GAME REPORT
■このページは過去記事【2005年05月22日22時26分11秒】までを含むページです。
□
過去記事リスト
□
現在の記事へ
□
戻る
■
5/21・ナビスコ杯−第3節・FC東京戦
2005年5月22日(日)22時26分11秒
delete
modify
5月21日13時過ぎ。J's GOALのスタメン速報に表示された「8.ポペスク」の文字にジェフサポの開門待ちの列がどよめいた。トルコキャンプ合流から三ヶ月以上、ついに元ルーマニア代表の実力が明らかになる日がやってきた。「怖いもの見たさ」と言うのだろうか?期待と不安の交差した何とも言えない空気が渦巻いていた。
試合前の練習でも、一際大きい「ガビ」コール。
ハースと大輔が欠場となり巡って来た出番。リベロを置かない4−4−2の左と言うポジションにガビは収まった。
−−−巻−−林−−−
−−−−羽生−−−−
ガビ−−−−−−水野
−−−−勇人−−−−
坂本−−−−−−水本
−−阿部−−スト−−
−−−−櫛野−−−−
対する東京は、一週間前の敗戦と怪我人・代表でさらにチームに危機感増している状態。厳しいゲームが予想された。ところが前半は、その予想とは異なる展開が待っていた。
一気呵成に攻め込む東京のサッカーを想像していたら、とんでもない。
ドン引きのサッカーで望みもしないハーフコートマッチになった。押し込んで、攻め上がらせていないのではない。攻めて来ないから、ハーフコートなのだった。東京としては、先週のウチのサッカーをさせないためだったのだろうが、少々拍子抜け。たまに、ダニーロや石川が単騎突破を仕掛けてくるものの、それはチームとしての怖さではない。
ジェフとすれば、これはもう遅攻の練習だ。
最終ラインの阿部とイリアンが中心になってボールを回し、機を見て前線へタテのボールを入れる。ちょうど、盾を構えながら槍を繰り出すタイミングを計るような感じになった。しかしハースの居ない前線は、基点が作れない。茂庭相手には競り勝てた巻も、ジャーンが相手では分が悪い。このため、ハイボールよりも、細かいパスを最後尾から前に向けて繋いでいく展開が多くなった。代わりの基点となったのは、ガビ。
ハースのように、じっくりタメを作るタイプじゃない。その代わりに、シンプルに叩いて、ワン・ツーやスルーでボールを前に運んで行く。林や、勇人の飛び出しにピタリと合うパスは、さすがの正確性だ。
東京も、ガビ対策など考えていなかったのだろう、マークが甘くなる。その間隙を突いて、フリーになったガビが20mのミドルを突き刺す。左右の足を同じように使える、ガビらしい左足の強烈な一撃だった。
東京は攻めなくてはいけなくなったはずだが、前半はこのまま守備的な姿勢を崩さない。
残り15分は、「鳥かご」状態で一方的にジェフがボールを回し続ける展開が続いた。スタンドからも、ホームチームの姿勢を非難するような声が上がっていた。
後半、試合様相は一転した。
15分くらいまでの間は、勇人が攻め上がって三度の決定的なチャンスを迎える。これを決めていれば、ラクに勝利できたはずだったが、それが出来ないのが今のジェフか。東京が眠りから目覚めるように、一気に攻撃にかかってきた。
折からの暑さで消耗も早く、ジェフはガス欠を起こしたガビを中島に、林を要田に代えるが、特に基点となっていたガビの正確性を中島の不確実性へとシフトしたのが痛かった。フレッシュなはずの中島は、いつも通りの中島でしかなく、危なっかしい位置でボールを奪われてはハーフカウンターを食らう。要田はボールが来ずに、半ば開店休業状態。
勝ちたい気持ちで疲労を跳ね返して攻めに出る東京。東京の急先鋒となったのは今野だった。ハッキリ言って、この男ジェフに欲しい。
一人で、何人分もの動きをカバーする強烈な運動量でボールをかっさらいまくり、クロスを上げるはシュートを撃つわで彼一人に押し込まれているかのようだった。なんというか、中盤の底に大柴がいるかのような感じ。鬼気迫る後姿に、相対するジェフの選手が気圧されているかのようだった。
今野を中心とした反撃が、残りの20数分間ひたすら続く。
