GAME REPORT

■このページは最新の記事を含むページです。
■市原戦を中心に、管理人が観戦した試合のレポートです。
□過去の観戦記一覧から過去のレポートも参照できます。
□お探しのレポートがあったら検索してみて下さい。
過去記事リスト
戻る

スペースで区切れば複数のキーで検索できます ANDOR

7/15(土)・練習試合・明治大学戦 2006年7月18日(火)2時38分16秒 deletemodify

千葉2(0−3、2−0)3明治大学

【得点者】
後半22分:青木(右中からドリブル突破。たまらずDFが後ろから倒してPK)
後半36分:市原(攻撃参加した市原が、中央からドリブルで突破しようとしたところを倒されてPK)

【前半】
千葉:SH07/CK00/FK02/GK04/PK00/OFF02
明治:SH07/CK06/FK07/GK04/PK00/OFF00

−金東秀−−青木−−
−−−−安里−−−−
川淵−−−−−−松本
−−伊藤−−松ヶ枝−
−川上−竹田−田中−
−−−−岡本−−−−

【後半】
千葉:SH09/CK04/FK08/GK01/PK02/OFF00
明治:SH04/CK02/FK06/GK02/PK00/OFF01

−−40−−青木−−
−−−−松ヶ枝−−−
41−−−−−−松本
−−13−−伊藤−−
−市原−結城−藤田−
−−−−岡本−−−−

後半25分:伊藤→竹田、松ヶ枝→川淵

※13、40、41は練習生。


今年観たサテライトの試合の中でも、かなり酷い内容に分類されるゲーム。

前半10分までに2失点、途中までシュート数が1対6くらいで明治の方が多いという体たらく。先週の東洋大学戦の前半とどっこいどっこいの内容であった。疲れから、なのだろうか?それとも、トップへの昇格の道が中々開けない事による焦燥なのだろうか?いずれにしても、大学生相手に1対1で敗れ、後手を踏んでファウルと言うのはプロとして情けない。
声を出して修正を図るなり、足を動かすなりやる事があるだろうに。

数少ない光明は、結城・市原・藤田と言った怪我組みが実戦復帰した事か。
結城はフォアリベロっぽい位置取りで、攻撃参加も頻繁に行っていた。若干動きが固かったが、フィジカルの強さは相変わらず。これからの連戦に向けて力強い人材が戻ってきた。

この敗戦、明治出身の松ヶ枝、伊藤にとっては相当に堪えたのでは。
後半途中での二人揃っての交代は、やはり意味のある交代なのだろう。。。
その二人や金東秀らを集めて、試合後にフォローする坂本の姿も。さすがと言うか、コーチの素質が十分にあるんじゃなかろうか、元々日体大で教える事も学んでるはずだし。

それにしても、ベンチの静かさに違和感があった。
もう少し、修正指示が飛んでもよさそうなものだが。声を出すのは、井上コーチくらい。今日は様子見。アマルさんの「鍛え方」は、これからじっくりチェックして行きたい。

7/15(土)・プリンスリーグ順位決定戦・浦和レッズユース戦 2006年7月18日(火)2時3分43秒 deletemodify

千葉1(0−1、1−1)2浦和

【得点者】
後半06分:[11]遠藤(左サイド[10]小井土→[13]と繋いで低いクロスをピンポイントでニアに走りこんで合わせて[11]遠藤ゴール)

【前半】
千葉:SH04/CK02/FK06/GK07/PK00/OFF00
浦和:SH05/CK01/FK07/GK04/PK00/OFF00

【後半】
千葉:SH11/CK01/FK08/GK05/PK00/OFF01
浦和:SH06/CK02/FK06/GK10/PK00/OFF00


土曜日から立て続けの観戦となってしまったため詳細は割愛するが、結果こそ負けてしまったが、特に後半の猛攻には見るべきものがあった。

前半は、浦和の24番に苦しんだ。田中達也を髣髴とさせるドリブルが武器の選手で、浦和で「個」の勝負が出来る唯一の選手だった。この24番を捕まえきる事が出来ずに、劣勢を強いられてしまう。シュート数こそ互角であっても、内容としては浦和が圧倒している。

ジェフは前半から選手交代。7番に代えて14番を入れて攻撃にテコ入れを図る。
すると、積極的に仕掛けを行う14番の動きも相まって、少しずつ流れが出来始めるかに見えた。ところが。攻撃に意識が行ったところで、例の24番にボールを前を向いて持たせてしまう。このドリブル突破に引き寄せられて25番を右でフリーにしてしまい、繋がれて失点。浦和のゲームプランにまんまとハマってしまった。


