もどかしさの募る戦い。 第29節 vsヴァンフォーレ甲府 ●0-3
- 2019.08.28
- GAME REPORT
- ヴァンフォーレ甲府
2019/08/24(土)18:00
フクダ電子アリーナ
J2第29節
千葉 0(0-0,0-3)3 甲府
<得点>
60分 甲府 6エデル リマ
74分 甲府 9ピーター ウタカ
81分 甲府 39内田
今これを書いているのが、火曜日の夜。
敗戦から3日間が経っている。
敗戦から3日間が経っている。
どうにも文章がまとまらず、募るのはタイトルの通り、もどかしさばかりだ。
試合の結果は散々だったけれども、
かといって選手達が力を尽くしていなかったかと問われれば、そんな事は無かった。
大宮対策が不発に終わった前節から一週間。迎えたホームゲーム。
メンバーを変えながらも、基本方針はこれまで取り組んできた、自分達が主体的にボールを持って戦うやり方。
怪我の癒えた堀米が右MFに復帰し、為田ではなく、茶島と両翼を組む。
右のサイドバックには、引き続き米倉。
左には下平が戻った。
前半、堀米は以前のように極端に左に寄るような事はせず、あまりポジションを崩さずにバランスを重視した位置取りをしていた。
奇をてらった感はなく、前節のような早い時間帯の失点を警戒し、慎重にゲームに入った印象だ。
対する甲府は、最前線のウタカと言う個の力を活かすため、周囲が機能している。
前からの守備は、大宮が行っていた形に近い、ウタカを中心に3人がジェフのDFラインの隙間を狙う形。
静かな展開だったが、決定機は双方にあった。
ジェフは、左に入った茶島がキレのある動き。裏に抜け出してクレーべのシュートをお膳立てしたり、自身がキーパーと1対1になるなどチャンスは作る。が、決めきれない。
一方の甲府も、ウタカがクロスに合わせるも、クロスバーを叩く。
途中、エベルトが足を痛め、盲腸から復帰したばかりの増嶋に交代するアクシデントがあるも、スコアレスで前半終了。
大宮戦に比べれば、チャンスも作れているし、守れてもいる。
決して、悪くはない前半だった。
後半、あと一歩背中を押そうと、ゴール裏は「あっこちゃん」で応援がスタート。
ホームの声援に応えるべく、選手たちもギアを上げて先制点を奪いにかかる。
ゴールが割れない中、迎えた60分。
セットプレーを一度はクリアするものの、完全にクリアしきれなかったボールを繋がれ、ペナルティエリア内に残っていた、エデル・リマに浮き玉を合わせられて失点。
失点自体も一瞬の集中力に欠けた部分があったが、
この失点をきっかけにして、チームの動きにちぐはぐさが出てしまった。
残り時間は30分間。
これまでの試合に照らせば、ジェフの運動量が落ちる時間帯だ。
悪くない流れの中で先制点を許し、焦りと、また悪い展開になるのではと不安が交錯する。
それは、ピッチの中だけでは無くて、ベンチや、スタンドも含めてだ。
フクアリは、劇場と言われるほどの熱狂を作り出す場であると同時に、表情、ため息、悪い空気もダイレクトに選手達へと伝えてしまう場でもある。
同点に追い付こうと気持ちは前のめりでも、身体がそれについていかない。
攻めるか、守るか、行くか、行かないか、判断が曖昧になり、隙が生じる。
74分のウタカの得点は、まさにそんな状況だった。
センターサークル付近でボールを持ったウタカ、その目線の先にはジェフのDFラインが4人が身構えていたが、まだ上がって来てはいない、ウタカ以外の選手を使われる事を恐れて、当たりに行く事が出来ない。
ぐんぐんとスピードを上げて来るウタカに、4人が居ながら1人で対応する形になり、前を向いたまま、かわされ、そしてコースを狙ったシュートを流しこまれてしまった。
最初の失点では、数人だったが、この得点でかなりの人数が帰途についた。