最終ラインでは阿部とイリアンが必死の形相でカバーに入る。櫛野も、時間を使いながら何とか落ち着けようと周囲に指示を出す。お互い様だが、東京にシュートの正確性があれば同点にされていた。今野のフリーのヘディングなど、やられたと思ったシーンも何度かあった。守備は、半ば崩されていた。けれども、結果として点はやらなかった。慣れない陣形にも集中力を切らさなかった守備陣の賜物だった。
猛烈に疲れた試合後、珍しく交代の選手達も一緒にゴール裏へ向かってでんぐりをしてくれた。ちょっとテレ気味のガビが初々しい。ようやっとガビもジェフの一員となれた、そんな光景だった。
ガビのデビューは上々。引きこもる相手への戦い方も出来たし、収穫は多いゲームだった。
一方で、ハース抜きの戦い方には課題が残る。ハースをチームとして消化したことで、いつの間にか、ハースに合わせた戦い方にもなっていた。基点が無いときに、例えば去年の2NDのようにサイドから基点を作って攻めるやり方もパターンとして残しておく事は必要だろう。
来週は、水本・水野が抜け、イリアンも抜けるかもしれない。
結城は戻ってきたが、大輔の出場はまだ分からない。チームとしての力が問われる、苦しいゲームになるだろう。それに勝ってこそ戴冠への道が開ける。次のダービーは熱くなりそうだ。
■
【頂き物】 5/18(水)・練習試合・U−18日本代表戦
2005年5月19日(木)23時17分44秒
delete
modify
先日稲毛で行われた、U−18日本代表との練習試合のレポートを
頂きましたのでご紹介いたします。ありがとうございましたm(_ _)m
−−−−−
千葉4(1−0、3−2)2U−18日本代表
前半45分 1−0 得点:28分 9
−−09−−32−−
−−−−20−−−−
33−−−−−−35
−−06−−02−−
−36−34−27−
−−−−01−−−−
(参考)U-18の先発布陣
−−29−−33−−
−−−−27−−−−
12−−−−−−19
−−17−−16−−
−08−03−09−
−−−−30−−−−
・シュート数8本、CK2本
・当初、34をフォアリベロで置いていたが、攻め込まれる
回数が多かったため、6が通常のリベロに回り34がボランチ。
・6分、右サイドの35のシュートが2度。
・32と33のポジショニングが悪く、2からの激しい叱咤が数回。
左サイドから攻め上がる回数が皆無で、逆にボールを奪われる
回数が目立った。
・28分、9がカウンターから相手を4人抜き去る個人技で得点。
ベンチで監督は苦笑い。
・35分、9から6にパス、6は絶好のループシュートを放ったがバーの上。
観客からはため息が漏れた。
・非常に海風が強く、ボールが左サイドに流れる回数が目立った。
それだけに左からの攻撃ができなかったのが反省点として残る。
後半45分 3−2 得点:24分 18 42分 22 43分 9
(UNITED onlineでは90分トータルで4−1と表記されていますが、
手元の集計では90分トータルで4−2です)
※後半開始から後半20分まで
−18−10−09−
−−−−22−−−−
02−−−−−−29
−−07−−06−−
−−27−−05−−
−−−−01−−−−
おそらく公式戦での試合終盤、3out、9inの状況を作ったものと
思われます。
なお、3は私服で観戦し、TGには出場しませんでした。
・後半20分まで、シュート数3本、CK1本
3トップの状況を作ったのに効果的な攻めが見られませんでした。
※後半20分 9out、20in
−−18−−10−−
−−−−20−−−−
22−−−−−−29
−−07−−06−−
−02−27−05−
−−−−01−−−−
・後半20分より終了まで、シュート数4本、CK2本
・24分、29のCKを18が腹で押し込み得点。
・26分、10が左ひざを痛め自ら歩いてピッチ外へ。
クールダウンしていた9が再度呼ばれ出場。
10はアイシングを実施、歩いてクラブハウスに戻ったため、
かなり軽症と思われます。
・31分、途中出場のU-18マイク・ハーフナーを完全にフリーに
してしまい、U-18の35にパスを出され、シュートを決められ失点。
・35分、9がフリーでボールを持ったところ、U-18の7が激しくバックチャージ。
これに18が激怒、対しU-18の7は逆切れしたため、一時両チーム入り乱れてる
展開に。6が間に入って事なきを得る。
・42分、18がツブされながら22にパス、22が得点。
