いまだに見えない守備の形 第31節 vsアルビレックス新潟 ●1-2

いまだに見えない守備の形 第31節 vsアルビレックス新潟 ●1-2

2019/09/07(土)19:00
デンカビッグスワンスタジアム
J2第31節
新潟 2(2-0,0-1)1 千葉

<得点>
5分 新潟 9レオナルド
18分 新潟 9レオナルド
59分 千葉 50米倉

ジェフ公式
Jリーグ公式

DAZN観戦。

勝てた試合、勝たなくてはいけない試合だった。
試合を通してみたときの、新潟の出来をみれば。

ここのところ不調が続いていただけあって、隙は十分にあった。

けれども、勝負の勘所と言うものをジェフは捕らえる事が出来なかった。
試合に入る前の集中力と、シーズン後半にも関わらず、いまだに見えない守備の形のせいで。


スタメン。
右に堀米を起用し、センターバックには増嶋ではなく新井。

残留争い最中のアウェイで戦だけに、守備から新潟対策を行うと言う選択肢もあったろう。
が、監督は攻撃でリズムを作る事が最善と考えたようだった。
ガチガチに守ったとしても守りきれない。
あるいは、後半途中までゼロで押さえられたとしても、そこから1点を奪って勝つのは、スタミナ的に難しい、そう考えて先手を奪う事を考えたのかもしれない。

新潟の直近の戦いぶりを考えれば、それも一つの考え方であったと思う。
しかし、事は思い通りには運ばなかった。

キックオフ直後、ジェフはこれまで無かったようなダイレクトプレーの連続でチャンスを作る。攻撃面での試合の入りは上々だった。

が、それも僅かな時間だった。
前に出るジェフに対して、新潟はほぼ初めてのチャンスをモノにする。

失点の原因はジェフの緩い守備。
新潟のボールホルダーに対して、誰が誰を、どう守るのか、全く徹底が出来ていない。ふわっと、何となく、寄せるだけのユルふわプレスで、自陣での新潟のパス回しを許してしまう。

シルビーニョに2人が気をとられ、戸嶋がフリーでボールを受ける。
そこに最後方から走り込んで来たのが、新潟の堀米。

「そこにいないはずの選手」が絡むと、守備側の混乱を招くのは定石だ。
チームとしての狙いだったのか、それとも堀米選手の嗅覚だったのかは分からないが、スピードに乗ったまま突っ込んで、一瞬にして堀米選手は鳥海を剥がして中央突破。GK鈴木が丸裸の1対1に持ち込まれてしまった。

ここは、鈴木が身体を張ってブロックするものの、弾いたボールはレオナルドの下へ。
収めたボールを照準を定め、フリーで振りぬくと、ボールは鈴木の伸ばした手の先を抜け、ゴールの角に叩き込まれていた。

早い時間の失点。
ゲームプランが崩れ、ピッチ内の混乱が恐ろしかったが、幸いこの段階では気持ちを抑え、踏み止まる。

失点直後、堀米のFKからヨネの頭を狙い、
12分、13分には、勇人、堀米が立て続けにシュートを放つ。
が、崩しきってではなく、崩しきれずに撃った、ジャブのようなシュートだ。

そのジェフの攻勢を受け止め、またも新潟が反転攻勢。
18分、ジェフの右サイドでボールを持つ。
ジェフ側の人数は揃っていた。

が、堀米選手がボールをワンツーで受けようと走り出したとき、彼を追っかけていない。
そして、彼がボールを出したレオナルドもフリー。
またも同じような位置からミドルを叩き込まれ、追加点を喰らってしまう。

早い時間での2失点。
大宮戦が頭に過ぎった。

先制点の場面では、気持ちの面でまだ持ちこたえていたが、この失点で完全に混乱状態に。
自信を失い、どう立て直すのか、攻めるのか、守るのか、全てが中途半端になってしまった。

とにかく守備が緩い。
繰り返すが、何となく相手選手の近くにいるだけで、マークにもなっていない。
ドイスボランチで守っているはずなのに、存在しないかのよう。

新潟のトップ下、シルビーニョには、21分、30分、40分と、ペナルティエリアの少し手前あたりから、ほぼフリーの状態でミドルシュートを放たれている。
勇人?小島?この選手を、誰が見る事になっていたのだろうか。

劣勢の中、アクシデントは重なるもので、30分過ぎには小島が足を傷めてアンドリューと交代。

大量失点も懸念されるような守備だったが、新潟も更なる追加点は奪えず、0-2で前半は終了する。

迎えた後半、メンバー交代は無し。
開始早々、新潟の攻撃を受け、やられかけるもののオフサイドで何とか凌ぐと、このまま負けられないと、ハッパをかけられたのだろう、ジェフも反撃を仕掛けだす。
46分、ヨネ、勇人の連続のシュート。

