■16時半・稲毛
市原17(1−1、4−0、1−0、11−0)1慶応大学
【1本目】・1−1
GK立石、DF(左から)永輔(C)・ジェレ・結城、ボランチ中島・クォン、
左WB楽山(33分・金位漫)、右WB山岸、OH望月、FWサンドロ・林
※1:クォンは練習生(U−20韓国代表&ケルンユース(ドイツ2部))
※2:金位漫投入後に、山岸が左翼。右翼に金位漫。
得点者:4分・サンドロ
市原:SH08/CK02/FK09/GK00/PK00/OFF04
慶応:SH01/CK00/FK07/GK02/PK00/OFF01
【2本目】・4−0
GK櫛野、DF(左から)小林・ジェレ・結城、ボランチ中島・野本、
左WB山岸、右WB金位漫、OH工藤、FWサンドロ・金東秀
得点者:5分・ジェレ、14分・金位漫、38分・山岸、39分・金東秀(サンドロ)
市原:SH12/CK01/FK02/GK00/PK00/OFF00
慶応:SH02/CK02/FK02/GK07/PK00/OFF00
【3本目】・1−0
GK石川、DF斎藤・長谷部・茶野、ボランチ阿部(C)・勇人、
左WB村井、右WB坂本、OH羽生、FW拓土・巻
得点者:14分・羽生(拓土)
市原:SH07/CK01/FK06/GK02/PK00/OFF02
慶応:SH03/CK00/FK03/GK03/PK00/OFF01
【4本目】・11−0
GK高木、DF斎藤・長谷部・茶野、ボランチ阿部(C)・勇人、
左WB楽山、右WB金位漫、OH坂本・羽生、FW巻
得点者:1分・巻(坂本)、8分・巻(阿部)、11分・阿部(坂本)、13分・坂本、14分・長谷部、20分・巻(金位漫)、26分・長谷部、30分・巻(金位漫)、34分・羽生、35分・勇人、37分・巻(長谷部)
市原:SH15/CK02/FK04/GK01/PK00/OFF04
慶応:SH02/CK00/FK05/GK01/PK00/OFF01
■潮風の強烈な稲毛。
韓国キャンプもハードだったが、この稲毛キャンプも相当にハードだ。毎日二部練習・・・と言うか、午前中が練習で午後が練習試合。しかも、この週末金・土・日は三連戦。それも、40分ハーフ4本を繰り返して全員を試している。明日はザスパと東洋大学とやるから3日で12本というハードさだ。冗談では無く、今日の4本目が終わった時には芝にへたり込む選手が続出。いかなプロの環境とは言え、これほどのメニューもなかなかあるまい。ある意味、故障離脱でランニングのみだった大柴・武藤・メグはラッキー・・・もとい差がついて行く事に焦りがつのってしまうだろう。
さて、点差を見ると大差だが4本目に11点をブチ込んでいるので、それほど他のフェイズでは点が入った訳では無い。もちろん、慶応がスタートが主力で後でサブを出して来たこと、対してジェフが主力を分割してきた事でますます差がついてしまっていた。
ジェフは、1・2本目が主にFWとDFがレギュラー。3・4本目が中盤がレギュラーと言う布陣。全員をまんべんなく使っているので、選手としたら言い訳が出来ない陣容だ。
試合はもちろん終始ジェフペース。動き出しの速さ、パスの正確さ、当たりの強さで当たり前の如く慶応を圧倒。これが出来ないTGが多いだけに、ある意味大きな進歩だ。
1本目、サンドロのミドルであっさり先制。
だけれども、後が続かない。林やサンドロの速さを活かし、時折後方から永輔が攻撃参加してブ厚く攻めるのだが、ゴール前に人数をかける慶応の前にシュートタイミングがはかれない。
囲まれた中での無理なシュートになるので、枠を外すパターンが多い。
ラクとギシの両翼も効果的なボールを供給できない。左翼は、頻繁にサンドロとラクがポジションチェンジをして揺さぶりをかけるのだが、精度を欠く場面が多々あり、決定機が決定機にならない。結局、こぼれ球を可能性の低いミドルで叩く場面が目立った。
また、サンドロと周囲の連携がイマイチな場面が、いまだに目立つ。
さて、この一本目に注目のU−20代表MFクォンが出場している。ポジションはボランチ。体格的には180cm強くらい。見た目どおりに頑強なプレーぶりで、コンタクトに見劣りする場面は無い。足元も正確で叩けるし、それに周囲との連携も悪くない。引く場面ではきちんと攻め上がった選手の穴をカバーし、周りに人が足りなければキープしてタメを作る事も出来る。ミドルを撃つ積極性もある。