後半、ベンチの檄も相当に入ったのだろう、ジェフの怒涛の攻撃が始まる。
11番の遠藤がヘッドで起点となり、10番の小井土も身体を張ってキープに入る。その2トップにめがけて、左サイドの13番・地頭園からクロスが次々と送り込まれる。浦和の攻撃は、6番の市原が食い止めて、自陣へはそう簡単には行かせない。

ユースの選手達は、お互いに叱咤激励し合って、必死に反撃を試みる。
そして6分には、地頭園のクロスに遠藤がピンポイントで合わせて同点。さらに、20分・21分と立て続けにヘディングシュートを見舞う遠藤。いい動きなのだが、得点には後一歩届かない。さらに地頭園の直接FKや、さらに遠藤のヘッド、市原の強烈なミドルなど死力を尽くすものの、どうしても得点だけが入らない。

そして、ロスタイムも表示された2分が過ぎようかとした正にその時。
スローインからの守りの対応を誤り、抜け出されて1対1を決められて・・・万事休してしまった。20人ほどの浦和のゴール裏が狂喜乱舞となる。「We are REDS!」とお決まりのコールが起こる中、ピッチに伏し、空を見上げ動けない選手達がいた。

最初から、後半の戦いが出来ていればと言う人も居たが、浦和が先制していたからこその後半。そうでなければ、この後半の猛攻にはならなかっただろう。
今年ニ回目の観戦だったが、ユースには戦う気持ちがあった。もちろんプリンスリーグと言う公式戦と、サテライトの練習試合を比べてしまってはいけないのかも知れないが、「ただの練習試合」と思っている選手がサテライトにはどれほどに居るのだろうか。ユースを見て、戦うための「強い気持ち」の重要性を改めて感じさせられた。

ユースの子等はずっと立つことが出来なかったが、その悔しさがきっと糧になるはず。
これからの戦いで、そしていつかトップに這い上がって、この悔しさを晴らして欲しいものだ。

7/8(土)・練習試合・東洋大学戦 & トップチーム練習見学 2006年7月12日(水)2時46分8秒 deletemodify

臨時サポコミ後、17時からのトレーニングマッチ。
先月29日の練習再開後、休む間もなく試合・試合と続く日々は選手にとってはかなりハードなものだろう。加えて、この一連の騒動。選手自身にも不安な気持ちや胸の内の苦しさがあっても不思議ではない。



・・・その心配が、前半はものの見事に当てはまってしまう。


千葉5(2−2、3−1)3東洋大学

【得点者】
前半33分:金東秀(こぼれ球をループシュート)
前半42分:青木(ペナルティエリア左から竹田→金東秀→青木と繋ぎ左足シュート)
後半03分:高橋(楽山→青木と繋ぎ、左クロスをヘッドで逸らしてゴール隅へ)
後半29分:青木(PK・・・青木、高橋、青木のワンツーから倒されてPKゲット)
後半33分:高橋(右サイドの細かいパス交換から、楽山のパスに合わせて)

【前半】
千葉:SH06/CK00/FK06/GK05/PK00/OFF02
東洋:SH09/CK00/FK05/GK02/PK00/OFF03

<試合開始時>

−金東秀−−青木−−
−−−−楽山−−−−
川淵−−−−−−松本
−−工藤−−伊藤−−
−川上−竹田−松ヶ枝
−−−−岡本−−−−

前半は、正直最悪だった。
「声」も出ず、「連携」も無く、「運動量」も15分を過ぎる前に工藤や伊藤の息が上がって首を振り出す始末。対する東洋大学は、気力・体力に充実し、リスクを犯してでも前に出る積極差がある。いくら肉体的・精神的な疲労があるとは言え、大学生に圧倒的に押され出すのはいかがなものとは思ってしまう。

特に苦戦しているのは、ボランチの伊藤と右の松本。そして川上。
伊藤は、完全にスタミナがあがっているのだろう、動けず潰せず前にも出れない。松本は、動けなくは無いのだが、相変わらず攻守の切り替えが中途半端。攻めっぱなしで守りのフォローに周囲の選手が気をつかわざるを得なくなってしまっている。川上は、1対1で止めきれない。まだまだ経験不足だ。