52分には、左を突破した堀米のクロスにクレーベが合わせ、最初の決定機を作るも、新潟GK大谷のファインセーブで、ゴールは奪えない。ただ、形は作った。

このクレーベのシュート以降、ジェフが更に畳み掛けた。
新潟陣内でボールを奪えるようになり、サイド攻撃主体で波状攻撃を仕掛けていく。
右のヨネは攻撃に全振りモードになり、左で崩して、右で仕留める、そんな展開になった。

前半の守備の問題も、攻めている限りはあまり表に出てこない。

56分には、堀米に変えて見木を投入。
堀米のようなエッジの効いた突破は無いけれども、見木は幅広く動き、タテへの推進力があり、良いところに顔を出す。さらに攻勢が勢い付いた。

直後58分、左の為田のクロスに、ヨネが巻を彷彿とさせるような低空ヘッドで飛び込んで1点を返す。右SBの選手が、あそこで、あんなヘッドを叩き込む事自体が尋常じゃない。チーム全体に火をつけた。

62分もヨネのミドル。
さらに船山のCKから、見木がヘッド。
69分にも勇人がミドル。

同点を目指して、プレッシャーをかけていくものの、なかなか決定機までは作れない。
そして、時間が過ぎ、徐々にスタミナが奪われていく。

その間、新潟も、矢野貴章、田中達也と、ジェフにとって嫌な面子を投入して、流れの奪回を図るも、ジェフ攻勢、新潟守勢と言う流れを覆すには至らなかった。

79分、残り10分と言うところで、ジェフは船山に代えて寿人を投入。
1点を奪いにかかるものの、スタミナがもう残っていなかった。

寿人が入る前の70分以降、ほとんどシュートが撃てない状態。
気持ちはあっても、スプリントする体力が残っていない。
なんでもない場面でのミスパスが出たり、集中力も切れ掛かっていた。

新潟も時間を意識し出し、無理をしてこない。

ボールが来なければ、クレーベも、寿人も、仕事が出来ない。
最後は新井も前線へ上げて、同点を狙ったものの、果たせず。
1-2の敗戦で、ゲームを終えてしまった。

試合を通じて、大宮戦のリプレイを観ているかのようなゲームになってしまった。
前半に失点を重ね、後半の攻勢も追いつけずに終わる。
ただし、あの試合よりは遥かに勝機はあった。
新潟は、大宮のように完成度は高くなく、監督自身が試合前に語っていたように攻撃は外国籍選手への依存が高く、そこにボールを繋がせなければ、迫力はそこまでなかった。

それだけに、彼らにフィニッシュを許してしまった守備の問題は深刻だ。
監督、コーチの指導の問題もある。
どう守るように指示をしているのか、観ている側に伝わって来ない。
練習から、試合中の状況が想定されて落とし込まれていない。

これなら、フルコートのマンマークのように、
個々に役割を明確に振った方が、まだ機能するように思う。

そして、選手個々の問題でもある。
失点シーン、あともう一歩が詰められなかったか。
「撃たれる」と思うだけで、諦めていなかったか。

ボールを見るばかりで、周囲が見えておらず、危険な選手を、身を投げ出してでも潰しに行く、少しでもシュートを阻害する、ボールに触れて、軌道を変える、そんな集中力が足りなかったように思う。

最初に書いたように、新潟戦に臨むにあたって、
監督は守るよりも、ジェフの良さを生かし、攻撃的に戦う事がベストだと考えたのだろう。

が、得点できなくても、失点しなければ負けは無いが、
失点してしまっては、それ以上の得点を奪えない限り、勝ちは無い。

この6試合、町田戦を除き、複数失点を喫している。
残留争いは、失点を防げない戦い方では、勝ち残れないのではないか。

江尻監督のチーム作りも、最初は守備から入ったものの、
得点を奪えない=チームの良さが消えると判断した後は、試行錯誤の末に、「 守備 < 攻撃 」に回帰してしまった。守った上で、得点を奪う、ではなく。守りよりも、攻撃になってしまった。

それで、これから戦う上位対決に勝てるだろうか。
相手を上回る攻撃が出来るだろうか。
現実問題、ジェフの得点数は36、一試合あたり1.16点。
この攻撃力で勝たなくてはならないのなら、1-0か、2-1のサッカーでなくては計算が合わない。

攻撃的に戦う、今のサッカーは、
ジェフの現状を分析して、最適と考えて結論を出したのだろう。
それは一つの考え方だ。

が、そこに見落としは無いだろうか。
現実的に、点が取れていないこと、そして守れていないこと。

何となく攻める時間はあるけれど、点が奪えていない。
何となく守っているつもりだけど、ルールが決まっていなくて守れていない。

残留争いの渦中に自分達が居る事に、なんとも現実感が無くて、
現実から目を逸らしていないだろうか。

降格圏までは、あと勝ち点6しかない。

どうすれば、守れるか。
そことまず向き合い、対策しなくては、勝つことは出来ない。

第31節終了 18位
(7勝10分14敗 勝ち点31 得点36 失点49 得失差-13) 
残り11試合 J2順位表