阿部と比較すると、ロングフィードは撃てないが、フィジカルが強力な印象。
オシム監督のメニューに黙々とついて来れる事に「大器」の雰囲気を感じる。でも、ボランチ(--;
試合は、33分に慶応がタテパスから27番が抜け出して永輔・ジェレ・立石をかわしてゴール。シュート一本で同点に追いつく。
ここでジェフは、動きの悪かった左翼の楽山に代えて右翼に金位漫を投入。山岸が左翼に入る。だが、攻め込むのだが・・・と言う展開。中盤で運動量を発揮するタイプの選手が居ないので、循環不足になっているようだ。
この流れのまま1本目は追加点を奪えずに終了。すぐさま2本目。大幅にメンバー変更。
トップに金東秀。TOP下に工藤、ボランチに野本と言う布陣。この交代が功を奏す。
驚いたのは、この金東秀・野本の成長。金東秀は、年長の慶応の選手に混じってもそこそこキープが出来ているし、野本に至っては人が変わったかのような動き。まだ、持ち過ぎのきらいはあるが、ボランチの役割をこなしながら、守る時はDFラインに入って相手をカバー。攻めあがっては、特に左翼の山岸を追い越してクロスを量産。また、勇人ばりに中央へ進出してシュートシーンに絡んだりと、非常に印象に残るプレーぶり。野本の幅広い動きのおかげで、サイドもワイドに使える。
流れの中から攻撃参加したジェレのゴールで加点。さらに金位漫が続く。
サイド・中央を崩す展開がスムーズに作れていた。ただし、攻め込み過ぎてカウンターを狙われる場面や、攻め込んでも肝心のシュートで終われないケースも多々あった。ただ、シュート本数は1本目より増えている。
この他で目立ったのが、金位漫。ダイレクトで簡単に叩いてワンツーを狙い、自分の攻め上がりを促す工夫が読み取れた。プレーに手数をかけないのが良い。左の山岸が、こねまわし過ぎて野本のバックアップを待つのとは対照的。クロスも、徐々に的を得るようになって来ている。
2本目は、この後に山岸と金東秀が加点。
金東秀のゴールは、サンドロの右からのグラウンダーを綺麗に合わせたゴールだった。
さらに、時間を置かずに3本目。一気にメンバーを入れ替え。
中盤は、レギュラーメンバーが固める。リベロにベーさんが入り、レギュラーの茶野・斎藤を引き連れる・・・とは言え、実力差があるのでベーさんは完全に「リベロ」好き勝手にやっている。
運動量のある中盤が入り、さらに阿部が時折一気にサイドを変えてくるので、慶応の選手たちが可哀想な感じがする。走るだけ走らされる。2バック状態のところへ茶野がオーバーラップしてくるものだから、DFはパニック状態。でも、踏ん張りを見せてゴールは14分の羽生の1得点のみに抑える。
それにしても、羽生・勇人の運動量は尋常では無い。
この二人だけは、カメラに収めようとしても、スグに枠から外れてしまう。それだけ、動きまくって居ると言う事だ。
で、この1得点の3本目を受けて即席の説教タイム。オシム監督からの檄がさらに飛ぶ。
4本目、ラクとウィマンが再びIN。両翼に入り、坂本が2シャドーの一角に。慶応は、だいぶ背番号が重たい選手ばかりになっているところに加えてバテバテ。そこに、容赦の無い攻撃が襲い掛かる。
阿部・羽生・勇人・坂本の4人の運動量と当たりの強さで完全に中盤を支配すると、まず1分に巻が坂本のクロスに豪快なダイビングヘッドで合わてまず1点。
ここから、慶応の左サイドを坂本とウィマンが使いまくって一気に攻め立てる。8分には阿部から巻で加点。11分には坂本のパスから阿部が抜けて、悠々と加点。13分に坂本、14分には攻撃参加した長谷部が、気持ちの折れた慶応を蹂躙。
20分には、ウィマン→巻の駒大ラインでハットトリック達成。
26分、長谷部の今日の2点目で安貞桓バリの指輪キスのパフォーマンスの余裕(ってか、独身だろ・・・べーさん(^^;)。30分、再びウィマン→巻。34分羽生、35分には勇人が難しいミドルを叩き込み、4本目で10得点。最後は、長谷部→巻のラインで豪快なダイレクトボレーが決まって得点ラッシュに締めを行なった。
結果的には、当たり前のように大量得点勝利だが、それが出来たのがまず進歩と言えるだろう。そして、全員を試すと言うことを実践した監督もまたすごい。簡単に見えて、なかなかできない事なのは、この10年が物語っている。