劣勢の中で、お互いを助けようとする声に乏しいのが寂しい。
ジェフ側に単純なミスパスも相次ぎ、東洋大はさらに攻勢を強める。サイドチェンジで揺さぶりをかけられ、ドリブル突破も1対1で抜かれる場面が多くなる。1本のシュートでも許したくないくらいなのに、前半だけで9本も打たれてしまう。前線・中盤からのプレスが弱く、決定的なクロスや突破を再三許す。



ふと、スタンドを見上げると普段はBAY-FMの放送ブースがあるあたりに、オシム監督の顔が見えた。この内容だ。予想通り難しい顔をしている。
もう、残り少しだろう「ジェフの監督」としてのオシム監督の御前試合。何とか、持ち直して勝利して欲しいと思い始めたところで、ふとしたきっかけから得点が生まれる。ゴール前の混戦から相手に当たりでもしたか、金東秀の前にボールがこぼれる。これを、ループで流し込んで劣勢のジェフが先制する。

持ち直すかと思ったものの、さらにグダグダに。
ここから、きれいに崩されて1点を失う。さらに、2失点目は岡本が最近にしては珍しいファンブルでこぼれたところを押し込まれると言う、ミス絡み。スタンドから(俺が叫んでるのも含めて)、叱咤激励の声が飛ぶ。疲れてるとは言え、大学生相手にこの体たらくは無いだろう。
さすがに悔しくなったのか、2点目を奪われてからはDFも前線へ攻め上がって、なりふり構わず攻め立てる。そして、2失点目から2分後。攻撃参加していた竹田から、金東秀、青木と繋いで何とか同点。前半を終える。


【後半】
千葉:SH08/CK00/FK05/GK04/PK01/OFF03
東洋:SH04/CK00/FK08/GK07/PK00/OFF02

<試合開始時>

−−高橋−−青木−−
−−−−楽山−−−−
川淵−−−−−−松本
−−安里−−工藤−−
−川上−竹田−松ヶ枝
−−−−立石−−−−

後半、突然の反撃が始まる。
明日9日のジェフクラに出場するため金東秀が交代する。代わりに入ったのは、後で判ったが40番を着けたユース2年の高橋。分かり易く言うと、林のようなタイプで、常にシュートと勝負の意欲に溢れている。引き絞られた矢弓のように飛び出すと、3分後には青木のパスをダイビングヘッドでコースを変えてゴール隅に流し込む。
さらに、7分・9分とたて続けにシュートを放って、スタンドからは拍手喝さい。個人のやる気あるプレーで、一気に雰囲気を変えてしまった。



触発されたように、青木も勝負の姿勢を復活。
高橋とは波長が合うのか、即席のコンビネーションプレーが冴えて、シュートシーンが多くなる。24分には、青木と高橋のワンツーから青木が倒されてPK。これを青木が無難に沈めて、4−2と突き放す。さらに、30分にはラクの珍しいヘディングシュートがバーを叩き、33分にはラクから高橋へと繋いで5−2とする。

東洋大も、後半は明らかに運動量が落ち、選手を頻繁に交代させるので、コンビネーションも徐々に限られていっていた。その間隙を突いて、安里が目の覚めるようなスルーパスを前線に通す。オフサイドになったものの、彼のらしさを見せた一瞬。

その後、41分にミスパスをかっさらわれて失点したが、結局5−3で勝利。
何とか勝利と言う結果の上だけでは、面目を保った感じだ。しかし、ユースの子に勢いを付けて貰っているようでは。。。監督が終始厳しい表情のままだったのも、無理は無いだろう。


練習試合の後は、トップチームの練習。
オシム監督の車が帰るのを見送った後、またフクアリに戻って見学する。オシム監督が一線を離れ、アマルコーチが指揮する練習を見るのは初めてだったが、普段と様子はあまり変わらない。ハースや巻といった怪我が言われていた選手も元気に参加。
この日は、FW2枚にDF2枚が張り付き、その前にボランチを置いて、オフェンシブMFやWBが攻撃を仕掛ける実戦的な練習をやっていた。細かいタッチでのパス交換が求められ、サイドから攻めても、中から攻めても良い。その時々の判断が求められる練習。
例の如く、ビブスもきっちり7色使っていた(笑)