それを批難するつもりはない。
けれども、もうここから3点を獲って逆転してやろうと言う「空気」は、フクアリには無かった。
ダメ押しの3点目も、ちゃんと壁を作っていれば、もう一歩寄せて、足に力を込めてクリアをしていれば、あんな距離からそうそう決まるようなシュートじゃなかった。打った方も、まさか入ると思って蹴ったようなキックでは無かった。
戦意喪失したスタンドからは、ため息が漏れ、
それでも最後まで声を枯らすサポと、
背を向ける者とのコントラストが一層際立っていた。
ピッチの中ではまだ、交代で投入された見木、浩平をはじめ、選手達が、もがくように戦っていた。
監督は、選手達は、茶色い椅子の色が広がって行くスタンドを、どんな気持ちで視線の隅に感じていたのだろうか。
監督は、選手達は、茶色い椅子の色が広がって行くスタンドを、どんな気持ちで視線の隅に感じていたのだろうか。
1点も返すことはなく敗戦を迎え。
ピッチに選手達が崩れる。
まばらになったゴール裏まで戻ってきた選手達の中から、船山が歩み寄り、コールリーダーと話を始めた。
わかっている。危機感はある。
けれども、それが結果に繋がらない。
焦りばかりが募り、行き場の無い感情が、すれ違いを生む。
焦りばかりが募り、行き場の無い感情が、すれ違いを生む。
試合後にフナがゴール裏に歩み寄って話をした件について。
気になってる人もいると思うし、みんなで共有した方がいい。
残り試合一つでも上に皆でむかっていくために!! pic.twitter.com/tZSCAgf9ta— RyotaToyokawa/豊川 亮太 (@Ryota_Toyokawa) August 24, 2019
残留争い。
向き合わなければならない現実。
それは、「こういう」空気では生き残れない戦いだ。
ジェフはまだ、
「残留争いを戦う覚悟」を固められていない。
10年以上の低迷の先になお、J2の残留争いを突きつけられれば、割り切れない感情がこんがらがって、容易に「J2残留」に集中する事はできない。
敵は、自分たちの中にある。
「ジェフはこんな順位のクラブではない」
現実を無視した感情、役に立たない、古びたプライドこそが、それだ。
現実を無視した感情、役に立たない、古びたプライドこそが、それだ。
これからの対戦相手を見れば、そのいずれもが強敵であることは間違いないのに、そのプライドがこれからの戦いの厳しさを認めようとしていない。
誰もが、と言う訳じゃない。
現実を受け入れた者もいれば、まだ受け入れられずにいる者もいる。それは仕方のない事だ。誰もがすぐに切り替えられるものじゃない。考え方のギャップが、迷いになり、焦りになり、苛立ち、失望となり、プレーに、フクアリを包む空気に出て、そして敗戦に繋がったのが、この甲府戦だった。
これから先、ジェフが生き残れるかどうかは、この迷いを打ち消せるかにかかっている。
江尻監督は、就任当時「矢印を一つの方向へ向ける」と言っていた。それを、クラブ全体でやらねばならない。
現実を受け入れて、「J2残留」に向けて、
過去のプライドを捨て、1つの勝利、1つの勝ち点の為に、強敵に向き合えるか。
過去のプライドを捨て、1つの勝利、1つの勝ち点の為に、強敵に向き合えるか。
そのために、1つの失点、1つの敗戦に気持ちを折らず、応援が出来るかどうか。
それぞれの覚悟が求められている。
生き残りたければ、ため息や罵声ではなく、ただひたすらの声援が必要だ。勝ちも、負けも最後まで見届け、悔しさ、辛さを、苦しさを共にしなくてはならない。
それが出来たとき、出来なかったとき、どういう結果が待っていたかは、我々自身が一番わかっているはず。
これから先は、そう言う戦いだ。
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