空回りした大宮対策。力の差を覆せず。 第28節 vs大宮アルディージャ ●1-2
- 2019.08.20
- GAME REPORT
- 大宮アルディージャ
2019/08/18(日)19:00
NACK5スタジアム
J2第28節
大宮 2(2-0,0-1)1 千葉
<得点>
9分 大宮 3河本
27分 大宮 19奥井
86分 千葉 39見木
強化指定の見木選手が初ゴール。
意地を見せてくれましたが、それ以外は完敗。
特に前半は、惨敗した柏戦を彷彿とさせる、非常に厳しい出来でした。
スタメン。
江尻監督、大きく変えて来ました。
ディフェンスラインにエベルトと乾。
そしてシステムは、アンカーに小島を置く4-1-2-3に。
高さのあるシモビッチにはエベルトをつけ、さらにロングフィードがシモビッチに当てられた際には、小島と2人で挟み込んで対空防御を行います。
最初、ジェフのシステムの変化に少しだけ大宮が戸惑ったようでしたが、それもすぐに収まり、前からプレッシャーをかけて攻撃を組み立てにかかります。
大宮は、シモビッチの左右に茨田と奥抜の2人が等距離に開く3トップでプレス。
乾とエベルトの間、米倉と鳥海の間を常に狙いつつ、シモビッチを孤立させずに、2人がフォローに入る形。この守り方がとても効果的で、ジェフはディフェンスラインから先にボールを送れないくらい、動きが制限されてしまいました。
また、シモビッチ自身は、シュートを狙い辛いものの、ポストプレーは的確で、起点を作られてしまいます。
ジェフは、守備的に入った前半でした。
試合後の江尻監督も早い時間の失点を悔やんでいましたが、大宮との力の差を踏まえて、前半はゼロで締めて、後半に勝負する狙いだったのではないでしょうか。
(一見正しい選択ですが、後半に運動量の落ちるジェフがそれを遂行出来たかは。。。)
それが、10分経たないうちに早くも目論見が崩れます。
この日、左サイドに入った乾。ロングフィードを受けた茨田がオフサイドと勝手に判断して寄せに行かず、シュートを打たれ、鈴木がかろうじてセーブ。しかし、その後のコーナーキックを米倉がマークにつきながらも、河本に合わせられて失点。
意気消沈。
そして、混乱。
守るのか?取り返しに行くのか?
ピッチ内のコンセンサスが全く無い様子で、ボールをキープしても、どこにも出せない。誰も周囲が動かない。
全員が迷子。
マイボールにしたら、全員が矢印を一つにして相手ゴール目掛けて走るとか、そんなシンプルな連動性すらない。
酷いもんでした。
その後、先制点を決めた茨田選手が負傷交代するアクシデントがあったものの、大宮ペースは変わらずに追加点を献上してしまいます。27分、中盤でプレスをかわされ、縦に突破を許すと、一気にピンチに。
アンカーを採用したものの、エスナイデル監督時代に同システムを採用したときの守備の問題はそのまんま。アンカーの両脇のスペースを使われ、乾のポジショニングの問題を狙われ、エベルトが2対1の状況に。完全に崩されて追加点を許してしまいます。
手堅く入ったはずが、2失点。
ベンチは動かず、このまま、メッタ刺しにされて、日立台の惨劇の再現も覚悟したものの、2点差に、ジェフのひどい出来、さらにはこの暑さのせいもあってか、大宮がややペースダウン。
「まあ、いつでもトドメはさせるだろう」と、
油断をしてくれたかのようでした。
正直、大宮の立場なら、ここで完膚無きまでにジェフを蹂躙しておくべきだったと思います。
2失点した時点でまだ15分以上を残し、前半の残り時間がとても長く、また、ちっとも前にボールが回らない、誰も走らない、止まって考えてばかりの展開に、自分が何のスポーツを観に来たのか忘れてしまいそうな状況でしたが、何とか前半が終了。
やや呆然。
どうしたもんだかと思う自分に、トラメガでコールリーダーが、「戦う気持ちも見えにくかった前半だけど、後半は俺らの声で奮い立たせて戦いましょう」と言ったニュアンスの激励を周りにかけて、何とか後半に向けて気持ちを切り替えようとしています。
そして、後半。
メンバー交代は無し。
前に出るしかないジェフに対して、大宮。