少し変わったと思うのは、羽生をはじめ、選手達がより自主的に大きな声でプレーの確認を行っていること。どちらかと言うと、オシム監督の指示について行こうとするので精一杯だった頃から、自ら考えて練習を消化するように、段階が一つ上がった感じがする。非常に良い事だと思う。
アマルさんは、御大よりも体が動くぶん、局面局面では指示を出すだけでなく、自分でプレーして説明を行う。選手達も真剣に見入る。短い時間の中で、濃密な練習が行われた。

雰囲気は努めて明るい。阿部や、他の選手達も普段通り。マリオがふざけてボールをキャッチしたり、三代目がボールを並べて遊んでいたり。厳しさの中にも明るさ。このあたりの切り替えは、強くなったなぁと思う。



熱心に練習をこなすと、あっと言う間に時間が過ぎていく。
予定の8時を過ぎても一向に終わる気配が無いので、スタッフが間瀬さんに時間を伝えにいき、スタジアムにも終了のアナウンスが流れる。名残惜しそうに引き上げる選手達。集中力は切れていないようだ。

選手達は、一心不乱にリーグ再開に備えている。
それに応えなくては。その思いを強くさせられた、練習試合そして練習だった。

6/8(木)・ナビスコ杯準々決勝(2)・セレッソ大阪戦 2006年6月10日(土)3時12分16秒 deletemodify

長居で5−2の勝利を収めたジェフにとっては、如何に弛緩しないでこの試合を戦うかがテーマだった。圧倒的に優位な状況になれば、誰もが気が緩む。「どうせだったらこの機会に若手を試せば良いのに」だとか、「0−3で負けたって勝ち抜けなんだから」そう思っても不思議じゃない。けれども、振り返ってみると大して強くもないのにそう言うことを考えてしまう自分達の中にこそ、これまで強くなりきれなかった、大事な試合で勝てない“中位のメンタリティ”が潜んでいたのではないか。
オシム監督がこの試合に求めたのは、その打破だった。だからこそ、試合前にフクアリで練習を行い、そして今日のスタメンにもイエローの累積を恐れずにフルメンバーを送り込んで来たのだと思う。

大輔を欠くスタメンは、ついに2−7−1のシステムとなった。
もっとも、ディフェンスには阿部や坂本が常にフォローに動くので、いつも2人だけで守っているわけではもちろんない。マークをずらさぬよう、お互いが連動して相手を押さえ込んでいる。

−−−−10−−−−
−−09−−22−−
16−−−−−−08
−02−07−06−
−−05−−04−−
−−−−17−−−−

特に、右サイドでは阿部が若い水本・水野を従え、しきりにピッチ上で指示を与えている。時には言い合いをするような激しいやり取りに、良い意味での緊張感を感じる。若手の二人も、全く物怖じする様子は無い。



そして試合は、最初から両チームの攻め合いでスタートした。
4得点を奪わなければならない、それでいてエースの西澤を欠くセレッソは序盤の攻撃に全てを注ぎ込んできた。まず1点もぎ取れば、ジェフも慌てるに違いない。そんな意図が見え隠れする集中した立ち上がりだった。運動量も十分で、当たりも激しい。前回の対戦の前半戦にも匹敵する出来であったとも思う。

しかし、この日のジェフにはそれをも物ともしない運動量と連動性があった。よほど監督にハッパをかけられたのか、選手達の動きが良い。浦和戦に匹敵するくらいだ。違いがあるとすれば、浦和の良さを潰そうとした攻撃的な守備ではなく、それよりももっと自らが主導権を握って自分達の意図で攻撃を組み立てていること。ボールを持つ選手へのフォローが的確で、尚且つピッチを大胆に広く使えている。ワンタッチパスが連続して、次々に前線に選手が駆け込んでいく。
その中心に、クルプニコビッチが居た。連携が深まると、彼はこうも変わるのか。彼を起点にして、次々に両翼へ活きたボールが送り込まれていく。そして、最前線のハースとの連携も確実に良くなっている。クルプニのタクトに、セレッソがついていけなくなっていくのが分かった。10分が経たないうちに、中盤を完全に制圧する事に成功した。

先制点も時間の問題だと思い始めた12分。
ショートコーナーから、羽生が上げたボールを中央で水本が折り返し、そして待っていた山岸へ!前節に続き、絶好調ぶりを見せつけるボレーで早々に先制点を奪ってみせる。この1点はセレッソにとってキツかっただろう、怯んだセレッソにさらに追い討ちをかけるべく攻め立てる。