・43分、相手CKからU-18主将の3にヘッドで決められ失点。
・交代 1→21、21は守備機会なし。
・43分、18→29→9とボールが渡り得点。
・後半の最後の時間帯は激しいチャージが連発しましたが、U-18ベンチから
バックチャージをあたかも容認するような姿勢が見られたのが気になりました。
■
5/14・J1−第12節・FC東京戦
2005年5月15日(日)20時22分20秒
delete
modify
前日発売のエルゴラに載っていた降格についての興味深い言葉。
『・・・こうした苦難を乗り越えてもなお忠誠を貫けるかどうかこそ、代替的な「消費者」と「本物の」サポーターの存在を分断する分岐点なのではないだろうか。』
お互い、こんな順位でブツかるとは思っていなかったが、千葉も東京も二桁順位でこの試合を向かえる事になった。アウェイ自由席が売り切れたと公式で発表があったが、開門前から赤青のサポーターの姿がやたらに目についた。降格を意識するにはまだ早い時期だったが、「スタジアムに駆けつける」と言う行動で、東京サポは危機感を現していた。
ゴール裏屋台村の東京サポの列もそうだったが、アウェイ側3ブロックを埋めた東京サポは圧巻。ジェフ側も負けずに声を出したが、劣勢は明らか。ホーム臨海で「負けずに」なんて言葉を使うの自体が悔しい。意地になって「東京に勝つ応援を!」と言って歌詞カードを配ったりしていたが、声の大きさ・統率力では完敗だった。東京の方がチームとしては、ジェフよりも遥かに新興でありながら、応援に経験値と歴史を感じるのが悔しくてならなかった。
ジェフのゴール裏は再構築がされている難しい時期。この日も、グリダーレがメインやバックスタンドに応援練習に行ったり、ハレルヤがワールドユースを控える水本・水野・充喜のために手書きの日の丸を試合後に掲げたり、手前味噌だが粋犬会が歌詞カードや紙テープを配布したりと、それぞれに努力をしていたが、まだあれだけの東京サポを跳ね除けるだけの応援は出来ていない。リーグ戦の中断期間に入るが、蘇我スタへの助走と言う意味も含めて、ここ4ヶ月で出てきた改善点を整理して、より多くの人を巻き込める応援を模索しているべきだと感じた。
前置きが長くなってしまったが、勝利に飢えて赤青に燃える東京サポを黙らせたのはジェフの選手達だった。序盤こそ、様子見の展開だったが、徐々に攻撃のギアを上げて前半から自分達の形にゲームを作っていく。必死に喰らいついてくる東京の選手達のマークは厳しかったが、中盤に今野がいないせいか、割とスペースがあって競り合いで勝てる展開。羽生が追い込んでミスを誘い、奪えばハースと巻が基点となって、シンプルに繋いでボランチの2人の上がりを促す。
概ね狙い通りの攻撃が作り出せるなか、苦戦していたのは右の晃樹。代表合宿の疲れ、そして対面に東京一厄介な今野が居たことで持ち味が消されてしまっていた。今野は、相手が輝けば輝くほどに存在感を増す「影」のような選手。晃樹も奮闘していたが、キレが無く1対1では劣勢。羽生・勇人・水本の援護を仰ぎつつ、アーリークロスや繋ぎに腐心していた。
この今野がジェフの右封鎖していることで、普段より左から攻めが多くなった。
坂本が対面した東京の加地は、チームが結果を出せない中で強行出場だったのではないだろうか。粘りが無く、足がもつれるようなシーンや対応が遅れるシーンがあった。彼だけの責では無いとはいえ、この後のジェフの2得点はいずれも左からだった。
17分、左でボールをキープした羽生が2人相手に突破を仕掛ける。一度は止められるが、体を翻して、縦に抜け出て低いクロス。巻がつめてDFに当たってこぼれたボールをハースが押し込んで、幸先良く先制点を奪う。
勝つために、前に出ざるを得なくなった東京。徐々に、ラインが間延びして広大なスペースが中盤に広がりだす。追加点は、そのスペースを上手く利用した美しい一撃だった。最終ラインからのボールを、坂本がトラップすると見せかけて後ろのハースに流す。ラインを割りそうなボールをハース上手くキープ、その前をリターンパスを受けるような動作で、坂本が駆け抜けてDFがハースに詰め寄る動作を一瞬遅らせる。その間隙を突いて、ハースが「吸い込まれるような(巻)」ライナークロスをゴール前に駆け込む巻へと送り、茂庭のマークを外した巻が豪快なヘディングで突き刺した。