時折、カウンターから決定機を作るものの、どうにもジェフを叩き潰すような迫力までは伝わって来ない。すっかり、一息ついたまま、ギアが上がらなくなった様子。
ジェフは、大宮が「待ってくれている」時間帯に何とか呼吸を整え、反撃の機会を伺います。
前半の失点を何とか取り返そうと、乾がようやく持ち味を発揮して、クロスを上げ、ドリブルで切れ込み、シュートを放つ。
が、枠を捉えられない。
本当に、乾はディフェンスよりも攻撃が光る選手。3-4-3の左ウイングで、ボールを持ったら前に行く事しか考えさせなければ、別人のように輝くんじゃないだろうか。
64分に見木を小島に代えて投入。
アンカーにアンドリューが入り、インサイドハーフは、浩平と見木に。
さらに74分、船山に代えて安田。
安田はそのまま、船山の右のウイングに。
83分には、アンドリューに代えて、アラン。
浩平と見木がドイスボランチを組む4-4-2にシステム変更。
時間帯によっては、攻め残ったエベルトも前線で競り合いに参加する特攻布陣で、何とか得点を奪いにかかります。
まず、見木が入った事で、ようやくまともに「動ける」選手が加わりました。
短い距離で、アップダウン、スプリントが出来る見木が、大宮のディフェンスに僅かながら隙を作ってくる。
そこに、安田が「縦への推進力」を加え、最後に入ったアランが、もう一枚のフィニッシャーとして加わる形に。
その間、大宮は大前、ファンマらを次々に投入する層の厚さをみせつけます。
シモビッチに代えてファンマなんて、クレーべに代えてラリベイが出て来るようなもの。高木監督、外国籍選手をいやらしく使いきって来ます。
危ないシーンは作られたものの、幸い仕事をさせるには至らず。
そして、終盤のジェフの攻勢に繋がります。
時間が無いジェフは、とにかくクレーべとアランにクロスを放り込む割り切ったサッカーに切り替え。クレーべが、強引にシュートを放って大宮ゴールを脅かすと、86分。
高く上がったクリアボールを両チームの選手がお見合いする形に。
そこを逃さなかったのが、見木。アランがキーパーの飛び出しを塞ぐ形になったところを、素晴らしい嗅覚を働かせて頭で合わせ、1点を返します。
この1点に勇気づけられ、ジェフが畳み掛け、アランの惜しいシュートなど、最後まで同点を狙って攻めるも、あと1点を奪うことが出来ず。そのまま試合終了に。
試合を通してみれば、大宮とは力の差があった完敗。
ただし、大宮が隙を見せたことで、あわよくば同点で終える事が出来たかもしれない試合でもありました。
降格の危機から抜け出すには、こういう試合で勝ち点を拾っていかなくては。
監督は、勝つために策を練って臨んだものの、大宮が理詰めの守備でジェフのディフェンスラインを釘付けにしてしまい、チーム全体が間延びし、ボールを回すことも出来なくなってしまっていました。
高木監督のスカウティングが一枚上手。
そこに、ミスが絡んだ失点が加わってゲームプランが崩れてしまいました。
終盤、見木、安田、アランが加わった後の戦い方は、やはりあの時間帯ならではの総攻撃モードで、今後の戦いのベースにはならないと思いますが、オプションを、プランBを示した事にはなったと思います。
見ていて悔しいのは、個々の選手から輝きの欠片は随所に見えるものの、それがチームとして掛け算になっていないこと。このメンバーでも十分戦えるはずなのですが、この一試合に対する臨み方も、統一できていなかったように感じます。
3連敗。降格圏まで勝ち点6。
ただ、その現実に向き合うほど、奮起せねばとも思います。
今日は、スタンド上段、最後列から2段目での観戦でしたが、ほとんどの人が立って最後まで声援を送っていました。苦しい状況でも、勝利を信じて、アウェイまで駆けつける仲間が多くいる。見木のゴールを目撃し、勇気付けられ、最後まで声を渇していた。
その背中を見て、まだジェフは戦える。
そう信じる事が出来ました。
また次節、懲りずに戦いましょう。
※尚、戦術的な話では、西部さんが希望の持てる記事をアップしていました。
有料コンテンツですが、ぜひ読んでみて欲しいと思います。
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