23分には山岸からのロングボールを、ハースが柳本と競り合いながらループでゴール。
さらに、27分にはCKを水本が頭で流したところに合わせたハースのヘッドで3−0。
完全に勝負を決め、セレッソに止めを刺した。

この3点目を奪ったあたりまでは、非常に集中していた。
阿部も至るところに現れては、守備の綻びをつくろい、坂本や勇人・羽生も堅実に中盤を支えていた。ただ、さすがに3−0となると集中力が少し緩んだのか、柿本のヘディングを決められてしまう。3−1での折り返しとなった。

後半、さらに攻め立てるジェフ。
15分くらいまでの間は、山岸・勇人らが次々に決定的なシュートを放って、ゴールを脅かすものの、決めきれない。流れはジェフだったが、そう言うチャンスを決めないと得てして反撃を食らうもの。少しずつ、セレッソがカウンターでペースを握り始める。何とか1点でも返して、ここフクアリまで来たセレッソサポーターに応えたいそう言う気持ちが彼らを突き動かしたのだろう、これだけ不利な状況でももがいたセレッソの気迫に押されたのか、古橋シュートがジェフのDFに当たってコースが変わり、ゴールとなる。

でも、ただそれだけだった。力の差は歴然だった。
残り時間、スタミナの切れたセレッソに交代で入った工藤・楽山・中島らが襲い掛かる。まさに残り15分はサンドバック。再三再四、本当に5〜6点獲ってもおかしくないほどの猛攻で、決定機の山を作って見せる。ただ、大勝している余裕なのか、どうにもお洒落なプレーが目立って来てしまう。ゴール前で余計なボール回しが多くなり、浩平は精度の無いループでゴールを捕らえられない。
山岸の反転シュートも、勇人のミドルも、阿部の折り返しも、とにかく点になってくれない。ベンチで仰け反る監督の姿が何度も目に入ってくる。決定力と言う意味では、大きな課題を残してしまった感じもしたが、とにもかくにも、攻め抜いて押し切って、セレッソを粉砕して見せた。



心強いハースの復活。山岸の覚醒。
妥協を許さない阿部のキャプテンシー。
そして、全員が見せた高いレベルでの連携。
2−7−1を機能させて見せた。
収穫の多い、ここで中断に入るのが惜しいほどの試合だった。

いままでのジェフだったら、気を抜いて負けていたかも知れない試合で、これほどの集中力をもって試合へと送り込んだのは、やはり監督の手腕だろう。「強さ」を感じる試合だった。2試合勝って準決勝に進む事は、自信を得る意味でも非常に大きい。

中断が明ければ、また厳しい日程の試合が続く。
ただ、ここに巻が戻ってきた時にどうなるのか、そんな期待の方が大きい。リーグも、ナビスコも、これからが佳境。何かが成し遂げられるんじゃないか、弛緩を断ち切ったこの試合で、また一歩このチームは強くなった。

6/4(日)・ナビスコ杯準々決勝(1)・セレッソ大阪戦 2006年6月7日(水)1時16分3秒 deletemodify

「去年の鳥取の借りを返した」
「大久保のハットの借りは返した」
まぁ、そんなこんなで長居にもセレッソにも良い思い出はあまりない。去年は全部負けたし、古くは主審・原田に9人にされたのもここ長居だったか。終わってみれば、5−2の大勝。ハースの来日初ハットトリックと、さぞや良い試合だったと観ていない人なら思うだろう。が、そんな試合じゃない。負けゲームに近い内容をひっくり返す事が出来たのは、個々の選手の意識の統一と、監督の采配の妙だった。

ナビスコ杯の準々決勝第一戦。
リーグ戦で最下位に沈むセレッソのホーム・長居。5万人が入るワールドカップ仕様のスタジアムは、この試合には大き過ぎたようだ。セレッソもジェフもサポはさほど多くない。ジェフサポは2〜300人ほどだったか。少し前のアウェイ戦を思い出して貰えれば雰囲気が分かるんじゃないだろうか。ごく最近でこそアウェイにもそれなりに多くのサポーターが訪れるようになったけれども、少し前のアウェイは今日みたいに少数精鋭が当たり前だった。・・・まー、たいてい良い気分では帰って来れなかったもんだが。