ゴールまでの一連の流れが美しすぎる、東京の戦意を奪うに十分なインパクトのあるゴールだった。前半の残り時間は、攻勢に出るしかない東京の必死の攻撃にピンチを迎える場面を作りながらも、セットプレーに迫力が無かった事もあって、集中力を切らさずに守りきって終了する。
ただ、このカードは2−0がセーフティリードにならない引き分けばかりのカード。
止めの3点目を奪うべく、選手達が後半も攻勢を仕掛ける。FKからチャンスをつくり、その後も水野→勇人や、勇人→阿部・・・と言うボランチの2人の果敢な攻撃参加や、石川を押し込んだ坂本のドリブルからなどチャンスを作るものの、肝心のフィニッシュが決まらない。
ゴール目前まで押し込むのだが、ゴチャゴチャした状態から結局クリアされるような場面が多く、止めをさす事が出来なかった。前線からのチェイシングで疲労困憊の、ハース・巻を次々に交代。林・山岸の2トップにして追加点を狙うものの、捨て身で攻撃に出た東京に、ロスタイムに失点。完封を逃してしまう詰めの甘さを見せてしまった。しかし、何とか勝ち点3と言う結果だけはしっかりと掴んで試合を終えることが出来た。
ちなみに、試合前初のベンチ入りで大きな歓声を浴びた、幻の背番号8・ガビはユニフォームを脱いで準備までしたものの、ロスタイムの失点の影響か、結局出場はせず。またも、デビューはお預けになってしまった。
ゲーム全体としては、東京を終始押し込み、ウチらしいサッカーが出来た好ゲームだった。リーグ戦での不敗記録も28まで伸び、ホームの面目を選手達が守ってくれたことが誇らしかった。
これでリーグ戦は中断。その前に、内容の良い試合を続けて流れを良くする事が出来た。ナビスコ杯に突入するが、U−20組やハース・イリアンが欠ける事が予想されている。その中で、もう一つの課題=「選手層」の上積みが出来たなら、中断明けも期待できるだろう。7月は関西連戦から開始。またフレッシュな気持ちでリーグ戦を迎えられるように、ナビスコ杯でチームもサポも問題を消化して行きたいと思う。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【選手評価】
GK櫛野:判断の良いフィードで攻撃の基点になった。終盤の時間稼ぎもGood。
DF大輔:200試合の記念試合も無難。浦和戦に比べると攻撃の関与は多くなかったが、ここぞの場面では攻め上がりも見せた。
DFイリアン:危なっかしいシーンを度々クリア。この最終ラインでの粘りが無ければ、勝利は無かった。前半、ヘッドのクリアをミスって近藤にシュートを撃たれたのは×
DF水本:浦和戦に比べると安定。相手のレベルも違うが。相変わらず繋ぎに危なっかしいところがあり、課題がなかなか修正できていない。
MF阿部:FKはハースに譲らなくても良いのでは?終了間際のミドル、勇人のクロスに飛び込んだヘッド、攻撃に対しても実に積極的だった。
MF勇人:阿部同様、攻撃に対しても積極的。難しいシュートだったが、前半のミドルがもう少し低く抑えられたなら、攻撃の幅も広がるのだが。
MF坂本:石川を相手にしても、まったく引かず。逆に力の入ったドリブルで押し込むシーンが多々あり、よく機能していた。巻のゴールを呼んだ動きも◎
MF水野:対面の今野に手を焼き、セーフティなプレーを選択。疲労もあった。後半、選手の密集を突破しようと繰り出した「マルセイユ・ルーレット」もどきは、決まれば超絶美技だった。
MF羽生:この日も精力的にチェイス。東京は羽生が居なければ、もう少しラクな試合が出来ただろう。
FW巻:ポストの正確性がどんどん増しているように思う。自身のベストゴールだろう、ハースのクロスからの豪快なヘッドは鳥肌もの。交代の場面では、完全に精も根も使い果たした感じ。
FWハース:1得点1アシストで勝利の立役者に。巻へのクロスは、素晴らしいの一言。基点になり、攻撃を指揮し続けた。
FW林:前がかりになった東京の裏を狙う役目だったはずだが、脅威になれなかった。もっとボールを追いかける選手なんだが・・・この試合では、動きが鈍かった。
FW山岸:久々にFWとして交代出場。個人的にはハースの代わりが出来るのは智だけだと考えているが、時間が短かったとはいえ何も出来ず。監督のチャンスは、無条件ではない。頑張れ!
