敗戦にも、ぶれずに戦えるか。 第24節 vs横浜FC ●1-3
- 2019.07.28
- GAME REPORT
- 横浜FC
2019/07/27(土)18:00
フクダ電子アリーナ
J2第24節
千葉 1(1-1,0-2)3 横浜FC
<得点>
8分 千葉 13為田
36分 横浜 22松井
65分 横浜 22松井
75分 横浜 40レアンドロ・ドミンゲス
ジェフ公式 試合結果
横浜FC公式 試合結果
Jリーグ公式試合結果
前節福岡に快勝し、今後の戦い方のきっかけを掴んだジェフ。
ここで迎える相手は、横浜FC。
公式戦5連勝中、リーグ戦4連勝中と絶好調。
どこまで、このやり方が通じるか、試金石になる一戦。
結果は厳しいものとなりましたが、今やれる事は最大限やったのではないかと思います。
台風6号が接近し、風の強いフクアリ。
長かった梅雨が明けるのも間近か、白い雲が足早に流れ、夏空が広がる。
「前節までと変わらないだろう」
そう踏んでいたスタメンは、「堀米」がサブにも居ないと言う緊急事態。
おそらくアクシデントなのでしょうが、堀米の機動力、攻撃力を前面に打ち出したシステムを組んでいただけに、ショックの大きい欠場。
その堀米の位置には、旭が一列前にポジションを上げ、ボランチには小島。
サブには、茶島が復帰。
試合前、たっぷりと水を撒き、ボールが回るようにピッチを整え、キックオフ。
試合序盤から、やはり横浜のプレッシャーが厳しい。
派手さはないものの、ともすればラフな、球際での厳しさがあるサッカー。
サイドから抉り、隙を見せれば、DFラインの裏にシンプルにボールを置きに来る。
チームの骨格をなす部分には、レドミや、松井ら経験豊かな選手が配され、そうかと思うと、その周りの枝葉の部分は若い選手が固め、運動量もある。いつの間にか、とてもバランスの良いチームになっている。
いくつかのチャンス、ピンチの後、ゲームは動く。
左サイド、クレーベのポストから、為田がスピードに乗って独走。
周りに預けず、自分で撃ったシュートは、サイドネットに収まった。
ようやくの今季一号。幸先の良いスタートになった。
この一発で緊張が解けたか、ジェフは、ホームの声援も後押しにして攻勢を仕掛けていく。
とにかく「二点目」が欲しい。
前半、攻撃を仕掛けられているうちに、追加点を。
そうしないと、後半、足が止まってしまうからだ。
そして、横浜の勝負どころは、後半だからだ。
それは分かっていた。
堀米に代わって右に入った旭は、堀米とは異なり、左に流れても低い位置からゲームを組み立てる。その分、為田、下平、船山が「槍」になって、横浜を崩しにかかる。
そうして奪ったコーナーキックから、増嶋が立て続けに惜しいヘッドを放つ。
ボールカットから、独走した旭がミドルを撃つ。船山も遠目から狙っていく。
ゲリアから、素晴らしいフィードが船山に通る。
しかし、ヨン・ア・ピンが視角の外から強烈なスライディングでシュートを撃たせてくれない。
逆に、横浜がカウンターを仕掛ける場面は、鳥海や、増嶋、アンドリューに小島。中央に布陣する選手達が、読みと、粘り強さを大いに発揮して、決定的なシュートを許さない。
が、しかし、36分。
セットプレー。
間近で見るレドミのCKは素晴らしい精度。
軌道が空間に残るようなキックが、袴田にピタリと合い、クリアしきれなかったところを松井に押し込まれて同点を許してしまう。
そして、このセットプレーの対応が、試合を通じて分かれ目になってしまった。
同点にされた後も攻め続け、終了間際にも旭の縦パスを受けたクレーベが、キーパー南をかわしてシュートを放つも、角度が浅くサイドネットの外。
チャンスは作れた。
が、横浜を圧倒するほどではなく、それも仕留めきる事は出来なかった。
勝負の行方は、横浜が勝負を賭けた後半に持ち越された。
迎えた後半。
さらに横浜のプレッシャーが厳しくなる。
レドミのキープからボールが展開され、周囲の走力のある選手達が前へ運ぶ。
その推進力がボディーブローのように効いてくる。
それでも、51分にはゴール正面でのFKを得るも、船山のFKは枠外。
逆に58分には、レドミのFKを鈴木がセーブ。
ここまでは一進一退。
そして、ここで横浜は、切り札のイバを皆川に代えて投入する。
この交代は、ジェフ側も予想していたが、それでも抑える事が出来なかった。
