惨敗。同カテゴリとは思えぬ力の差。 第19節 vs柏レイソル ●0-2
- 2019.06.23
- GAME REPORT
- 柏レイソル
2019/06/22(土)19:00
三協フロンテア柏スタジアム
J2第19節
柏 2(2-0,0-0)0 千葉
<得点>
25分 柏 9クリスティアーノ
39分 柏 18瀬川
90分間、何も出来なかった。
とても、同じカテゴリのチームの対戦とは思えない。
こんな、情けない敗戦は、長いサポーター人生でもそうそう記憶にない。
点差以上。
プレーの強度、精度、走力、メンタル、一つも上回れなかった。
柏は強かった。
しかし、それよりもジェフの選手達が、やれることをやらなかった。
それゆえの敗戦、だった。
きっと、この試合は、今後ただの一試合ではない意味を持つ事になるだろう。
試合前に雨は上がったものの、黒い雲が低く立ち込める日立台。
昨年までJ1で戦っていた彼らにとって、ここまでの戦績は、彼らとしても本意ではない。入場後しばらくは、柏側のゴール裏には、フロントを糾弾する横断幕が掲げられていた。
ピリピリとした空気。
久しぶりの千葉ダービー。
両サポーターとも、あえてそれを意識してやろうと言う感がある。
選手紹介や、コールに、応援を被せ、ブーイングを響かせ、手旗を振る。
しかし、ダービーの空気は、キックオフまでだった。
スタメン。
前節から一枚変更。契約上、増嶋が出場できない為、そこに新井。
乾、新井、鳥海が並ぶ、若い3バック。
恐らく、江尻監督の目算としては、これまでの試合と同様に序盤から攻撃で押し込み、守備の脆さを補うつもりだったのだろう。が、開始早々、それは早くも崩れる。
パスで崩され、左から中央の江坂にボールが入ると、切り替えし、DFをかわしてシュート。
上に外れたものの、いきなり決定的。
それから90分間、ジェフの時間帯がやってくる事は無かった。
戦術面で負けていただけなら、まだ救いがあっただろう。
この敗戦のダメージを大きくしたのは、もっと根っこの部分だった。
「走る」「競り合う」「最後まで戦う」「自ら判断して打開する」そう言う基礎の基礎、土台の部分が、柏の選手達はきちんと出来ていた。
「個」の部分がまずあり、そこに「組織」が乗っかっている。
ジェフの選手達は、その基礎の部分で、完敗した。
あらゆる局面で後手を踏み、ボールを握る事も出来なければ、パスを繋ぐ事も出来ない。誰が、ではなく、全員が、そうだった。
その状況下で、3バックは猛攻に晒された。
「若いディフェンスに期待していた部分はありましたが、相手の圧力によって(力を)出せなかったというのが本心です。」
試合後、江尻監督はこう語ったが、
一失点目のフリーの状況を作り出した守備も、TGでは見慣れた場面。
対面のクリスティアーノに乾。3バックで、脇にスペースが空く状態で、彼に1対1で仕留めろと言うのは、そもそも希望的観測に過ぎはしなかったろうか。去年、前監督時代も、さんざんやられる場面を見て来たじゃないか。
そこを、柏が見逃すはずも無かった。
クリスティアーノだけでなく、小池と二枚刃でメッタ刺しに。
4バックにシステム変更し、穴を埋めにかかったのは、2点を失った後だった。
基礎で負け、戦術で負け、彼我の力量の差を読み誤った。
何も出来ないままに、長く、重苦しい前半が終わった。
佐藤隆治主審の神経質な笛、カードでコントロールしようとする相変わらずのジャッジにも、苛立ちが募る。
シュート0本
しかし、シュートを撃てる場面はあった。
前は空いて、振り抜けばよかった。
けれど、撃たなかったから、0本だったのだ。
ここに、根深い問題がある。
後半開始を前に、霧雨が吹き付ける。
2点のリードを許し、この内容。
苦しくはあるが、コールリーダーも必死にサポを焚き付ける。
スタンドからは「こっちに来い」「シュートを撃て!」と悲痛な叫びが飛び交う。
江尻監督もさすがに動き、