■
5/8(日)・J1−第11節・浦和レッズ戦
2005年5月8日(日)22時5分12秒
delete
modify
勝ち点3を獲ってしかるべきゲームなんだが・・・。
撃てども、撃てども、シュートはネットを揺らさず。アウェイだからと言って、この内容でスコアレスドローを喜べはしまいよ、なぁ。ハース・・・。
5万人の大アウェイ、初めての埼スタ開催の物珍しさか、予想以上のジェフサポがスタンドを埋めた。とは言っても、たとえ1000人だったとしても浦和の50分の1。何をどう間違ったのか、オリジナル10のジェフとレッズ、集客と言う面ではこんだけの差がついてしまった。
試合開始前、「オオオオーオ!」といつも通り声を上げるレッズサポ。こちとら、アウェイの逆境には慣れきったジェフサポ、大したもんじゃないかと受け流してたが、あの声あのゲーフラの数、あのレプリカ来た客の多さ。さすがとしか言いようがない。羨ましいよ、正直あの声援は。
初めてゴール裏の最前列まで降りた埼スタ、代表戦とかで上のほうから何度か見たことあったけど。さすがに専用スタジアム、たいした迫力。嗚呼、早く我らの蘇我スタで試合を見たいさ。こんだけの環境、レッズの選手も応援するサポも、ほんとコレをよく10年で創り上げて来たものだよな。感心する。いつの日かジェフも、レッズが羨むくらいに地域に文化として根付きたいもんだ。
そんな、圧倒的なアウェイの中でも選手達はジェフの選手達は勇敢だった。
前半こそ、足の速い選手の多く、さらに周囲のフォローも速いレッズの攻撃に手こずり、危ないピンチも作るものの、時間の経過と共にゲームを落ち着かせる。正直なところ、レッズは昨年の秋に0−4で爆沈した時とは別物。前半20分以降くらいからは、攻撃が単発かつ個人技に頼ったものだったので、さほど怖さは無くなっていた。エメルソンに主に応対していた水本のボール捌きがおぼつかず、前後半共に危なっかしかったが、決定的なピンチとなる前に、うまくしのいでいた。そのエメの強烈なFKも櫛野が横っ飛びで防いで、失点を許さない。
押され気味の展開の中、反撃の旗手となったのは新星・水野だった。
完全にチームから信頼を置かれたのだろう、昨年までの村井のように周囲から頻繁にパスが通ってくる。少ない攻撃機会の中、日本代表のアレックスを押し込んで鋭いクロスを供給する。前半2回あった彼からの決定機は、巻が決められずに0−0で折り返しとなる。
前半の半分を過ぎてからは、少しずつボールを獲れる位置が高くなり、巻やハースも効果的にタメを作って、流れとしてはだいぶ良くなっていた。
その良い流れを持って後半、ジェフはさらに圧倒的な攻勢に出る。
前線のキープ力を活かしながら、2列目以降が効果的な攻撃参加を見せ、阿部・イリアン・大輔と言ったところが決定的なシーンに顔を出し始める。ジェフらしい、最後尾からも選手を追い抜いていくランニングサッカーだ。
まず、阿部のミドルがバーを叩き、羽生のシュートが流れる、巻の足は一歩届かず、晃樹とハースのヘッドは力なくキーパーに阻まれる。決まらん・・・とにかく完全に崩しながら、フィニッシュだけが決まらん・・・これだけ決まらんと、イヤな予感すら立ち始める。嗚呼、羽生のパスから阿部のミドルも都築の正面か・・・。
そんなこと考えてたら、いきなりカウンターから、エメのミドル!