しかし・・・それにしてもずいぶんと暑い。
人が少ない分、風通しが良いから助かっているものの、カキ氷が欲しくなる陽気。やっぱり晴れれば夏も近い6月と言う感じがする。さらにピッチは暑いのだろう、芝の半分に日が当たって緑が鮮やかだ。この暑さに、これは消耗戦になるなと思った。

メンバーは予想通り、巻以外はベストメンバー。
GKはクッシー。ナビスコは彼に任せきるつもりのようだ。

−−−−10−−−−
−−09−−22−−
16−−−−−−02
−−06−−07−−
−03−05−04−
−−−−17−−−−

ハースの1トップに不安が無いわけじゃないが、巻が居ないだけでチームが変わっていたらジェフじゃない。先手必勝、一気呵成の攻撃に期待するが、セレッソも大分この試合に対策を練っていると言う前情報通り、事はそう簡単に行かなかった。セレッソの出足が予想以上に良く、主導権を握る事が出来ない。運動量豊富に次から次へと後ろの駒が飛び出してくる動きは、まるで良い時のジェフのよう。さらに最前線に構えて、柔軟にサイドへも流れて起点になる西澤がこの上なく厄介。10分経っても、全くジェフペースに持ち込めない。攻撃は、散発的なカウンターだけに封じ込められてしまった。

攻撃がシュートで終わるセレッソ。
その攻撃が徐々に精度を増していく。劣勢を打開しようと攻撃的になる山岸。オーバーラップで血路を開こうとするイリアン。その裏を、待っていましたとばかりに西澤・古橋・森島が連動して突く。ヤバイなと思い始めた矢先、左深くに流れる西澤からの折り返しに、ピンゴがドンピシャで合わせて先制する。最悪の展開だ。
攻撃に転じても、一旦食い止められると、そのルーズボールが拾えない。波状攻撃が出来ずに、一進一退の攻防になる。そして、どうしてもシュートを撃つセレッソの方が優勢に映ってしまう。

ただ、劣勢ではあってもさほど攻撃が悪かった訳ではない。
シュートは撃てなくとも、その直前までは攻め込む事が出来ている。我慢の展開になるかと思った矢先、右の敵陣深くでボールを受けた勇人がシュート。GKに弾かれるものの、そのこぼれをハースに折り返してヘディングシュート。早い段階で同点にする事に成功する。
ここで、何とか1点を取れたことは大きかった。その後、互いにGKまで抜かれる決定機を迎えるものの、集中してゴールを割らせない。

それにしても、セレッソの動きが見事だ。
以前は見られなかった連携は、確実にジェフの守備陣のマークを混乱させてギャップを生んでいる。フィジカルも強い。いい時のセレッソ、去年のセレッソのようだ。厄介な時に当たったもんだ。前半の劣勢の象徴が、西澤vs大輔のマッチアップ。ボールを貰うまで、貰った後の選択肢が多い。大輔じゃ荷が重いとさえ思ってしまうほど。相変わらず、国内で数少ない、雰囲気のあるストライカーだ。
最前線で基点を作られた事で、全体がどうしても下げられてしまう。反対に、前半のハースは、1点獲ったものの、ごっつぁんゴールであまり目立ちはしなかった。そう、前半までは。

後半、全体の流れを大きく左右する判定が起こる。
前半から再三再四やりあっていた、西澤と大輔。鬱陶しく思ったのか、西澤がいきなり大輔に右ストレートをかます。しかも、真後ろに審判。問答無用で、一発レッド。「ワナにはまった」とは西澤談だが、アウェイのゴール裏からも殴ったとわかるようなプレーは、さすがに自分をコントロールできていないと言われても仕方ないだろう。

西澤の自滅で、ジェフは当然攻勢に出る。
ここからが、オシム監督の用兵の真骨頂だった。ジェフは、複数のポジションをこなせる選手が何人もいる。状況の変化に応じて、監督が動いた。まず、1人少ない相手に3バックは無用と、水本を水野に代えてさらなる攻勢に出る。この交代で、坂本がストッパーに下がった。

−−−−10−−−−
−−09−−22−−
16−−−−−−08
−−06−−07−−
−03−05−02−
−−−−17−−−−

CKを立て続けに奪って、攻め立てるジェフ。
さらには、水本・イリアンまでもが前線に飛び出して勝ち越しを狙う。
ところが、セレッソの一発の反攻を得点に結ばれてしまう。古橋の反転を大輔が引っ掛けたとして、2枚目のイエローで退場。さらにPK。松尾主審の帳尻あわせとも言える判定で、10対10で1−2。この時点で数字上の劣勢に立たされた。