堀米に代えて寿人。さらに乾に代えて下平を投入。
4-5-1の布陣で、巻き返しを図ろうとするが、戦術以前の部分の差が、交代で埋まるはずが無い。クレーベ、寿人、船山、為田まで、そもそもボールが渡らない。
後半も柏は、連動したプレッシングでジェフを追い込み、局面で競り勝ち、ボールを奪えば複数の選手が走り出してコースを作り、前に出ようとするジェフの裏を突いてシュートを打ち込んでいく。
前半から鈴木が際立ったセービングをしていなければ、4失点、5失点していただろう。
わずかばかりのチャンスで、寿人にボールが渡る。
トラップからのシュートは名人芸。
しかし、そこも柏の選手がブロックする。
また、クレーベが中央でボールを受け、左前方でフリーの船山にボールが通れば、と言うシーンもあった。けれど、ここも柏の選手が足を必死に伸ばして、船山に通させない。当たり前の、小さくて大きな、ワンプレーの積み重ね。その部分で柏は圧倒していた。
そうしているうちに、後半も15分を過ぎた頃だろうか。
ジェフは、もうガス欠を起こしてしまった。
相手を追い込むことも出来ない。
コーナーキックを何とか防いで、さあカウンターと言う場面でも、前線に残る寿人はともかく、誰も切り替えて走り始め無いので、鈴木もボールを前に出せない。右へ、左へボールを持ち替えて、柏の選手が守りに戻ってくれたところで、ようやく近くのDFの選手にボールを委ねる。
柏の選手達、おそらく、前半のうちから、これは勝負あったと考えたのだろう。
後半に関しては、どう試合を終わらせるか、その余裕が漂っていた。
DF裏へのロングボール。鈴木が必死に飛び出してクリア。
早いリスタートをすれば、チャンスにもなる場面。
残り時間が少なくなってからは、もう焦らず、ゆっくりスローインして、ゲームを締めにかかる。
ジェフは終盤、為田に代えて、アランを投入したが、イエローカードを1枚増やしただけだった。
ほぼラストプレーで、茶島がミドルを放ったのが、ささやかな抵抗だったか。
なんとも、惨めな、受け容れがたい敗戦だった。
ブーイングをするにも値しない、惨敗中の惨敗。
試合中に帰るサポの姿もあったが、この日に関して言えば、それを非難する気にもなれなかった。
しかし、なんとも重たい一戦になってしまった。
これまで、一歩一歩足下を踏み固めるように立て直しを図っていたが、その積み重ねが木っ端微塵に吹き飛ぶような負けっぷりだった。
そして、書いてきたように、厄介なのは一朝一夕で何とかできる問題ではないからだ。
柏との大きな差となった、基礎の部分は、シーズン前のトレーニングキャンプや、選手の構成面まで遡って考えなくてはならない。
地道にやるしかないが、御大・オシム監督の時代のように、日々、走って走って走らせるにしても、当然時間はかかる。伸び代のある若手選手の少なく、当座は中堅とベテラン選手でやれることをやるしかない。
現実的には、今季の残留をまず目指し、
その上で来季以降の編成と成長を見据える、気の長い話になるだろう。
衝撃的な敗戦だったが、冷静に振り返れば、ここ数年の課題が噴出した結果だったと言える。
高橋GMが、エスナイデル前監督を招聘し、彼に賭け、彼に合わせたチーム作りを行った結果。
改善の見込み、根拠無く、今季の続投を決断し、解任した代償。
それからの転換期、修正の難しさを再認識した試合だった。
じたばたしても仕方ない。
時間がかかる修正は、地道にやるしかない。
しかし、為田が言うように、
「自分たちがやれることをやらなかった。それが一番の敗因だと思います。」
そうであるなら、選手達はやれることを試合中にやってくれ。
それが、選手として、試合を観に来る全ての人への礼儀と言うものだ。
「君達はもっとやれる」と信じて、我々は声を枯らしているのだから。
この悔しさは、フクアリの柏戦で晴らせ。必ず。
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