ど真ん中がぽっかり開いていたが、これはシュートミスで助けられる。。。
こんだけ良いサッカーをしていると、変えるのが難しい。
羽生も良く決定的なシーンに絡んでいるし、巻も良いポストをしている。ハースもタメを作って、2列目移行の攻め上がりを促進しているし・・・膠着状態のまま、後半30分を過ぎる。既に浦和は、晃樹に完敗していたアレックスを平川に変え、いらいらが止まらない永井を岡野にスイッチしている。
ジェフの一枚目は、山岸。晃樹をトップ下へ入れる、ここのところお決まりのフォーメーションチェンジだ。さらに、切り札・林を巻に変えて投入。最後の攻勢に出る。
浦和のカウンターは最悪に怖い。ボールを奪われれば一気に持って行かれる。
それでもおっかなびっくり何とか耐え、さぁ最後だ走りぬけ!ロスタイム2分、今日4本目の阿部のミドル弾が炸裂する!・・・ポストに・・・マジかよ、何で決まらん?何で、内側にこぼれねぇんだよ!
晃樹がおっかけるが、程なくしてタイムアップ。ひっくり返る守備陣、勝ちゲームを引き分けにしてしまった例えようの無い脱力感が身体を重く覆う。埼スタからは、不甲斐ないホームチームへの不満と、引き分けで良かったという妙な空気が渦巻いている。
そして、ハースよ。試合終わった瞬間に、ガッツポーズはねぇだろ。ゴール裏を煽る日じゃねぇだろ。判定で勝てる格闘技じゃねぇんだ。大アウェイで、去年の2ND獲った相手と引き分けとは言え、やってたお前が一番悔しがっておかしくない内容だろうに。。。なんだかなぁ、こんちくしょう!
無失点。内容で圧倒。
悲観すべき内容じゃ無かったのは、観に行ったサポならわかる。この大アウェイでも、一歩もひるまず、レッズを沈黙させた後半のサッカーは賞賛されてしかるべきだ。けれども、勝利と言う結果が、それを可能にするゴールだけが足りない。
去年までは、決めて欲しい時に決めてくれるヤツがいた。ヨンスが、マルキが。けれども、今のジェフには試合を決められるストライカーが居ない。誰かが、ヨンスに、マルキにならなくちゃ、いやなれないと言うのなら、誰でも良いから決められなくちゃ勝てないんだ。
決定力と言う陳腐な言葉で終わらせるのは簡単だ。けれども、振り返ってみよう、今日点を取れなかった原因は何だったか。これまでと同じく、シュートを撃つべき選手が撃たずに、手数をかけて相手に守りやすい状況を作っていなかったか?あれだけリスクを冒せと言われながら、「セーフティに」と言う聞こえの良い「責任逃れ」をしていなかったか?
前節で点を決めた寿人、ヤツが点を獲るのには理由がある。簡単な事だ。ヤツはヤツ自身がシュートを撃って、ゴールを決めて、チームを勝たせる意識にあふれている。それは、決して監督の言う「エゴイスト」じゃぁない。俺が点を獲ってチームを勝たせるんだという、れっきとしたフォアザチームの精神だ。ゴールが見えたら撃て!そして、チームを救うヒーローになってみろ!それが出来なきゃ、いつまで経っても抜け出せないぜ、このジェフを覆う厚い雲から。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【選手評価】
GK櫛野:今季初の無失点も、好セーブの場面とキャッチ・フィードミスの場面とで波があった。
DF大輔:田中達の細かい動きに冷静に対応。完封した上に、後半は効果的な攻撃参加を見せた。
DFイリアン:スピードを活かしてストッパーの網をかいくぐってくる相手FWを丁寧に潰す。大輔同様、攻撃参加も積極的で、浦和に攻め上がりを捕まえさせなかった。
DF水本:エメルソンを押さえたものの、味方への繋ぎの場面でミスが目立った。攻撃参加以前に、安全に繋ぐ判断力とフィードの正確さが必要。
MF阿部:4本のミドルシュートを放ち、そのどれもが得点の気配を感じさせるものだった。決まってさえいれば。勝利への欲求を強く感じ、この日のMIP。
MF勇人:阿部が攻撃に積極的だったので、バランスをとって普段よりも黒子的な動きになった。足の速い相手選手の攻め上がりを遅らせる動きに腐心。
MF坂本:前半は山田に苦しめられたが、後半はその裏を衝いて攻撃でもらしさを見せた。精度が欲しい。