65分。ここまで何度か見せていた北爪のロングスロー。
イバを狙ったボールにマークが集まり、クリアしきれずバウンドしたボールが流れると、松井がオーバーヘッドで叩きつける。ジェフ側からでも、はっきりと分かる、強烈なファインゴールだった。
ほんの一瞬だったが、2人がかりでイバを押さえクリア出来なかったこと、松井に寄せ切れなかったこと、それがゴールに繋がってしまった。とは言え、こんな一撃、そうそうお目にかかれないが。。。
直後、ジェフは旭を茶島に交代している。
結果的にだが、流れを変えようとしている矢先で、スコアを動かされてしまった。
さらに、75分。
再び、レドミのFK。壁に紛れた横浜の選手の隙間を縫う、これも素晴らしい一撃。
鈴木が今度は一歩も動けず、決定的な3点目を叩き込まれてしまった
その直後、ジェフは、為田から寿人へ交代している。
これも結果的にではあるのだが、どうにも交代で先手を取ることが出来ていない。
続けて、77分にはアンドリューに代えて、強化指定の見木を投入。
他の選手を代える予定だったところを、急にアンドリューに変えたようだった。
アンドリューがアクシデントで無ければ良いのだけれども。
(いずれにしても次節は、累積警告で出場停止になるのだが)
代わった見木は、投入直後に強烈なグラウンダーのミドルで南を脅かす。
最後まで戦う意志を、シュートで表現してみせる。
残り15分を切り、高温多湿の気候もあって、もう動ける体力はほとんど残って居なかったと思うが、リスクを犯しながら攻勢に出るジェフ。少なくとも、ここ最近の試合よりも、後半30分過ぎてからも、まだ運動量があった。意地をみせてはいた。
ただ、交替選手がどうにも活きていない。
寿人には何度かボールが入るシーンがあったものの、茶島、見木になかなか良いボールが入らない。運動量のある選手を使いきる意思統一が出来ていたのかどうか。
終盤のCKも、軌道が低く、ゴールには繋がらない。
精度、精度と言えばそうなのだが、レドミが素晴らしすぎた。
前節は、ジェフも船山が直接決め、増嶋がヘッドで叩き込んでいるけれども、今日は決めきることが出来なかった。運、不運ではなく、レドミの、松井の力が、今日はジェフを凌駕したという事なのだろう。
最後まで、反撃を試みたジェフだったが、そのままタイムアップを迎えた。
ホームで、勢いに乗りたかったが、残念。
横浜が一枚上手。
決定力、交代策、時間の使い方、90分間を俯瞰して、上手く仕留められてしまった。
得点はセットプレーからだったが、後半、狙い通りにイバを投入し、そのイバを生かして、試合の流れを手繰り寄せる。分かっていても、やられてしまった。
ただ、負けたが、あまり悲観はしていない。
好調を維持する横浜FCに対して、チャンスを作れたシーンも幾度と無くあったからだ。少なくとも、狙いが見えず、何も出来ずに敗れたとか、そう言うゲーム内容ではない。
堀米の欠場と言うアクシデントがありながらも、代わりを務めた旭。旭の代わりにボランチに入った小島。それぞれが持ち味を発揮して、好プレーを見せていた。
旭についていえば、一列前のこの位置の方が、攻撃力がやはり活きる。
小島も、負傷明けながら、フル出場。中盤の底で、読みの良いインタセプトと潰しで、目立っていた。
そして、為田に一発が出たのも大きい。
決定機がありながら、決めきれていなかっただけに、この一発が今後のゴールラッシュの呼び水になってくれれば。
また、守備陣では鳥海の活躍を挙げない訳にはいかない。
特に前半、相手のパスの軌道を読みきってインタセプトしたり、我慢が必要な1対1の場面で、しっかり粘って相手を抑える事が出来ていた。体力的にも、90分任せられるようになってきた。
チームとしても、個々の選手も、戦えていた試合だったと思う。
結果は出なかったが、岐阜戦、福岡戦、横浜戦と、軸を持って戦えている。
だから、敗れたからといって、ぶれずに今のやり方を続けて欲しい。
琉球、鹿児島とアウェイ連戦になり、アンドリューの累積警告もあるから、多少のメンバー変更は予想される。そこで、どれだけ、軸をぶらさずにプレーできるか。
覚悟をもって、足元を固める、大切なタイミングを、ジェフは迎えている。
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