たせないよう、コースを切る守備で凌いでいた。
為田が奮闘しているから、逆のサイドは手薄になる。
回数でこそ、為田に譲るものの、右の米倉も機を見て上がっては、両翼から徳島のガードを殴り続けていた。
しかし、ゴールは決まらない。
ジェフの攻撃を見ていると「打て!」と思う瞬間にはシュートが放たれない。
心が吹っ切れている時は、繋ぐよりもシュートが来る。
前半に奪った1点が、1-0でも勝ち切りたい気持ちを生み、それを「守りながら」2点目を奪おうと、知らず知らずのうちにブレーキを踏んでしまっていたのではないだろうか。
追加点を奪えないまま後半も20分を過ぎ、ジェフは1枚目の選手交代。
旭から、ゲリアへ。米倉が1列前に上がったが、これはあまり効果的には機能しなかった。
そして、後半も30分を過ぎると、蒸し暑さの残る今日の気候に、足は重くなる。
とりわけ。派手に殴り続ける両翼を、球さばきでコントロールしていた浩平の足が止まりだした。
この日の浩平は、替えの利かない動きをしていた。あらゆるところに顔を出し、ボールをつなぐ。
機を見てシュートも放てば、旭が下がった後はセットプレーも蹴る。
浩平が疲れているのはわかっていても、外せば、同じ攻撃はできなくなる。
かつて背負っていた「10番」の浩平が、戻ってきていた。
この働きに、江尻監督は、浩平を変えるべきか、否か、相当に迷っていただろう。
逆に、徳島は交代枠をすべて使い切り、さらにヨルディ・バイスを前線に上げて、同点を狙いに来ている。
勝負の分かれ目は、先に動いた徳島に傾いた。
後半34分、ジェフの左サイド。
人数は揃っていたのに、下平、アンドリュー、増嶋までもが、棒立ちに。
交代出場の藤田が野村からのリターンパスを受けて、あっさりと流し込む。
これだけ攻めながら、流れの中で点は奪えず。
エアポケットに入ったように、粘れず、当たれず、同点を許してしまった。
失点直後、ジェフは浩平に代えて、現在の「10番」船山を投入。
さらに90分には、アンドリューに代えて、寿人でも、堀米でもなく、強化指定の本村を投入。
本村は、これがJ初出場となる。
最後はオープンな展開になり、ゴール前での激しい攻め合いに。
しかし、両軍ともに、次の1点が奪えずに試合終了。
追いつかれ、ホームで勝てなかったジェフの選手たちは、がっくりとピッチに崩れ落ちた。
90分間を通して、この試合のジェフは、走っていたし、戦っていた。
為田をはじめ、それぞれが必死で、「次の1点」を目指す戦いを貫いていた。
けれども、どうしても流れの中から得点を奪えず、数多くあったセットプレーも生かせなかった。
最終的に放ったシュートは23本、PK以外は空砲だった。
これを、「惜しかった、よく戦った」で片づけてはならない。
形は作れている。
決定力不足と片付けるのではなく、もう一つ早いタイミングでシュートを打てていれば、打つ勇気があれば。
それを後押しするあと一声大きな応援ができていれば。結果は違っていたのではないだろうか。
残留争いを考えたとき、残り少ないホームゲームで「勝ち点3」を奪わなくては残留は成し得ない。
まして、今日のように終盤までリードを奪っていた試合なら、なおさらだ。
試合後、2008年の残留争いをしていた当時のミラー監督の言葉が思い出された。
「シーズンが終わったときに重要なのは、どのように勝ったかではない」
「勝ったという結果なのだ」と。
監督も、選手も、そして応援する我々サポーターも、この言葉を噛みしめて、次の試合こそ、勝って終われるよう気持ちを切り替えて戦いたい。
今日の試合では、強化指定の本村選手が、デビューを果たした。
正直、この交代には驚いた。
試合終盤、どうしても点が必要な場面で、寿人でも、堀米でもなく、本村が送り込まれたのには、江尻監督のメッセージがあったはずだ。
残留争い、どうしても勝ちたい、勝たなくてはならない試合、ホーム・フクアリ。
ピッチには、勇人が立っている。この状況で、勇人が何を考え、何を見、周囲を鼓舞しているか。
それを間近で感じたことは、本村にとって、チームの今後にとって大きな意味を持つのではないだろうか。
何か象徴的なものを感じる交代だった。
最後に、試合後は今節も被災地に向けた激励のメッセージを掲げた場内一周だった。
徳島サポからも、水戸と同じように被災地の復興を願う横断幕が掲げられた。
徳島サポの皆さん、本当にありがとうございます。
どのチームも、こうして被災した人達のことを気遣ってくれている。
Jリーグがもしも無かったなら、こういう気遣いや、支援はもっと見え難かったんじゃないだろうか。
Jがある意義を、感謝とともに、改めて感じずにはいられない。
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