また、これまでのレギュラーとサブを完全にミックスして試合に臨んでいるのも画期的。実力が伯仲する中で、例えば「左が機能しない」となれば、それはそこに「穴」があると言うこと。つまり、その選手は先発のレベルから遠いことになる。競争意識を喚起させる意味では、非常に優れた、選手にとってはキツイ練習方法だと思う。
「練習では出来ているのに」と言ういい訳も練習試合をここまでやられては通用しないし。ホンキでふるいにかけている。
明日もニ連戦。
4本目が終わった時、あんなに練習でくたびれ果てた選手を見た事が無い。でも、怖いことに走りきってしまっている。よく動いていたと正直思う。クソ暑いのに。昨日も4本やってるのに。
これがオシム監督の「やり方」なのか・・・。
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【選手評価】
GK立石・櫛野・石川・高木:特に見せ場はなし。石川が相手の飛び出しを絶妙のブロックで防いだシーンあり。櫛野は、やはりコーチングが良い。
DF永輔:短い時間ながら攻撃参加多数。このレベルではドリブルも破格。
DFジェレ:余裕を持ってディフェンス。ただし、やはり足元には弱く失点もスピードを抑えられなかった。永輔同様に度々攻撃参加し、1得点。
DF結城:可も無く不可も無く。地味に貢献。
MF中島:動きが少ない。また、周囲との連携面で問題。もっと前線のスペースへ進出してアクセントを作って欲しい。
MFクォン:さすが韓国U−20。当たって良し、足元良し。ちゃんと走れるし、スペースを突く事も潰す事も出来る。レギュラークラスと並べても、ほとんど遜色ない。
MF楽山:この日一番不出来だった。突破できない、簡単にパスして勝負しない。かといって運動量や、その他で勝負するでもなく。前半途中で唯一交代を喰らう。また、4本目の再出場でもリベンジ出来たとは言い難い。
MF山岸:1得点も、こねまわしてバックパスか、囲まれる場面が多い。消極的に感じてならない。
MF望月:トップ下で出場も、効果的なパスはほとんど無く「存在感」は少なかった。動こうとしている意志は、プレーから伝わって来ているが・・・。
FWサンドロ:相変わらずコンビに難。可能性の低いシュート・パスが目立ってしまっている。楽山とのポジションチェンジは、なかなか機を見て敏だった。
FW林:何度か飛び出すが、オフサイド多し。決定機に決められないあたりもいつも通り。もう少し、単独の突破があって良いと思うのだが・・・。
DF小林:何度か攻撃参加するが、チームが前がかりであまり目立たず。
MF野本:良かった。よく動き、カバーリングもサイドのフォローも、中央突破も自由自在。2本目は彼を中心にボールが回っていた。
MF金位漫:2本目はそうでもなかったが、4本目に爆発。巻との駒大ラインでアシストを量産した。相変わらず守備は?だが、こねずにダイレクトで球を叩くので、良いアクセントを作っている。
MF工藤:散らし役に徹する。目立ったプレーは無し。
FW金東秀:だいぶキープできるようになった。また、強引にシュートを撃とうとする姿勢には好感が持てる。ただ、まだまだ遠慮がある。
DF茶野:オーバーラップで攻撃参加も。・・・DFはみんな攻撃参加出来るようになって来てしまったようだ。
DF長谷部:やることが無いからオーバーラップして2得点。技術は健在。巻への正確なクロスも良かった。体調は実に良さそうだ。
MF阿部:流しモードも、動いて散らして、十分なプレーぶり。プレッシャーが無いからか、伸び伸びやっていた。
MF勇人:よく動き、久々の勇人キャノンで1得点も。
MF村井:相手が3枚マークについていた。それでも、強烈なシュートなど要所は締める。慣らし運転的なプレーに感じだ。
MF坂本:運動量は相変わらず。積極的な突破で右の起点に。
MF羽生:必死。カメラで追えないくらい良く動いていた。点も奪い、ポイント高い。
FW拓土:よく動いていたが、あまり得点場面には絡めなかった。
FW巻:体を活かし、豪快に5得点。このレベルでは、やはりズバ抜けた選手のようだ。突き刺さるような強烈なヘディングシュート、豪快なボレーはストライカーとしての可能性を感じさせる。もう少しスタミナがつけば・・・。