MF水野:対面のアレックスを押し込み、決定機を再三演出したことは評価できる。が、GKとの1対1は決めたかった。
MF羽生:よく動いて、ゲームのリズムを創った。彼も、GKとの1対1を決めたかった。角度は無かったが2本のうち1本は枠に入れたい。
FW巻:体を張ったポストは存在感十分。決定力さえあれば、前半で試合を決める事が出来たのだが。彼に必要なのは、ひたすらシュート練習だろう。
FWハース:タメを作って、ゲームを創り続けた。相変わらずシュートは決まらない。ゴールが見えたらまず撃ってみて欲しい。引き分けで喜ばないでくれ。
MF山岸:水野を中に入れるために投入されたが、目立った動きは出来なかった。まだ、体が重そうな感じがする。フレッシュな体なのだから、機敏さと粘りを。
FW林:チームとしての動きが良かったため、投入が遅くなり仕事が出来なかった。本当ならば、林投入を考えさせる前に、試合を決めていなくちゃならない。
■
5/4(水)・J1−第10節・サンフレッチェ広島戦を受けて
2005年5月6日(金)23時1分12秒
delete
modify
罠があることを解っていながら、罠を避ける事が出来なかった川崎戦。
決めるべきところ、締めるべきところを押さえられず、自ら勝機を手放した広島戦。
「いいサッカー」をしながらも結果が伴わないここ数試合は、今季のジェフにとって正念場。簡単な事を実行する事ほど難しいが、それが出来ているのが鹿島であって、出来ていないのがジェフだ。それが、大きな勝ち点の差となっている。
この日も強風が吹き荒れた臨海。
膠着した前半は川崎戦の再現のようだった。転機はハースの逸機。阿部の高速クロスから、巻が落とし、こぼれ球を押し込むだけのシーン。ハースは力んでシュートを撃って大きく外してしまう。これさえ決まっていれば、点を獲るしかない広島は攻めに出ざるを得なくなったはず。大きな失敗だった。
ハースがいくらアシストでチームに貢献していると言っても、こうもビッグチャンスに弱くては、チームの士気も下がってしまう。ここまでの2シーズン、ジェフが上位たり得たのは、ヨンス・マルキと言う勝負を決められる傑出したストライカーの存在に拠るところが大きい。同じサッカーの質、同じだけのチャンスを作ったとしても、それを得点と言う結果に結び付けられなくては、チームとしての結果は下がってしまう。巻は期待以上に応えているが、それでもまだ足りない。ハースの決定力の覚醒が難しいのであれば・・・「相棒」を考えなくてはならないと思わせるシーンだった。
失点の場面も、今季に共通する問題を引きずっている。
今季、完璧に「やられた」と言うシーンは少ない。あのミスが無ければ、と言うシーンがあまりに多い。今日の失点もまた、そうだった。つまるところ、攻守において最後の精度・集中力が欠けていると言う事なのだろう。最初はコンビネーションの問題と思ってもいたが、シーズンも10試合をこなした現段階では、それとだけが理由とは言えない。
後半、その集中力を取り戻したサッカーが出来るのだから、少なくとも現在のレギュラーが揃った状態であれば、ある程度のサッカーが出来るのはわかっている。磐田戦がそうだったように、相手を圧倒することすら出来る。それが、コンスタントには出来ない。
原資の無いジェフにはとても難しい事だが、現状をさらに刺激する補強も必要なように思える。攻撃に関して言えば、ガビがポジション争いに絡んでくれば、活性化が期待できる。問題はDFだ。この試合で結城が負傷し、いよいよ駒は少なくなった。もうすぐ、水本もワールドユースに向けてチームを離れてしまう。坂本をDF起用しなくてはならない状況では、折角の中盤のオートマティズムも失われ、何より中盤の守備力が低下してしまう。
そうした状況を打破するには、どうしてももう1〜2枚、戦力として計算できる存在が不可欠だ。少なくとも、今季タイトルを獲得するつもりであるのなら、DFの選手層を増し、競争を高めることが不可欠なようにも思う。
pass
write
modify
delete
PBS v.1.01