大輔の退場で、布陣は下のように変わる。
相手も10人、マークのズレは無い。

−−−−10−−−−
−−09−−22−−
16−−−−−−08
−−06−−07−−
−−05−−02−−
−−−−17−−−−

前半の良い流れが頭に残っているセレッソは、ここで2−1の勝利ではなく、3−1、4−1へとすることでトドメを刺すことを狙っていたのだろう。試合後、セレッソの下村もそうしたコメントを残している。

ところが、前がかりになりかけたセレッソを突如目覚めたハースが強襲する。
あっという間に、2−2の同点。これで、セレッソは「攻めるべきか」「守るべきか」チーム内の意思統一が図れなくなった。
ここに、オシム監督の一手が打ち込まれる。

クルプニに代えて、楽山。

−−16−−10−−
−−−−22−−−−
23−−−−−−08
−−06−−07−−
−−05−−02−−
−−−−17−−−−

突破力と得点力のある、元FWの山岸を最前線に上げる2トップへの布陣変更。
これで、完全にセレッソのマークがおかしくなった。
マークの確認をする間もなく、柳本がセレッソにとって致命的なバックパスミス。これを拾ったハースが、ものの1分前にFWに上がった山岸へボールを折り返して逆転。2−3。さらに間髪を入れずに山岸が左から抜け出して、ゴールネット天井に突き刺すダメ押し弾。

後はもう、混乱して気持ちも萎えたセレッソ相手にやりたい放題だった。
加えて、日陰になってきたとは言え、相変わらず暑い。休養十分のジェフとの運動量の差は、ますます鮮明になっていった。
ハースが裏に抜け出して2発外し、晃樹も右の遠目から強烈なミドルシュート。抜け出したイリアンも、相手GKに当ててしまい・・・と。普段だったら、戦犯に仕立てられても仕方ないシュートミスのオンパレードながら、最後にハースが途中出場の中島のクロスをヘッドで決めてハットトリック(&2アシスト)を達成して“締め”。
5−2、アウェイで苦手のセレッソ、前半の出来を考えれば上々の結果で試合を終えることが出来た。

−−16−−10−−
−−−−07−−−−
23−−−−−−08
−−06−−15−−
−−05−−02−−
−−−−17−−−−

最終的な布陣はこう言う形だった。
中島と勇人の位置が逆かも知れないが、二人ともどちらのポジションもこなせるので問題は無い。

冴えた監督の交代策。
振り返ると、状況の変化に対応出来るように、この4年間に積み重ねられたものが、とりわけ活かされた試合だったと思う。退場、交代とで次々に持ち場が変わりながらも、特に違和感無く淡々とこなす事が出来たのはジェフの底力だ。

特に際立ったのは、FWにチェンジした後の山岸。元々中学までは、同年代でも飛びぬけた実力を持ったFWだった。控えめで「俺が、俺が」と言う性格では無かったので、いろんなポジションを試されて今に至るわけだが、本来持ち合わせていた得点感覚が一気に開花してきた。ここ数試合で、試合を決める働きをしているし、今後も試合途中からのFW起用は林無き後の貴重なギアチェンジの手段になるだろう。

そして、交代策とは別に3得点2アシストのハースに触れない訳にはいかない。
正直、今日も出だしはイマイチだったが、得点を機に尻上がりに調子を上げていった。実際、もっと決めなくてはいけないチャンスもあったのだから、ごっつあんゴールでばかり喜んでもいられないのだが、乗せるといろんな意味で怖い選手なので、気分を良くする事が出来て何よりだ。この人の場合、いかに気分良くプレーさせられるかが問題なんだよな。


さて、この結果で準決勝進出はかなり濃厚にはなった。
アウェイゴール2倍ルールのおかげで、0−3で負けても良いと言うのは事実だ。けれども、準決勝に進出した訳ではない。実際、ナビスコの広島戦のように45分間だけで3失点するようなゲームだってある。その教訓があるのだから、残り90分も集中して勝って勝ち抜かなくてはならない。

木曜日のフクアリに来るサポと言うのは、それだけの内容と結果を求めているからスタジアムに足を運ぶはずだ。それに応えるだけの、締まった試合を。
それに、昨年の借りはまだ返しきっていない。

pass writemodifydelete
PBS v.1.01